第26話 嫉妬(7)

 あのひとも満身の笑みを浮かべながら甥のレオンへと声をかける。


「……噂には、かねがね聞いていましたが。本当にレオン殿は、御立派になられましたね」と。


 義母もレオンの成長した姿──好青年ぶりを見て、彼女も乙女のように、自身の顔を薄くピンク色に染めつつ、魅入ったみたいで。


 あのひとが側にいようがお構いなしに、レオンに魅入り、呆然としていると。


「レオンお兄様?」


「……ん? 何ですか、ロベリア皇女殿下?」


わたくしの付き添いの者が、レオンお兄様が、離れの棟……。あの幽閉、隔離棟でお兄様を見かけたと申していたのですが」と。


 ロベリアが尋ねたみたい。


 だからレオンは、


「偶々、近くを馬で、走っていただけですよ」と。


 まあ、普通に何処にでもある言い訳、説明をすれば。


「ふぅ~ん、偶々ですか」と。


 ロベリアは意味深な言葉を呟けば。


わたくしの付き添いの者は、レオンお兄様の御姿を良く、あのいわくつきの棟の付近で見かけると申しているのですが。まさか、レオンお兄様は、元許嫁である、ソフィア御姉様が恋しくなって逢いに行っては、二人は逢引きを繰り返していると言う事はないですよね?」と。

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