第21話 嫉妬(2)

 あのひとがわたくしのことを一番愛している。


 だから自分の物になれと、愛の告白を告げてきた時に。


 わたくしはあのひとへと。


「お父さま、わたくしのことを好きだ。愛していると。嘘偽りを言わないでください。わたくしのことをあなたは。こんな暗く、ジメジメした場所へと強引に連れてきて閉じ込め、隔離をしたではないですか。だからソフィアに嘘偽りを申さないでください。わたくしはまだ幼いのに。実の父に凌辱行為を受けたのですよ。だからわたくしは自害して果てます」と。


 あのひとへと泣き、喚きながら告げた時に。


 あのひとは泣きながらわたくしへと説明し、地べたに這いつくばりながら謝罪──。


 わたくしに、


「ソフィア、頼むから死なないでくれ」と嘆願……。


 そしてもうこれ以上、側室も作らないし。


 側室の許へも通わない。


 だからあのひとは自分の妃になってくれと乞うてきたのだ。


 でも義母とは、公的な夫婦だから、夫としての義務を時々はしてやらぬと不味いから。


 それだけは許して欲しいと。


 わたくしに何度も。


「ソフィア、愛している!」


「私が心から愛しているのは、ソフィア、お前だけだよ」と。


 あのひとはわたくしに地べたに這いつくばりながら何度も告げると。


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