第19話 お忍びの訪問者(4)

 レオンは幼い頃から変わらない笑顔を、わたくしへと振りまくために逢いにきてくれるから。


 わたくしは正直嬉しいのと。


 そんな真っ直ぐな気持ち。


 彼のわたくしへの想い。


 愛情をストレートに告げ、説明をしてくれるレオンのことがわたくしも好き! 愛している!


 でもわたくしの、この身体は、既にけがれた身体であり。


 いつ、あのひとの子を身籠るかわからない身体なの。


 だからわたくしは愛するレオンの愛を受け取ることは多分できないと思う?


 国王あのひとわたくしに飽き、若い娘を貪り始めるまではだめだと思う?


 それにわたくしがあのひとに捨てられる頃の年齢になれば、レオンも、もう既に。


 麗しい妃をもらい幸せに暮らしている頃だと思うから。


 今は、彼はわたくしに、今日の出来事を一部始終──今のように優しく話してくれる。


 でも、あのひとに老いて捨てられたわたくしのことなどは、レオンも多分、見向きもしないだろうなぁ? と思う。


 まあ、わたくしは彼が。


 わたくしの許へと尋ねてきてくれて、籠で飼われた小鳥のようにテラス越──。


 そう何処かで呼んだことのある物語のヒロインとヒーロー達のような、お忍びの会話をしつつ。


 わたくし自身の脳裏で、もう二度と叶わぬ恋だと思いながら。


 母が病死で他界しなければ、わたくしの夫になったのだろうな? と思うレオンひとの話しを。


「うん」や「うん、うん」と頷きつつ。


 わたくしは今日も聞く。


 他人の目……。


 それも?


 わたくしと元婚約者の仲を嫉妬に狂った目で、憎悪を募らせながら。


 わたくし達二人の様子を窺っていることに気がつかずに和気藹々と会話を続けてしまう失態を犯してしまうのだった。



 ◇◇◇




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