第18話 お忍びの訪問者(3)

 元婚約者である彼が、わたくしの許を尋ねていると、あのひと知られると。


 あのひとはいい顔をしないと言うか?


 レオンに対して嫉妬に狂い、災いを犯す危険性があるほど。


 あのひとはわたくしのことを寵愛しているから。


「レオン?」


「何だい、ソフィア?」


わたくしの精霊付きの病魔が、貴方にうっては大変ですから。早くお帰りください」と。


「精霊付きの病魔に侵されているわたくしなんかと会って話をしているところを誰かに見られ、密告をされれば。貴方は叔父さまに叱られますよ」と。


 わたくしは自身の顔色を変えながらレオンへと告げる。


「……ん? 別に僕は父上に叱られようが構うものか! それに? 精霊付きの病魔が僕にうつるのならば。僕はとうにかかっているはずだよ。幼い頃から僕は、自分の妃になる、愛する君に会いにきているのだから」と。


「それに父上が僕に、君とは会うなと申してきたら。何故、自分の妃に逢いに行ってはいかないのか? と。僕は逆に父上へと問いかけてやるから心配ないよ。わっ、ははは」と。

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