第17話 お忍びの訪問者(2)

「うぅん、大丈夫よ。レオン……。貴方の方こそ、忙しいのではなくて?」


 わたくしが、元婚約者の彼へと尋ねると。


 彼はいつも。


「うぅん、僕は、今日の勉学や剣、乗馬の訓練の方も全部終わったから。もう暇でね、大丈夫だよ。だから君の麗しい顔を身にきた」と。


 レオンは未だわたくしが、自分の許へと帰ってくると思っている。


 そう、わたくしとレオンの婚約の件は、表面上は一時保留の段階なので。


 わたくしの精霊付きの病魔の回復次第によっては、また婚約の件の話しが再浮上し。


 わたくしがレオンの妃となる可能性もあると、彼は信じている。


 レオンはわたくしが、国王あのひとの寵愛を、義母が嫉妬心を募らせているほど。


 一心に受けていることを知らないから。


 レオンは未だわたくしのことを、自分の物にできると信じているから。


 彼は幼い頃から。


 そう、わたくしが、この離れの隔離棟へち幽閉、監禁をされた日から。


 毎日わたくしを尋ねてきては、優しく声をかけ、勇気づけてくれるから。


 わたくしは本当に歓喜してやまないのだが。


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