第12話 幽閉(1)

「ソフィア!」


「は、はい、お父さま。何でしょうか?」


「お前の持つ、王位継承権を剥奪する」


「えっ!」


「それとラ・フォール公爵家のレオンとの婚約の件も一時中断をする。よいな、ソフィア?」


 前回の話しの続きになりますが、精霊付きの病魔に侵されたわたくしの許へと。


 やっとお見舞いと言う形式で会いにこられたこの人なのですが。


 わたくしの部屋へと入るなり、いきなり、自身の口や鼻を慌てて腕で押さえながら。


 そう、自身が伝染病にでもかからないように振る舞いつつ。


あの人は怪訝な表情でわたくしへと。


 王位継承権剥奪と婚姻話……。


 そう、わたくしの従兄であり、幼馴染でもあるレオンとの婚約を解消し、保留にすると告げてきた。


 だからわたくしは、自身の両目を大きく開け、驚嘆を漏らした。


 でもわたくしは、未だ幼く、あの人の意図がわからないから。


 何故、この国の第一王女であるはずのわたくしが、王位継承を剥奪され、従兄のレオンとの婚約の方も解消──保留にされてしまうのか意味がわからない、理解ができないから。


「何故ですか、お父さま?」と。


 わたくしは自身の顔色を変えつつ、慌ててあの人へと尋ねたと思う?


 でもあの人は、わたくしの問いかけに対して無視を決め込み。


 自身の可愛く、愛おしいはずのわたくしと、この頃は目を合わせないようにしながら。


「早く、魔女にとりつかれた姫を。城の離れの、幽閉棟へと連れて行け。この私にも精霊付きの病魔がうつり、病にかかったら大変だから! 早く連れて行け! この魔物を早く!」と。


 あの人にとって精霊付きにかかり、病に侵され、容姿が変わったわたくしは、もう既に赤の他人だけではなく。


 自身の家族と、この国に害をなす、憎むべき魔物なのだから。


 あの人は兵達に早くわたくしを隔離棟へと幽閉、監禁するようにと下知をだす。


 だからわたくしは、直ぐに自身の顔色を変え。


「お、お父さま~! ど、どう言うことなのですか? わたくしは別に悪いことなどしていません! それに愛するお父さまへと危害を加えるようなことはしません! だからこの部屋にいさせてくださいおねがいします!」


わたくしは、あの人へと嘆願をした。


更にこんな言葉もつけ加えて。


「お父さまは、ソフィアのことがお嫌いなのですか?」と。


 わたくしは精霊付きの病に侵され、蒼から赤に変わっている 自身の両目、瞳から。


ポロポロと涙を流しつつ尋ねた記憶がある。


 でもあの人は、娘としてのわたくしのことなど。


全く可愛くはないし、興味もない……。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る