第10話 精霊付き(1)

「国王陛下ー! 女王陛下ー! 大変で御座いますー!」


「姫様がぁっ! 姫様がぁ、あああっ! ソフィア姫様が大変な事にー!」と。


 お父さまの命にてわたくしの身の回りの世話をしてくれていたメイドの一人が。


 わたくしの急変してしまった容姿を見て驚愕してしまい。


 絶叫交じりの声を吐きつつ、慌てながら。


 お父さまと義母お母さまの許へと。


 そして到着すれば。


「……ん? どうした、その慌てようは? ソフィアに何か遭ったのか?」と。


 困惑した表情で尋ねるお父さまと、わたくしの名を聞き、お父さまの横で怪訝表情をしている義母お母さまへと。


 メイドのアンは膝をつき。


「国王陛下、ソフィア姫様の容姿が病魔に侵され急変……。耳が……。姫様の耳が大きな草の葉のように大きくなられました」


 アンは自身の顔色を真っ青させ、身体を震わせながら。


 お父さまと義母お母さまへと頭を下げつつ、説明をすれば。


「陛下~、わたくしが、ソフィア姫様に付いていながら本当に申し訳御座いません。お許しください」と。


 アンは、この後も、お父さまと義母お母さまに何度も謝罪をしたみたいです。


 自身の頭を床に当てながら、涙を流しつつ平に、平に謝罪を繰り返した。


 だからお父さまはアンへと。


「メイドよ、ソフィアの病気は、風土病みたいなものだ。だから別にお主が悪い訳ではない。だから頭を上げよ」と。


 お父さまと義母にお母さまに対して。


 へりくだり謝罪を繰り返すアンに対してお父さまは、謝罪の方はもうよい、頭を上げるようにと下知をした。


 だからアンが頭をあげると。


「陛下?」


「……ん? 何だフローレンス?」


「ソフィア姫の風土病とは、どんな病気なのですか?」


 わたくしが未だに、完治することもなくかかっている難病のことを義母お母さまは知りませんから。


 自身の顔色を変えつつ、お父さまへと尋ねる。


「う~ん、私自身も未だソフィアの許へと行って、見て、確認をしていないから何とも言えないが。多分この大陸の風土病の一つで、一度かかれば治らない【精霊付き】と呼ばれる病気で。太古の昔の居たとされているエルフと呼ばれる神、精霊の魂が人にとりつき、耳が大きくなる心の病だと。私は以前医者から聞いた事があるのだが。私自身も病魔に侵された者を見た事はないから。何とも言えんが」と。


 お父さまは義母お母さまの問賭けに対して、自身の首を振ったらしい。


 それもお父さまは久し振りに、娘であるわたくしのことを大変に心配をした顔をしてくれたらしい。




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