第9話 王の再婚後(2)

 幼いわたくしがお父さまに褒めて頂こうと絵を描き、部屋を訪ね。


 ドン! ドン! と。


 お父さまの部屋の扉を叩きながら。


「お父さま! お父さま! 見てください! ソフィアはこんな絵を描きました! だからお父さま! ソフィアの描いた絵を見てください!」


 わたくしがお父さまへと嘆願をするのですが。


「ソ、ソフィア悪い……。本当に悪いのだが。父は今政務で大変に忙しい。だから用事の方は後日にしてくれないか……。頼む、頼むから、あぁ……」と。


 お父さまは自身の部屋──寝室から。


 わたくしへと姿を見せる訳でもなく。


 自身の室内から大人の男女の、大変に荒い息遣いと掠れた声を吐きつつ、私へと今は忙しい。


 そう、義母か、側室の誰かと優艶に戯れ、交わるのが忙しいから後日にしてくれと告げてくる。


「はい。わかりました。お父さま。後日また持ってきますから、ソフィアが描いた絵を見てくださいね」


 わたくしはお父さまに嘆願を一応はするのだが。


 お父さまからのわたくしへの返事はなく。


 唯々、お父さまの部屋から漏れてくるのは、男女が獣のように乱れた淡い嬌声だけしか漏れ、聞こえませんから。


 わたくしは、涙を流しつつ、自室へと慌てて戻り。


 部屋のベッドの上で。


「うぅ、ううう」と。


 嗚咽を漏らす日々が多くなっていく。


 だってお父さまは、ドン宰相の思惑通りに。


 政務を全部彼に任せ、朝から若い娘を自身の部屋へと連れ込んでは貪る生活……。


 名君と世に謳われ、国民からも熱い支持を得ていたお父さまですが。


 王道から外れる私生活を始め、宰相の操り人形化しているから。


 この国にも段々と陰りが見え、暗雲が立ち込めてくる中で。


 いつも城内で一人寂しくいた。


 悲しんでいた。


 わたくしの身にも等々厄災が降りかかるのでした。



 ◇◇◇





(お願い)


 レヴュー・星・感想・ハート等を軽い気持ちで頂けると励みになりますのでよろしくお願いしますm(_ _"m)





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る