第2話 母の死 

 わたくしには過去に母がいた。


 そしてわたくしの母が今もいれば。


 わたくしはこんな薄暗く、ジメジメした離れの棟──。


 そう、わたくしの父が治める国の中心にあるこのお城の、離れにある。


 本来は物見棟の、物見部屋になる。


 この薄暗い部屋に幽閉……。


 そう国の重臣達がわたくしの容姿を見れば気持ち悪がるのと。


 畏怖、怯えるから。


 他人にわたくしの、このおぞましい容姿を見せる訳にはいかないと。


 閉じ込められることはなかったと思う?


 わたくしの母が必ず、自身の身に変えてでも。


 わたくしのことを守護してくれるはずだから。


 でも、もう母がいないからわたくしはこの通り……。


 痛み、汚れたドレスを見に纏う。


 何とも卑しい姿をしているわたくしなのだが。


 わたくしの母は。


 こんなみすぼらしく、他人に見せられないような、醜女しゅうじょとは違い。


 わたくしの母は、美の女神──豊穣神さまにも相当するほど美しいと。


 吟遊詩人達が歌にして、褒め称えて回るほど美しい隣国の姫君だった。


 その歌と噂を聞き、わたくしのお父さまが隣国へと使者として会いにいき。


 母に一目惚れ……。


 その後は何度も隣国へと通ってはお母さまへと求愛──プロポーズをされては。


 わたくしのお母さまやお爺さま、お婆さまへと嘆願をし。


 やっとのことでもらいうけた絶世の美女ではあった。


 でも美人薄命とは良く言うものだ。


 わたくしのお母さまは、幼少期から身体が大変に弱く、若くしてこの世を去ってしまった。


 幼い一人娘のわたくしのことを置いてね。


 だから大変に醜い容姿をしたわたくしのことを守ってくれ人がこの国には。


 誰もいないのです。


 だからわたくしは一人で、この牢獄のような部屋の中で。


 一人寂しく暮らしているのでした。




 ◇◇◇




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