精霊付きの令嬢である私は、宰相の策にかかり、お城の離れの幽閉暮らし。その間に年上の愛おしい人はNTRされ、女王の座も奪われてしまったから、策士の悪女令嬢へと変貌

かず斉入道

第1話 プロローグ

 幼い頃のわたくしは、今のような大変に根暗で、辛気臭い女性ではなく。


 今のわたくしからは、とても想像もつかないような、大変に活発で明るい少女でね。


 女だてらに、自身で小さな剣……。


 と、言っても。


 木製の剣と盾ではあるけれど。


 それを天空へと掲げ、振るい。


 藁の人形相手や家臣、従兄弟相手にね。


「えい!」


「やぁっ!」


「とぉ~!」と。


わたくしが勇んで吐けば。


「姫様、参りました」


「ソフィア殿は本当に強いな。僕は男なのに。いつもソフィア殿に負けてばかりだ」と。


 家臣の者や従兄弟も。


 国王陛下であるお父さまや、女王陛下のお母さまの目の前と言うこともあるのだろう。


 いつもやんちゃなわたくしのことを。


 大袈裟なくらい褒め称えてくれるものだから。


 お父さまやお母さまも、その気になり。


「ソフィアは女の子なのに活発で凄いな。これならば我が国をソフィア任せても大丈夫そうだ」


「ええ、陛下の言われる通りです。わたくし達二人のソフィアは、陛下に良く似た勇猛果敢で賢い姫ですから。将来この国を良い方向へと導いてくれるでしょうから。わたくしもソフィアの将来が楽しみです」と。


 いつもわたくしのことを沢山の家臣達の前で誇らしげに。


 両親は褒め称えてくれていた。


でもね、わたくしの両親もあることがきっかけで。


 わたくしのことをお父さまも、お母さまも、褒め称えてくれなくなるから。


わたくしは悲しい思いをした。



◇◇◇




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