第7話 占い師の結論
そんなこの時代によるスパイの暗躍が、時代を動かしているとした場合、少しずつ表に出てこようとしている、養成所の存在。
ただ、普段であれば、
「必要悪」
のはずなのに、本当の悪として君臨を余儀なくされるのか?
そこが問題なのである。
昭和の末期、あの頃も考えてみれば、暗黒の時代であった。
複数の食品会社を狙った犯罪や、老人をターゲットにした犯罪など、社会問題を引き起こすようなものが多かった。
そして今の時代は、数年引っかかってきた、パンデミックや、戦争による世界情勢の混沌などと、世界に広がった暗黒の時代。
果たして、世界はどこに行こうというのか。日本一国が真剣に考えても仕方のないことではある。
当然、他の国も、どうすればいいのかを必死に考えているだろうが、結果として、何かの結論が出ても、国家単位で、各々やっているだけであれば、何にもならないだろう。
そういう意味では、無駄なことをしているといってもいいかも知れない。
しかし、本当に無駄だといえるのだろうか?
少なくとも、
「このままではいけない」
という判断を各々で持っていなければ、結果として、
「国家の覚悟」
になるわけもなく、
世界的な危機を乗り越えることもできないだろう。
ただ、一つ言えることは、今時点では、考え方が固まっていないということだ。
パンデミックであっても、今まだ、完全に終息したわけではない。しかし、感染対策ばかりを言っていても、経済が疲弊し、国民一人一人の生活がリアルに脅かされているようでは、どうしようもないということである。
経済を回し、以前の生活に早く戻ることを最優先に考えるのも、一つの考えではないだろうか?
しかし、いまだ衰えることを知らない伝染病の猛威を甘く見てはいけないのも、当然のことである。
だから、いかにそのバランスを取るかということが問題なのであって、それが一番難しいことである。
伝染病が流行った時、どんなものなのか分からずに、悪戯に怯えていただけだというのもしょうがないところであろう。
しかし、政府のように、
「明らかに、それはないだろう?」
と思うことを、平気でやって、やはりそれなりの最悪の結果しか出すことができず、
「何度同じようなことを繰り返せばいいのか?」
と、国民に思わせたことで、本来なら有事では、支持率が上がるはずで、他の国ではその証拠に、それまでどんどん下降気味だった国が一気に支持率を盛り返したところも多かった。
しかし、日本だけである。これほどまったくの無作為、あるいは、行ったことが、ことごとく失敗したことで、一気に支持率を下げたのだった。
特に間が悪いことに、日本はオリンピック招致の時期でもあった。
国際オリンピック委員会、IOCの言いなりになって、オリンピックを強行しようとして、国内が真っ二つに割れた。
決まっていた聖火ランナーも、次々に辞退していき、日本のソーリは、
「安心安全のオリンピック」
という言葉を繰り返すだけで、しかも、伝染病以外のところでも、不祥事が相次ぎ、何人の関係者が、辞任に追い込まれたことだろう。
「最初からケチのついたオリンピック」
だったわけである。
そんな時代に、相当な損をしてまで行うオリンピックに何の意味があるというのか、
確かにオリンピックの精神としては、
「戦争をしている国同士でも、スポーツの祭典が行われている間は、戦争を継続させないようにする」
というのは、その精神だった。
確かに、近代オリンピックの精神ではあったが、世界大戦の時はそうもいかず、オリンピック中止となったのだが、戦争と同じくらい、いや、もっと大きな問題であるパンデミックの最中にオリンピックというのは、ある意味、無謀であったのではないだろうか。
結果としては、強行に行い、競技自体は、無難に終わったのだが、オリンピックの期間というもの、感染が拡大したのも事実だった。
そういう意味で、本当にオリンピックが成功したといえるのだろうか?
そんなことを考えていると、冬季オリンピックが終わったと同時に始まった戦争において、
「世界が間違った方向に行っているのではないか?」
と感じる人も少なくないのではないだろうか?
確かに、今回の戦争は、見ようによっては、
「強国による、侵攻、侵略に見えなくもない。一方的に攻められた構図がある」
というのは分からなくもないが、
「戦争になるには、それぞれの国に言い分があり、攻められる方も決して悪くはないと言えないのではないだろうか?」
と考えられる。
苛めだってそうではないか、基本的にいいことではないが、苛められる側には、それなりの理由があるのではないだろうか?
許されることもあるだろうが、許されないこともある。
つまり、表だけを見ていて、果たして、何が正しいのか分からないということである。
それなのに、世界各国が、
「攻め込んだ方が、一方的に悪い。攻め込まれた方が被害者だ」
と単純に決めつけているのが怖いのである。
そもそも戦争というのは、宣戦布告をして、戦闘状態に入るのは、
「戦争に関わっていない第三国に、自国の立場をハッキリさせるためのものだ」
といってもいいだろう。
要するに、戦争をしている両国に対し。
「我が国は中立を宣言する」
というような、どちらかの国に加勢をするか、それとも中立を宣言するかという立場をハッキリさせないといけないからだ。
そうでないと、片方の国に加勢をするということは、反対の国とは敵対関係であり、攻撃をされても文句が言えないということになる。
しかも、中立を宣言すると、どちらの国に対しても、戦争継続のための物資やお金を渡すことはできない。それを中立というのである。
今回のように、あからさまに経済制裁に協力し、さらに、軍事物資や、お金を渡しているのであれば、これは相手国に対して宣戦布告をしたようなものだ。
日本人は、平和ボケをしているのか、政府も国民も、そんなことが分かっていない。
欧米列強に、ただ従っただけではないか。
日本には、攻められても防戦一方でしかない。守りのための先制攻撃をしてはいけない国なのにである。
そんなことを考えると、今の日本がしていることは、まるで、
「皇国の荒廃」
は、完全に滅亡に向かって、迷走しているといえるのではないだろうか?
日露戦争で掲げられたZ旗は、完全に折れているといってもいいだろう。
こののち、日本はその相手国から、攻められないことを願うだけだ。
奇しくも、相手が同じ国だというのは、実に皮肉なことだといえるのではないか。
それこそ、100年の時を経て、あの時の決着がつけられようとしているのだとすれば、それは、国家の滅亡を意味しているのである。
もっとも、暴挙に走っているのは、日本だけではなく、欧米列強である。
いくら、核戦争を引き起こす、第三次世界大戦に発展させたくないとはいえ、経済制裁という無駄なことをして、悪戯に世界を混乱させるだけのことをして、どうなるというのか、
「経済制裁で成功することはなく、むしろ、最悪の結果をもたらすということは、歴史が証明している」
といえるのではないだろうか?
そんな時代に直面し、連鎖反応を起こしている街は、石橋の街や、鈴村の街だけではないだろう、
石橋の街は、同じ会社ではなく、他の会社に対して連鎖反応を起こし。鈴村の街では、同じ会社の別部署で、連鎖反応を繰り返すのだった。ただ、共通点は、
「定期的に起こる」
ということであった。
その定期的な範囲は似たようなもので、2カ月に一つは連鎖で出てくるというくらいであろうか。
2カ月というと結構長いような気がするが、稀なことが連鎖するのであるから、本来んら、
「起こるはずもない」
と思っているようなことで、起こるとしても、
「会社にいる間に、数回あるかないかという程度だろうな」
ということであるから、下手をすれば、10年に一度くらいの、
「忘れた頃に起こる現象だ」
といってもいいくらいなのかも知れない。
そんな状況を打破するのに、街では、
「占い師に頼ってみよう」
ということになった。
いきなり神頼みというわけではなく、いろいろ打ち合わせを行ったうえで、出るはずのない結論が話し合われた。
まるで、
「小田原評定」
のようではないか。
小田原評定というと、秀吉の、
「北条征伐」
において、籠城している側の、北条氏の家臣が、結論の出ない会議を毎日、小田原城内で繰り返されたことから、
「小田原評定」
と言われるようになったのだ。
今回も、小田原評定になってしまい。結論が出ないことから、却って奇抜な意見を採用するかということもあって。占い師に頼るということになった。
あくまでも、意見ではあるが、占い師がどのような解説をするかというのも興味がある。理論詰めでくれば、それなりに説得力もあるだろう。
昔から、
「決定できない時は、占いに頼る」
ということで、実際に陰陽師などの、祈祷によるものが、真面目に信じられた時代があったというだけに、信憑性を、一蹴するというのは、乱暴なのではないだろうか?
もちろん、連鎖反応が起きているのは、この二つの街だけではないのだが。
「占いに聞いてみよう」
と考えたのが、この二つの街だった。
そして、それぞれに代表で選ばれたのが、石橋と鈴村だったのだ。
別に理由があったわけではない。くじ引きに近い形だったのだろうが、選ばれた理由に関しては、緘口令が敷かれた。なぜ秘密にするのか分からないが、決まった以上行くしかないのだった。
しかも、それぞれの街が決めた占い師は、偶然にも同じところだった。
実際に、最近ウワサニなっている、新興の占い師で、
「ただいま、売り出し中」
といってもいいだろう。
占い師の部屋は、それぞれの街から結構遠かった。それぞれ出張扱いで、時間がどれだけかかるか分からないということで、それぞれ、
「一泊で行ってきなさい」
ということで、送り出されたのであった。
さらに、二人がアポを取った日は、偶然にも、同じ日だった。お互いに、
「他の地区からも、どこか同じように、派遣されてきた人もいるんだろうな?」
と考えていた。
だた、いるとすれば、もう少し人がいると思っていたが、まさか、お互い同士だけだとは思ってもいなかった。
同じ日に、占いで見てもらうことにしたのだが、占い師の方針として、
「占いをするのは、一日に2件までです」
ということになっている。
それだけ精神的に集中力が必要なので、簡単にはいかないということであった。
だから、それぞれ、午前と午後ということにしたのだが、午前中が、鈴村の方で、午後から、石橋の方になったのだ。
単純に近い方が先になったというだけだが、これも一種の運命だったのだが、そのことに誰も気づいていなかった。
占い師は、どちらかというと、陰陽師に近いものだという。そもそも、陰陽師がどのようなものなのか分からなかったので、
「これが陰陽師だ」
と言われれば。信じるしかなかった。
これだけ、有名で、よく当たると評判なので、まさかまがい物だということはないだろうか、不思議な感覚だったのは、無理もないことだった。
一つだけ分かっているのは、五芒星だけで、五芒星は、マンガやアニメなのでよく出てきたので、それがあるだけで、
「ああ、やっぱり陰陽師なんだ」
と納得させるに十分だった。
それだけ、五芒星というものの力は強いもので、相手を納得させるだけでも、十分なものだったに違いない。
「鈴村さんは、陰陽師を正直、信じているわけではないですけ?」
と言われたが、
「はあ、何分、馴染みがないもので」
と正直にいうと、
「そうですか? それも無理もないことです」
と、言葉通り、無理に信じようとしないでもいいのではないかと思うようになると、少し気楽になってきた。
考えてみれば、自分は、
「お告げを聞いてくる」
ということのために、今の状況を説明するためにきたのだ。
しかし、相手は事情が分かっているようで、説明は必要はないようだったのだ。
「さすが、陰陽師」
と思ったが、それが、
「陰陽師の陰陽師たるゆえんなのだろう」
と思うのだった。
「あなたの街では、同じ会社内で、連鎖反応が起こるということでしたね?」
と聞かれたので、
「ええ、そうです。ほとんどは、部署ごとに、連鎖していくのですが、たまに、同じ部署での時もあったりします。それも、定期的に起こるんですよ」
というのを聞いた陰陽師は、その表情に、別に慌てた表情はなかった。
どちらかというと、
「そんなことは分かっていますよ」
というような、余裕の表情であった。
その顔を見ると、それだけでなく、何でもお見通しとでもいうような顔を見ると、どこか、苛立ちを覚えるのであった。
それこそ、
「あなたたちの小田原評定は、実に無駄なことなんですよ」
と言われているも同然だったのだ。
陰陽師は、一生懸命に何かに祈っていた。それが何なのか、後ろから見ている限りではよく分からない。
背中で見えないというのもその通りなのだが、見えたとしても、それが何なのか分からない。
何やらカオスのようなものであり、混沌としているのだ。一つ一つなら分かるのだが、たくさん並んでいると、その法則性も分からないので、
「何が何やら分からない」
といったところであろうか。
しかし、それらには意味があるものなのだろう。そのことを我々が分かる必要もないということなのだろう。
時間的にどれくらいが経ったのか、しばらくすると、陰陽師の念仏のようなものが途絶えた。そして、おもむろに後ろを振り返り、
「出ました」
というではないか。
思わず、
「ゴクリ」
と生唾を飲み込んだが、それを見た陰陽師がすかさず答えた。
「どうやら、何か人柱の怨念が取り付いているような気がしますね。何か、心当たりがありませんか?」
と言われた。
心当たりと言われても、何しろ、鈴村は、誰でもいい人の中から、代表で選ばれただけのことで、そんなに会社のことに詳しくはないし、何よりも、さほど今回の任務を自分の中で重要だとは思っていなかったのだ。
だが、
「言われてみれば」
ということがあった。
「そうだ、会社のビルの屋上にあるあの祠」
と思わず口に出すと、
「あなたは、その祠の意味をご存じですか?」
と言われたので、
「いいえ、うちの会社は、雑居ビルの中のワンフロアを借りている感じなんです。そのビルの屋上に祠があるので、その謂れまでは知る由もないんです」
というと、
「なるほど、私が思うに、その祠はどこかからか移されたものではないかと思います。だから、ビルに対しての怨念というよりも、その祠に祀られている人が、何かを訴えているのかも知れませんね」
と言われるので、
「そういえば、一度、その祠について、以前その近くで、誰かが自殺をしたのではないかというような言い方をしている人がいたんです。ハッキリと自殺という言葉を発したわけではないんですけど、その人もなんだか怪しい感じがしたんです。急に目の前から消えてしまった感じで、その時は気持ち悪いと思いましたね」
というと、
「なるほど、その人を供養してあげることをお勧めします。ですが、あなたたちが、この連鎖反応をどうやら恐れているように感じるのですが、私には、それほど恐ろしいものとは思えないんです。どちらかというと、必要悪というのか、それも言い方が違っているのですが、とにかく、気持ち悪いかも知れませんが、その人柱の怨念は、あなたたちに悪いことを及ぼすようなことはないように思えるんですよ」
というのであった。
「じゃあ、悪くはないということですか?」
と聞きなおすと。
「そうですね。若干、様子を見られるといいかも知れないです。あなたたちに、実害はあるんですか?」
と聞かれ、
「言われてみると、連鎖反応にばかり気を取られていたんですが、起こっていることは、別に悪いという感じではないですね。ただ、それは私が感じているだけで、会社側では、何かの危機感があるのかも知れない」
というと、
「そういうことは往々にしてあると思います。特にあなたの場合は、まわりに社会を拒絶しているような方がおられるでしょう? あなたには、その人の見えているものが見えるのではないかと思うんです。だから、あなたが今日私のところに来たのは偶然ではないと思いますよ」
といわれ、
「そうなんですか? 私はてっきりくじ引きのようないい加減な感じで選ばれたのだとばっかり思っていましたが、理由らしきものがあるんですね?」
というと、
「ええ、そうですよ。現にあなたは、屋上の祠のことをご存じだったでしょう? 他の人はどうなんです?」
と聞かれたので、
「たぶん知らないと思います。もし、知っていたとしても、誰も何も言わないでしょうね? 祠があるので、怖いから、話題にしたくないということだと思います」
というと、
「あなたもその一人なんでしょうが、意識としてはかなり残っていた。だから今私が指摘すると、すぐに思い出したでしょう?」
と言われたが、
「すぐにというか、少し時間が掛かった気がします」
というと、
「いやいや、そんなことはないですよ。ご自分の意識が少し遠のいてしまっているということなのかも知れません」
という。
「ところで、人柱ということは、あのあたりで、昔大きな工事でもあったということでしょうか?」
と聞くと、
「あそこには城下町がありました。今も城址は、公園となって残っています。きっと、意識しないまま、ずっと歩いているんはないですか?」
「そうかも知れません」
「ところで、城を作る時、城の工事をした一般の人間、特に現場監督のような人は、生きて帰れないというような話を聞いたことがありませんか?」
と言われ、
「いいえ」
と答えると、
「昔の城というのは、敵に攻められた時、逃げ出せるように、隠し扉などを作って、その奥に抜け穴があったりしたんですよ。かなり城から遠くの祠の近くの井戸に出てくるようなね。そういう仕掛けを作らせておいたので、その作った人間の口から情報が洩れると、せっかく作った意味がなくなってしまう。だから、作った人間をねぎらうという理由で、宴会などを開いておいて、そこで毒を盛るなどという話は、よく聞きますね」
というではないか。
なるほど、そういうことは言われてみれば分かる気がする。忍者屋敷の、どんでん返しのような扉は印象が深く。床の間などの掛け軸の後ろがそんな回転ドアのような仕掛けになっていることは、忍者屋敷などでよく見かける仕掛けだった。
忍者屋敷ではよく聞くが、お城の話はあまり聞いたことがなかった。だが、考えてみれば、それも当然のこと。城に火を掛けられると逃げられない。
ただ、落城に至っているのに、殿様が逃げ出してどうなるというものか。
「どうせどこに逃げても、見つかって、首を切られ、そして、どこかに晒される運命なんだ。だったら、ここで業火に塗れて、首が見つからない方が、まだマシではないか。襲ってきた連中に一泡吹かせるという意味では、ここでこのまま討ち死にする方がいいのではないだろうか?
ただ、結果はそうなるのかも知れないが、そうなると、作ったとしても、利用されることはない可能性が出てくる。そうなると、殺された人はそれこそ犬死ではないか?
とも考えたが、
「ひょっとすると、その抜け穴を作った人を殺しておいて、その人を人柱に使ったのでは?」
と聞いたが、
「死んだ人間を人柱には使わないのではないか? 人柱はあくまでも、生き埋めだと言われているではないか?」
ということを思い出した。
そのことを陰陽師も分かったようで。
「そうなんですよ。生き埋めにする人柱では、毒殺した相手を埋めるということは理屈に合わなくなる。逆に怨念となって、呪われるということになりかねない。人柱は人柱として、最初から決められた人をお祓いして、そして人柱として葬らないと、それこそ、怨念になってしまう」
というのであった。
「そんな、生き埋めのような一番むごい殺し方で、正当化させようなんて……」
というと、
「そうなんですよ。だから、問題なんですよ」
というではないか。
「どうして?」
「だって、人柱は、本当はこれ以上ないというほどむごいのに、どうして怨念という発想にいならないのかというと、それは、彼が洗礼を受けているからなんですよね? そこに宗教がらみの恐ろしい言い伝えのようなものがある。人柱になる人間は決して人間を呪ってはいけない。呪えば人柱になる理由がないからですね。それでも人柱は必要なんですよ。だから、それを正当化させるために、生き埋めで行うということにしておいて、実際には、一度葬っておいた人間を死体になってから、人柱に使うということにするため、陰で厳重なお祓いが必要になってくる。それが我々陰陽師なんですよ」
というではないか?
そんな話を聞いたあとで、鈴村はよく分からないと思いながらその場を後にし、そしてそこに入れ替わるようにして入ってきたのが石橋だった。彼は、鈴村よりも、何のことだから分からないという雰囲気だった。ただ、
「自分のまわりで、よく分からないことが起こっていて、それが何なのか不安ではあったのだ。
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