第19話 僕らなりの1歩。

 ■■■お知らせ■■■

 性的過激表現があります。そういうの苦手な方は、今回はスルーしてください。次話より読んでも内容はわかりますので、ご安心ください。


□□□

 ユウちゃんの手がスカートの中に⁉

 うそっ……ユウちゃんが、そんな……


 混乱する頭では何が起こったからわからない。夕市は芹葉のセーラのスカートの裾から手を入れ、芹葉の下着の淵に指を差し込み、そこで止めた。


 強引にどうこうするつもりはない。芹葉の反応を待った。


「ユウ……ちゃん…い…」


『嫌』と言いかけて芹葉はやめた。


(嫌なの? 私……嫌じゃない、よね……)


「や……っ」


 今度は『やめて』と唇が動こうとした。心の中で首を振った。


(やめて欲しいの、私? 違う…それに待っててくれる、もう、こんな時の優しさって……優柔不断なんだけど……よし……)


「意気地なしですね、ユウちゃんは」


 芹葉は精一杯背伸びして夕市の首に手を回し、耳元で囁いた。


(また、誘惑してるんだ、私…)


 芹葉の囁きが呼び水のように夕市の手を指を動かした。下着の淵に指を掛けただけだった指先は、少しゴワゴワとした感触の『場所』で止まった。


「ユウ…ちゃん。そんなところ、汚いよ」


「芹葉ちゃんのだから、汚くなんかない」


「もう…こんなにしといて、まだ芹葉ちゃんなの? 意気地なし…」


 密着した体。夕市の飲み込む生唾の音さえ伝わる距離。ふたりの心臓の鼓動。汗と荒くなる呼吸。そのふたりのすべてがシンクロした。


「芹葉……ちゃん」


「もう、意気地なしのユウ…」


「芹葉ちゃん!」


「いいよ、でも…キスして。ねぇ、知ってる? 私キスしたことないの。ユウはある? 誰とした? 瀬戸藍華としたの? それとも茶色の髪の人?」


「どうしてそれを……してないよ、そんな……したことない」


「知ってる。ふふっ、イジワルでしょ、私。聞いたの、今はいいよ、そんなの…あのね…」


「うん」


「キスしたい、でもね。最後までは怖いの……ダメ? わがまま?」


 だけど、夕市は芹葉の声には、言葉には答えなかった。唇が指先がその時にはもう、重なっていた。


 お互いに初めてのくちづけ。初めてのくちづけにしては、激しく荒々しい。


 そして、夕市の指先はゴワゴワとした感触から、湿り気のあるものに変わった。

 そしてその『場所』で指先をほんの少し動かせた刹那……


 びくん、びくんと芹葉の体を波打たせた。まだ指先を動かそうとする夕市にしがみついて――


「ま、待って……ユウちゃん…私!……今は動かさないで…ください、お願い」


「芹葉ちゃん。その……イッちゃったの……?」


 反論しようとしたが、反論したら「違う」って言ったら、指を止めてくれそうにないので「こくり」と頷いた。


 耳元で「気持ち、よかった?」と夕市とは思えない言葉に、恥じらいもなく頷いた。

 夕市は芹葉のお願いを聞いて、指先を止めていた。


 少し前まで肩で息をしていた、芹葉の呼吸が落ち着いてきたのを感じた。


(これからどうしたらいいんだろう……)


 女性経験のない夕市。さっきは勢いで、芹葉の下着の中に指を入れてしまったが、芹葉のお願いを聞いて1度止まると、この先どうしたらいいかわからない。


 でも、指を芹葉の湿った『場所』から離したくなかった。


 そんな夕市に芹葉はトロンとした目で見る。


「ど、どうしたの?」


「ユウ…ちゃん、あのね、ちょっと言ってみてよ」


「言うって何を?」


「えっとね『このエロ雌ガキ』って……それとね、蔑んだ目で言ってみて」


「えっ、なんで、嫌だよ」


「お願い〜ちょっと試しに!」


「なんの試しにだよ」


「ユウは私のこと嫌いなの? 芹葉のお願い聞いてくれないの?」


 上目遣いでのお願い。夕市はため息をついて、芹葉のお願いに答えた。


「なに、欲しいの? キショいんだよ、このエロ雌ガキが!」


 そして、なり切った夕市は指先を激しめに動かした。すると、芹葉はさっきより大きく波打ち、すぐに達成した。


(ヤバい…私、知らなかった…完全にドMだったんだ……ヤバい。変な属性に目覚めちゃった……かも)


 □□□

「芹葉…ちゃん? そろそろ学校行こうか」


 芹葉は夕市宅の玄関先のフローリングの上で、夕市に膝枕されて丸まっていた。

 気分は御主人さま大好き猫ちゃんだ。


「えぇ〜ヤダ! 芹葉がっこう休む〜このままユウちゃんに甘えてる〜〜ユウちゃん、サボろう〜〜(笑)」


「ん…二人でサボったら絶対恭司にバレるよ」


「あぁ……あの軟弱者、無駄に勘だけはいいからなぁ……しゃあない、イキますか!」


「えっと、まだイクの?(笑)」


「あっ! イジワルだ! 私だけイッたからイジワル言ってる〜〜でも、好き!(ピタッ!)」


「ホント、用意しよ? コンビニも寄らないとだし」


「コンビニ? ユウちゃんなんか買うの?」


「僕じゃないよ」


「私? 用事ないよ?」


「ほら、その……パンツ。変えないと、びしょびしょだろ?」


「うっ⁉ びしょびしょ言わないで‼ だ、誰がびしょびしょにしたのよ、もう! エッチ! ってか、ユウちゃん! 今の夫婦っぽくない? もはやカップル通り越して夫婦の会話だよ(笑)」


 眉間にシワのない芹葉と話すのは久しぶりのことだった。

 ふたりは人知れず一歩踏み出していた。







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