第3話計画(プラン)

 

  

 サエキが話を聞いたと言う、シイナミカコ女史に再び証言を求めたところ、

「なんか、夕方の薄暗い頃、車で戸田からこっち(修善寺方向)へ向かって走っていると、頂上てっぺんを過ぎてしばらく下る右カーブのところに、この辺じゃ見た事も無い制服セーラーの女の子が立っているんだってさ」

 と怖がっているのか面白がっているのか判らない体で、嬉しそうに教えてくれた。

 ミカコ女史によると、その先輩の彼氏とやらの他にも目撃した人がいるそうで、証言内容は概ね似たものらしい。

 だるま山には頂上付近にドライブイン(レストハウス)が一件あるだけで周囲に民家などは無い。確かに制服姿の女子高生がいたら不自然ではある。

  

 教室の机を挟んで、野郎二人が顔突き合わせて何やら怪しげな相談をしていると、

「よう、また何か悪だくみかい?」

 なんてクラスメイトが声をかけてくるので、

「心霊スポット巡りに行かない?」

 と誘っても、

「うへぇ」

 と嫌な顔して手を振って行ってしまう。

 その手(オカルト)の話に興味がありそうなクラスメイトを誘ってみたが、

「おまえらだけで行けよ」

 果ては、

「おまえら呪われるぞ」

 とまで言われてしまった。

「興味本位」と言われれば、確かにそうかも知れない。だけど決して死者を冒涜するとか、死せる魂を騒がすとかそういう気持ちは全く無かった。ただ純粋に好奇心が僕の原動力だった。

 二十世紀の現代物理で解明出来ない事象に興味があり、心が惹かれるのだ。(将来的に解明されるであろうから、あえて二十世紀と断らせていただきます)

 結局と言うか予想通り二人で行く事となった。

 休日は車が多く、自転車での移動は危険なので避け、平日の放課後に出発する事にした。

 六限目の授業が無い木曜日なら午後三時前に出発可能だ。だるま山の頂上までは地図上でおよそ10km、いくら登りとは言え信号の無い道、自転車なら平均時速10kmは稼げるだろうから、途中休憩したとしても四時過ぎくらいには頂上まで行けるだろう。帰りは下りだから30分くらいで戻れる。件のスポットで多少時間を食っても五時過ぎくらいには修善寺まで戻れるだろうと僕たちは踏んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る