第28話 どうか地獄へ 1/2*聖*

*聖*


「幸恵さん」


「えっ」


 ギョッとした目で見られた。


 そりゃそうようよね、初対面だもの。


「あの、もしかして貴女が娘の言う『神様』ですか」


「え」


「え?」


 互いにクエスチョンマークを頭に浮かべる私たちを、


「ここにいたら見つかります」


 琴葉が物陰へと腕を引っ張っていく。


「はい、どうぞ」


 これがプロレスなら、試合開始のゴングが鳴りそうね。


「娘からお姿を聞いていたのですが……神様ですよね?」


 優ったら話していたのね。


 口止めをしていなかった私が悪いわ。


「そうよ」


 本当は違う、と言っている暇はない。


 認めてしまった方が話が早く進む。


「あのっ、娘は! 優は!」


 自宅を村人たちが取り囲んでいる様子が目に入ったのね。


「焦らなくても大丈夫よ。私たちが保護しているから」


「本当ですか」


 いくら娘から神様と聞いていても、初対面。


 疑うわよねぇ、そりゃ。


「本当よ。だから私について来なさい」


 疑いの目。


 信じようとする目。


 半々といったところかしら。


「……わかりました」


 あら、意外と簡単に説得できたわ。


 もっと疑われてごねられるかと思っていたのに。


「娘ほどではありませんが、私も霊感があるんです。貴女がただの神様ではないことは視てわかります。でも、嘘はついていない。娘にあんな素敵なお人形をプレゼントしてくれた方ですから、信じます」


「そう」


 優の霊感は遺伝だったのね。


 素直なところも。


「じゃあ早く行きましょう。村人に見つかる前に」


「はい」


 私は瞬間移動できるけれど、人間が一緒だから歩いて山を登ることになる。


 心配することは何一つないわ。


 山に入ってしまえば私の勝ちだもの。


 問題は、どうやってバレずに山に向かうか。


「せーい」


 悩んでいたら、


「小鳥」


 私の愛する相棒が現れたわ。


 ナイスタイミング。


 でもね、


「お馬鹿。そんな大きな声を出したらバレるでしょう」


「小鳥さん……」


 琴葉も私も頭を抱えた。


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