第3幕 人間ではない存在
第10話 綺麗なお姉さん
「あっかん……はぐれてもうた」
いつも通り鬼ごっこしとったはずやのに。
見覚えのない場所に来てもうた。
しかも、普段迷ったら助けに来てくれる白猫のシロは現れてくれへん。
「えーどないしよ。って、ん?」
適当に歩いとったら、草木が刈り取られた歩きよさそうな道を見っけた。
「なんやろ」
自分が置かれている状況なんて頭からすっ飛んだ。
この道の先になにかがある。
知らんけど。
好奇心が抑えられへん。
「行ってみよ!」
某有名映画の歌いながら、散歩気分でなだらかな登り道を進んでいく。
「あれ?」
なんでこんなとこに。
目の前に現れたのは、
「これって鳥居と……えーしめ縄っていうやつやんな」
鳥居は古い感じやのにしめ縄はちょっと新しい感じ。
交換? したばっかりなんやろか。
こんなところ、誰が手入れしてんねやろ。
少なくともうちの村の人ではないと思う。
多分。
「なんやろ、あの木のやつ」
鳥居の奥にあったんは、木製の割と大きな、名前のわからんやつ。
見たことはあるけど。
「オーラ感じんなあ」
中二病発言?
違うもん。
ホンマにそういうのわかんねん。
そんなに霊感強くないけど、ちゃんと幽霊視えるもん……ちゃんと、ってなんや。
まぁ、いいや。
えっとな、なんで霊感の話をしたかって言うと。
木のやつの隣、石に座って本を読んどる女性がおるねん。
白い服、サラサラな髪、芸能人みたいに整った顔立ち。
芸能人におりそう。
人間って一瞬思ったんや。
でも、生気を感じひん。
変な雰囲気が漂っとる。
「お姉さんだぁれ?」
しもた。
声かけてもた。
無意識って怖いわぁ。
って呑気に言うとる場合ちゃう。
大人苦手やのに、しかも絶対人間ちゃうのになんで声かけたんや私!
回れ右をして走りだそうとしたら、
「……貴女、視えるのね」
柔らかいけど、鋭い声。
ちょっと威圧感あるかもしれん。
もっかい回れ右をして女性に向きおうたそのとき、強く風が吹いて木々がざわめいた。
「視えるのね?」
再度確認。
ちょっとどころちゃうわ。
威圧感バリバリあるわ。
顔は別に怖くないんよ。
雰囲気で圧倒される感じ。
この人……人ちゃうわ、霊やった。
ただの幽霊と違う。
もっと上の存在な気がする。
「はい、視えます」
「そう」
おん?
なんで逃げ出そうとしたんやろ。
一緒におって苦痛を感じひん。
むしろ、おーちゃんとおるときみたいに癒しみたいなんを感じる。
威圧感と癒し。
矛盾してると思うやん?
それが並列? なんて言うたらええん。
わからん。
小三の語彙力のなさなめんなよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます