第2幕 出会い

第6話 Let's 探検 1/2

 休みの日は暇すぎて死にそうや。


 テレビ一日中見とるんは飽きた。


 ゴロゴロするのにも飽きた。


 かと言って、遊んでくれる友達は村におらん。


 クラスメイトも優しいし話してくれるのに、遊んではくれへん。


 ひとりの子がこっそり教えてくれたんやけどな、


「あの村の子と遊ぶな」


 って大人から言われとるらしい。


 なんじゃいそれ。


 別に誰と遊ぼうが本人の自由やろ。


 私らなんも悪いことしてないやん。


 正確には『私は』やな。


 他の子は知らん。


 変なちょっかいかけて女子から嫌われてるんかも。


 小五男子二人。


 思春期の男子ってそうやん?


 好きな子に意地悪して気を引こうとして大失敗する。


 知らんけど。


 経験したことないし。


 まだ小三やし。


 てなわけで、前置き滅茶苦茶前置きが長くなったけど、


「今日は探検や!」


 ママが初給料で買ってくれた自転車。


 大好きな水色。


 服も水色が好きやし、文房具もハンカチもなんでも水色が一番や。


 やけど、水色のスカートはアカン。


 大っ嫌い。


 短パンがええねん。


 動きやすいやろ。


 前の学校では「女の子らしくない」「変なの」って言われとったけどな。


 知るか。


 人の好みや。


 放っておいてや。


「晴れてよかったぁ」


 秋って台風割と多いやん?


 ここら辺は直撃すること滅多にないらしいけど、近づいてきたらやっぱり雨は降るし風は強くなる。


 おばあちゃん家は古い家やから、毎回屋根が吹き飛ばされるんちゃうかってビビっとる。


 内緒な。


 ママには平気な顔しとるから。


「……なんか雰囲気暗いなあ」


 村の人に見つかったらなに言われるかわからんからな。


 バレんように森に入らんと。


「しゃーない。ただ日当たり悪いだけし。行こ」


 と思たんやけど、問題発生。


「自転車どないしよ」


 ここまで乗ってきたんはええけど、


「この道、自転車押しては登れそうにないなあ」


 草木生い茂っとるし。


 絶対無理や。


「置いていったらイタズラされるに決まっとる」


 折角ママに買ってもらった自転車。


 壊されたりしたら泣いてまう。


「ニャー」


「ん?」


 鳴き声がして振り返ったら、


「あ、あんたこの間の」


 白猫がおった。


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