第21話 すべては臍の形から

 有◯架純の研究を始めた。研究なんてご立派に言えるほど、たいそれたことはしていないのだが、どうか研究と言わせて欲しい。

 この研究は唐突に始まった。深夜、唐突に有◯架純不足になった。そろそろ真剣にスニーカーを買わなければと、楽天やAmazonを巡っていた時、唐突に有◯架純が恋しくなったのだ。

 今すぐに有◯架純を摂取したい。過剰摂取したい。そう思いながらも眠った。

 翌朝から私による私のための有◯架純過剰摂取が始まった。手始めにインスタをフォロー。ふふ、これでひとまずは安心だ(なにが)。さて次は映像だ。皆様は、数年前にWOWOWで配信されていた「有◯架純の撮休」というオムニバスドラマをご存知だろうか。もちろんフィクションであるが、彼女の「素」っぽい部分を三十分×八話堪能できる、素晴らしいオムニバスドラマだ。当時、復帰したばかりの仕事と育児に明け暮れる中、私を癒してくれた。今思えば、有◯架純の出ているドラマは大抵見ている。古の昔より、私の細胞は有◯架純を欲していたということが判明した。

 その「有◯架純の撮休」は、アマプラでも配信されている。私はプライム会員。見る以外の選択肢はない。

 一話から爆発的な可愛さを放っている。やわらかい方言が耳心地いい。あまりの心地よさにしばし眠る。エンディングで目覚め、よだれを拭いもう一度はじめから。こんどは寝ずに有◯架純を堪能できた。

 二話は特に好きな話で、全八話の中で一位、二位を争う。有◯架純の友人(伊◯沙莉)が好意を持っている上司と三人で飲む。女を下に見ている上司への痛快な言い様が清々しい。ほんわかしていて女らしい役を演じることが多い(ような気がする)彼女のパジャマでだらける姿や、友人に「だからあんたは以外とモテない」などと言われ首をたらす姿はここでしか見れない最高の癒し。エンディングで徐に二人、サングラスをかけだし、アイスを食べるシーンがとてつもなく好きだ。友人と二人だけの、特有なルールがあるのは芸能人も一般人も一緒のようだ。

 三話には注意が必要だ。有◯架純が人間ドッグを受ける話なのだが、無防備ゆえの魅力が溢れ出しすぎていて辛い。ここでも方言が出る。しかも密室、仄かな暗闇、ヘソ出しの三拍子だ。見ていてとてもドギマギした。あの男と席を変わりたいと強く願った。そんな感情の他にここで感じたことは、「有◯架純は臍から違う」ということだ。彼女は、この世に爆誕し、へその緒を切る瞬間から神に愛されていたのだ。ものすごくへその緒を切るのがうまい助産師さんに当たったのだろう。縦長で、ものすごく綺麗な臍だった。私は昔、臍で芸をするような子供だったが、きっと彼女の臍では、綺麗すぎてそこに存在するだけで芸術だろう。

「そうか。有◯架純か、そうでないかは、すべて臍の形から……」

 そう思うと余計に尊みが増した。その後も八話まで有◯架純を堪能しつくし、大満足で私の休日は幕を閉じた。

 しかしこれで終わりではない。私は今後も有◯架純の研究を続けて参る所存だ。



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