第19話 難儀その二
巷でよくありがちな会話。特に年上の人に聞かれることが多い。
「高校の時、なんの曲流行ってた?」
……なんとも恐ろしいクエスチョン。私はこの手の質問にうまく回答できた試しがない。
何故ならば私は高校時代(中学時代も半分)尖りに尖っていたため、J-POPを聞かない人間だったからだ……(暗黒時代)!
ビジュアル系バンドを追いかけ、自身もバンド活動に励み、流行りの曲とは遠い生活。仲間たちも、ハードロック、メタル、メロコアなどのディープなジャンルを偏愛する者ばかりだった。尖っている奴の周りは大抵尖っている。でかくて強そうなブルドックが付けている(みたいな)トゲトゲのチョーカーやブレスレットを付けて、物理的に尖っている者もいた。
暗黒時代でも、それはそれで楽しい学生時代だった。あの「はみ出している感」が爽快だった。しかし当時のことを、平々凡々に生きている今聞かれると、たじろいでしまう。あの恐ろしい質問が飛んでくると、否が応でも顔が引きつる。
「んー……なんでしたかねぇ」
「A◯B……だったかなぁ……? あはは……」
職場で「三家学生時代暗黒説」が流れる前に、そろそろ本腰を入れて当時流行っていた音楽を調べなければ。この恐ろしい質問に耐えうる最強のカードを……!
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