第17話 難儀

 BLにどっぷり沼ってしまってからというもの、ちょっと困った現象が起きています。いや、寧ろ沼っていてよかった。俺には大切な家族がある……!

 その現象というのに、仕事中稀に陥る。その現象に名前を付けるとするのなら、「汝、BLであれ」現象……うーん、センスない。

 接客業をしているのですが、ごく稀にとても素敵な方がご来店されると「うわー!!! めっちゃタイプーーー!!!」と内心でお祭り騒ぎを起こしてしまうことがあります。無駄のないあっさりとしたお顔立ちの方が好ましい。さらに食べ方が可愛かったり(あまりジッとは見ないようにしているが見てしまう)、ちょっとあたふたしてたりするともうぐっと心を掴まれてしまう。後ろ髪が跳ねていたりとか。

 あー素敵。ぜひあなた様と親密な中になりたい。はじめは強くそう思うのです。

 が、しかし。皿を洗ったりなんだりして、仕事しているふりをしながら妄想に勇んでいると、だんだん「違う……」となってくる。どうしてもあの素敵なお方の隣に自分がいることが想像できない。自分は想像できないのに、(今回の場合は)ちょっと強引な幼馴染攻めとか勝手に登場してくる。

「違うんだ! 君じゃない、私があなた様と共に……!」と願うも虚しく、彼は彼よりも十センチほど背の高い攻めと光の方へ歩んでいく……。結局その結末にものすごく満足している俺。

 これが、「汝、BLであれ」現象です。本気で他の人に心変わりするつもりは無いですが、安心してくれたまえ家族諸君。この現象は最期まで続くであろう。素敵な殿方に素敵な殿方が現れますように……!




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