第3話 抜けし一族
我が一族は抜けし一族である。そう、髪の毛の話だ。
私の父も、天国に行かれし祖父も漏れなく禿頭であるし、母も祖母も女にしては薄い。もれなく私も年の割に額が年々広がりつつある。元々広いのに、だ。
幸か不幸か、私のパートナーも同じだった。となれば、我々のお子は禿頭におけるサラブレット中のサラブレットなのである。毎日しっかり洗って差し上げているのに、多分私より抜けている。さすがはトップオブトップサラブレット……!
毎日掃除機をかけている。一戸建てなので時間を気にせず早朝であれ深夜であれ構わずかけている。一日に二回も三回もかけることだってある。それなのに、床から髪の毛は消えてくれない。かけたそばから、枯れ葉のように毛根からはらはらと散っていく。無念すぎる。侘しすぎる……!
私は強くお掃除ロボットの導入を希望している。掃除機をかける時間が無くなれば、パソコンに積もった埃も少しは薄くなるだろう(希望的観測)。しかしパートナー的にはまだそこまで必要性を感じていないらしい。そりゃそうだろうよ、俺が掌のまめを潰しながら掃除機がけをしているからな……!
三日掃除機がけをサボろうものなら、きっと床はに髪の毛の絨毯が敷かれるだろう。敷いた覚えのない黒い絨毯を見れば、さすがにパートナーもお掃除ロボットの導入に同意してくれるだろうか。一回試してみようかな。
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