第28話 悶える先輩
「はぁ……はぁ……小早川君っ!」
先輩の嬌声が部屋にこだまする。
「おや、先輩、ここがいいんですか?」
「あ、そこはダメ!」
「とかなんとか言って、こんなになってるじゃありませんか。本当はここがいいんですよね。ほら、ぐりぐりー」
「んあっ! そんなに強くしないで……! こういうの……慣れてないんです!」
「加減したつもりなんですがね」
悲鳴にも似た甘い声に俺はちょっぴり嗜虐的な気持ちを抱きつつ、ご要望を汲んで優しくすることに。
俺が動く度に先輩は布団の上で身を捩ってよがる。布団のシーツをギュッと掴み、身体を強張らせて刺激に抗おうとした。されど抗えずされるがまま。
その表情に俺はなんだかゾクゾクしてしまうのだ。清楚で上品な美墨先輩がしどけなく口を開けた表情などなんとも……。
「ここがこんなになって……。下の方もほぐしとかないと後で辛いですよ? そちらにも触れていいですか?」
「は、はい……もちろんです。私のカラダ、全て小早川君にお任せします。でもハジメテなので優しくしてください……」
お許しが出た。もう遠慮は不要だ。これから先は俺の好きに動いて良いらしい。
「それじゃあイきますよ?」
*
先輩は仰向けになって布団に身を投げ出している。クターっと脱力し、頬は酒の酔いも合わさりすごく赤い。
「先輩、声たくさん出てましたね」
俺は隣の布団に座って休憩。はぁはぁと荒い息を整えていた。
「うぅ……小早川君、ひどいです。優しくしてって言ったのにあんなに強く。すごく痛かったんですからね……」
「あはは、すみません。先輩の反応が良くてつい力んじゃいました。可愛らしい声出てましたし」
「むぅ、意地悪です。小早川君、普段は人畜無害な顔してこういう時はSになるので?」
Sなんて単語が出てくるのは先輩が酔っているせいだろうか? 普段彼女の口から出てこない単語なだけにギャップにぞくりと嗜虐心をくすぐられる。そういう俺もだいぶ酔ってるな。
「元カノにも言われました。『抵抗しない相手にはSだ』って」
「元カノさんにもしてあげたんですね」
「えぇ、しょっちゅう。元カノも好きでしたし」
そう、結愛も好きだったので俺によく求めてきた。俺が疲れてるからと断ってもどうしてもとせがむほどだった。もちろん結愛も可愛らしく喘いでいたものだ。
「それにしても本当に初めてだったんですね」
「はい、興味はあったのですが勇気が出ず。初めてが小早川君で良かったです」
「初めての感想はどうでしたか?」
「……結構痛かったです。でもすごく気持ち良かったですよ。またお願いしたいくらいです」
「俺でよければいつでもしてあげますよ」
「本当ですか? 他の人に触れられるのは抵抗があるので小早川君だと安心します」
「任せてください! それで早速ですが二回目行きますか?」
「え、もう二回目ですか?」
「はい。俺は回復したのでいつでも!」
「それじゃあ……お願いします」
先輩はモジモジ遠慮がちに頼んできた。今夜が初めてだからまだ緊張しているのだろう。今度はもう少し優しく、気持ち良くしてあげよう。
「あ……入ってきます……! 小早川君の指が……!」
先輩が苦痛と快楽を混ぜ合わせた声を上げた。
「先輩のここ……まだ固いですね。でもだいぶほぐれてきましたね」
「はい、小早川君のおかげで緩くなりました、肩が」
布団の上に正座する先輩。その先輩の肩に俺は親指をグリグリ動かして筋肉をほぐす。
そう、現在先輩にマッサージをしてあげているのだ。今日一日歩き回ったせいで先輩はお疲れ気味だったので申し出た次第だ。
先輩は整体院などに行ったことがないそうで少し不安がっていたが、俺は明日に響くといけないのでと強く申し出た。
案の定、先輩の足腰は乳酸が溜まって凝っていたので効果は絶大! 一回のマッサージですっかり身体は軽くなったようだ。
「でもまだ肩はガチガチですね」
「お恥ずかしながら、む、胸のせいで凝ってるのかと。でも姉は私ほどひどくないのが不思議です」
「先輩は姿勢が猫背気味だから僧帽筋が常に張ってるんですよ。文乃さんは立ち仕事で背筋を伸ばすよう心がけているのでは?」
「確かに姉は姿勢が良いですね。立っても座っても背筋がピンと伸びてますし」
「巻き肩と言って前に肩が閉まった姿勢が良くないんですよ。意識して肩を開くか、猫背矯正ベルトを試すのをお勧めします」
その後も俺は先輩の身体をじっくりほぐした。二回もマッサージをするとさすがに疲れたのでぐっすり眠ったのだった。
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肩こりって辛いですよね😞
私も悩まされて毎日ストレッチしてます!
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