SS (Girls side・挿絵あり)サ活!

 ◆四人のトークルーム◇


『(涼子)サウナ行くわよ!』


『(金吾)どうしたんだ、急に』


『(涼子)このところ二次試験対策で空李ちゃんがこん詰めてると思ったから、サウナで整ってリフレッシュさせてあげようと思って!』


『(空李)わーい! ありがとうございます、涼子さん!』


『(詩乃)リフレッシュもたまには大事ですよね』


『(涼子)そーゆーこと! それじゃあ、明日は皆でサウナで整うわよ!』


『(空李)おー!』


『(詩乃)おー!』


『(金吾)おー!』


『(涼子)あ、男女別だから金吾は一人で整ってね』


『(金吾)(´・ω・)』


 *


 そんなこんなでやって来たのは『北斉の湯』。郊外商業地区にある老舗のお風呂屋さんで、休日でも人の少なそうなので穴場スポットだ。


「お風呂屋さん、久々に来ました〜。サウナ楽しみー!」


 券売機で私と空李ちゃんと詩乃先輩の三人分のチケットを買う。お風呂屋さん独特の温かく湿り気のある空気にあてられたのか、空李ちゃんはテンションマックスだ。


「私も大きなお風呂は久々です。涼子さんはサウナによく来られるんですか?」


「時々ですね。友達に誘われて皆で整うって感じです」


「なるほど……整い仲間ですね」


「いや、普通の友達です」


 詩乃先輩、そんな深く考えることないと思いますよ?

 と、そこに空李ちゃんが会話に混ざってくる。


「えへへ、じゃあ私達も整い仲間ですね! あーあ、金吾も来ればよかったのに」


 空李ちゃんが嘆くように金吾は今日は来ていない。


「『一人でサウナ入ってもつまらない』、だなんていじけちゃって」


 空李ちゃんは別個でもいいから金吾と出かけたかったらしい。推しなのは相変わらずだ。


「仕方がありませんよ。確かに一人で黙々とサウナに入ってても寂しいでしょうからね」


「いや、むしろなんで一緒に入れると思ってたのか不思議だわ」


 サウナって裸だから当然男女別でしょうに。まぁ、あいつの場合エロい意味じゃなくて、皆でワイワイしたかったのだろうが。

 そんなわけで今日は金吾抜き。女三人水入らずでサウナで整いに来たのだった。


 受付を済ませて脱衣所へ。お風呂屋さん独特の湿度がどんどん高まり、肌が潤っていくのがすぐに分かる。


「今更ですが、試験直前にサウナに来てよかったのでしょうか? 疲労を溜め込んだりしないか心配になって来ました」


 服を脱ぎながら詩乃先輩が心配を口にする。


「その心配ご無用です。サウナは正しく入れば疲れが取れることこそあれ、疲れることはありませんから」


「そうなのですね。整い……奥が深いです」


「ねーねー、涼子さん。よく『整う』って言いますけど結局何なんですか? 血行が良くなることです?」


「よくぞ聞いてくれました!」


 空李ちゃんへ間髪入れず解説!


「『整う』というのは一種のトランス状態よ」


「「トランス?」」


「そう。サウナ、水風呂、外気浴のローテーションを二、三セット繰り返すことで脳内麻薬がドバドバ分泌されて、それはもう気持ちのいい恍惚状態になるの」


「「おぉ〜」」


「身体を温めて冷えや凝りも良くなって良いことづくめ。受験前のメンテナンスにうってつけってわけよ」


 このところ空李ちゃんはがむしゃらになって二次試験対策に取り組んでいる。共通試験の結果がよろしくなかったせいで、前哨戦の負けを取り戻すのに必死だ。

 一方の私と詩乃先輩も二月に入ってからは春休みを利用して勉強を見ている。皆疲れが溜まる頃合いだから、ここらでデトックスしようというわけだ。


 三人ともすっぽんぽんになり、浴室へ。女同士だから特に恥ずかしがることもない。掛け湯をしてすぐにサウナルームに入った。


「うひゃー、暑い〜」


「子どもの時以来です、サウナ……」


 尋常じゃない熱気にあてられた空李ちゃん達は早くも汗を吹き出していた。


 浴室は盛況だがサウナは無人で貸切状態。好きなだけくつろげるし、おしゃべりしても誰にも迷惑かけることはない。


「いやぁ、詩乃さ〜ん。生で見るとやっぱり大きいですね〜」


「はぁ……絶対言われると思ってました」


 だからこんな話だってできてしまう。脱衣所からこちら、空李ちゃんは詩乃先輩のおっぱいに興味津々だ。エロい中学生かって思うくらい見てえる。


 とはいえ、私も生で見れて圧倒されているが。


「実際何カップくらいあるんですか、先輩。Hカップ?」


「涼子さんまで。お正月に増量されてとうとうJになりました」


「「じぇじぇ、J!?」」


 予想より大きかった! JとかグラビアかAVでしか聞いたことない単語だ。

 張り、立体感、目でも分かる重量感の規格外さ。私の友達の中で一番大きなGカップが可愛く見える。

 というか触らせてほしい……。


「ふぇ〜、おっきいなぁ〜。美墨先生もおっきいけど詩乃さんもすごいや。というか先生とどっちが大きいの?」


「姉もJなので最近ようやく並びました。はぁ……こんなとこだけ追いつくことないのに……」


 お姉さんもJカップなの!? 空李ちゃんの話から大きいと聞いてたけど、姉妹揃ってJだなんて……美墨家のおっぱい偏差値高すぎ! やっぱ食べ物が同じだから姉妹ともども育つのね。

 しかも先輩、全然本意じゃない感じだ。くぅ……私なんてようやく育乳の甲斐あってDに昇格したというのに……。


「いいなぁ……。私、全然おっきくならないんですよね……。お胸はいつまで経ってもぺったんこです……」


「大きくても良いことありませんよ? ブラの種類少ないし、似合う服ないので空李ちゃんみたいにオシャレできませんし。何より肩が凝ります」


「うーん、でも一回でいいから大きな胸で男の人を悩殺してみたいんです!」


「悩殺してどうするんですか……」


 確かに。爆乳使って悩殺したい男がこの子にいるのか? 空李ちゃん、やっぱり不思議ちゃんだ。


「大きくたっていいことはありません。男性の視線を感じますし……。私としては涼子さんが憧れです」


「え、私?」


 突然話題を振られて肩が跳ねる。そんな凶悪グラマラスボディから羨まれるとは意外だ。


「涼子さん、すらっとしてるのにお胸もお尻もあるのですごくお綺麗です」


「確かに! 似合う服も多そう!」


 便乗した空李ちゃんと先輩、二人分の視線が私の身体を這う。


「えへへ……ありがとう。実はプロポーションには自信があるのよねー」


 褒められた私は満更でもない。背は一六五センチで平均より高いし、手脚も長い。胸は誰かさんに負けるけどある方だし、お尻だってしっかりシェイプアップしてる。

 うむ、我ながら良い女だ。


「それだけスタイルが良いとさぞモテるのでは? 涼子さんは人柄も明るいですし」


 真剣味のある口調の詩乃先輩。この人が恋バナしてくるなんて珍しい。何かあったのかな?


「うふふ、自慢じゃないですがモテますよ? 主に山科君からしつこくデートに誘われてます」


「あぁ……彼ですか。美人は苦労しますね」


 羨望の眼差しが一転、憐れみに変わる。美容は楽しいし、男子からチヤホヤされるのは悪い気がしない。だがしつこい奴もいるので良いことばかりじゃないのだ。


「でもやっぱり涼子さんに憧れちゃます〜。私も来年から共学(予定)だからちょっとくらい男子にチヤホヤされてみたいなぁ、なんてっ☆」


「空李ちゃんは可愛いから絶対モテわよ。同級生も上級生も入れ食いよ」


「もう、涼子さんお上手! 私なんか全然可愛くないですよぉ。友達の凪音とか可愛さ鬼ヤバなんですからぁー」


「またまたご謙遜を〜。空李ちゃん、ルックス良いし愛嬌あるから男ウケするわよ。でも、山科みたいな変なのに捕まらないようにね」


「気をつけまーす。えへへ、でも恋愛もしてみたいけど、私、大学に入ったらもっとしたいことがあるんです」


 良い具合に汗をかいてきたが空李ちゃんはまだまだ余裕綽々。満面の笑みでそんな含みのあることを言った。


「やりたいこと、ってなんですか?」


「それはひ・み・つ、です!」


「むぅ、気になります」


 ぷく、と頬を膨らませて不満を訴える先輩。


 空李ちゃんのやりたいこと、なんだろう?

 女子校で出会いがなかったから恋愛に興味津々と思ってたが、それより心惹かれることがあるのだろうか?


「ま、恋愛も良いけど、勉強とかバイトとかサークルとか、やること目白押しで事欠かないわよ。今頑張ってる分、好きなこと好きなだけやりなさいな」


「えへへ、楽しみ〜。そういえば涼子さんは次の彼氏作らないんですか?」


「ほへ?」


 どうしたのかな、急に?


「前の彼氏をしばらく経つって言ってましたけど」


 ギクゥ!!

 そういえば空李ちゃんには私からフったって見栄張っちゃったんだっけ!?

 にしてもこの子はデリケートなところを容赦なくつついてくるなぁ。


 天然ちゃん恐るべし……。


「いい、空李ちゃん? 大学生になる前によーく覚えておいてね。大学は恋愛をする場所じゃないの。恋愛する場所なの。『恋人がいないとダメ』だなんて偏見持って入学しちゃダメよ?」


「その通りですよ、空李ちゃん!」


 お、なぜか詩乃先輩も乗っかってくれた。予想外だけどこれは頼もしい。そのまま先輩は熱弁し始める。


「大学は高校までと違い、主体的に学び、研究する場所です。サークルや交友も結構ですが、本分をおろそかにしてはいけませんよ?」


「し、詩乃さん、ちょっと怖い……。そういうとこ美墨先生とそっくりだよ〜」


 あの空李ちゃんを一撃で縮こまらせるとは、恐るべし美墨効果。


「ま、大事なのは学業とそれ以外を両立ってことね。単位さえキチッと取ればあとは何やっても自由だから。春からきっと楽しくなるわよ」


 そう、春になればいろんなことが変わる。良きにつけ悪しきにつけ、出会いと別れが私達を変えるだろう。


 空李ちゃんと詩乃先輩との出会い、金吾とリコネスの決別は種のようなもの。春になったら芽吹いて私達に変化をもたらすはず。


 その変化を楽しみに思う自分と、怖いと思う自分がいた。

 今までは自分が楽しいとか心地良いと思う立場に甘んじいたせいだろう。

 サークルでは末端の会員、大学では一番後輩の一年生。それも春になれば変わってしまう。

 それが少しだけ怖いのだ。


 だが憂いても仕方ない。時は平等に過ぎるものだ。何より来年度からは空李ちゃんの先輩になるのだ、少しは格好いい所見せられるようにしないと。


「さて、と。そろそろ時間だから水風呂いきましょうか。だいぶ汗かいたわ」


「私も限界が来てます……」


 おしゃべりしているうちにすっかり身体は火照って汗まみれだ。詩乃先輩も顔が火照り、こんもりしたお胸に無数の雫が滴っている。


「私はまだまだ余裕ですよー」


「空李ちゃん、無理は禁物よ? 水風呂と外気浴しましょうね」


 何事も自分のペースで、ね。


 その後、私達は三セット終えてきっちり整い、オロポをキめたのであった。


 最後の勝負に向けて、準備は万端だ。


†――――――――――――――†

 近況ノートのイラストが運営にジェノサイドされたのでXにて再開しました。

 https://x.com/osflickfmp11306/status/1721755805995893160?s=46


 スレンダーな女の子、程よいスタイルの女性、爆乳美女。

 皆さんはどんな女性がお好みですか??

 よかったらコメント欄で教えてください!


 次回から本編です。

 いよいよ第一部クライマックス突入です!

†――――――――――――――†

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