第23話 美墨の国語の授業
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また、更新頻度についてお知らせです。
現在、本業で関わってる案件炎上中🔥につき、執筆に割ける時間が減っております😢
今後は週2回程度の更新を予定しております。
お楽しみの読者様には恐縮ですが、何卒ご了承ください。
それでは本日もお楽しみください。
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「こほん。それでは改めまして、私、美墨が国語のレクチャーをさせて頂きます」
ドタバタ劇が落ち着き、気を取り直して授業が始まった。
本日の科目は国語。作戦会議の結果、十二月上旬の最後の模試までは二次試験の対策をすることにした。中でも国語は彼女の苦手科目なため、重点的に取り組むことにした。
「はい、お願いします、美墨先生!」
空李さんは背筋をピンと伸ばして返事をした。元気と緊張に満ちた面持ちだった。
対して美墨先輩は胸焼けでも起こしたみたいに渋い顔を少しした。
「せ、先生はよしてください。私は教師ではないので」
「はっ!? すみません! えへへ、なんだか美墨先生に見てもらってる気がしてつい」
なるほど。先輩のお姉さんは空李さんの先生で、姉妹の容姿は見間違えられるほど似ているのだとか。
前々から気になってたけどどんな人なんだろう?
「空李さん、先輩のお姉さん……美墨先生はどんな方なんですか?」
「美墨先生は私が中学校に入った時からずっと担任の先生してくれてるの。優しくて教え上手だから皆先生のことが大好きなんだよ」
空李さんはまるで友達を紹介するかのごとく誇らしげに語った。その顔つきを見るだけでいかに空李さんが先生を慕っているかが伺える。
「でも校則には厳しくて、スカート短くしすぎたり、メイクが濃すぎると叱られちゃうんだ。私もこの前学校でスマホいじってて没収されちゃった」
なるほど、優しいだけでなく先生らしく厳しい一面も持っているのか。指導というのはその辺りの匙加減が難しいのだろう。
そういう意味で美墨先生は理想的な教師なのかもしれない。そんな先生なら一度教え子になってみたいものだ。
「あとね、すっごく美人! 詩乃さんとおんなじで肌白くて髪の毛艶々! それからおっぱいもすごく大きい! 詩乃さんとおんなじくらい大きい!」
「空李さん?」
おやおや、話が桃色な方向に逸れてるぞ?
「服がはち切れるくらいドドーンって大きくて、前に一度ブラウスが壊れちゃったことがあったんだ! その時にブラジャーとおっぱいが見えちゃって、能登っち鼻血ぶーって吹いてたの! おっぱい見て鼻血って漫画みたい! あ、能登っちていうのはうちの男の先生のことね」
おうおう、能登先生とやら、ラッキースケベですなぁ、羨ましい。
というかやっぱ愛宕女学院にも男性の先生っているんだ。
いいなぁ、俺も来年度から教職課程取ろうかなぁ……じゃなくて!
「ほいほーい、空李ちゃんそこまでにしようか? 美墨先生と同じくらい美人な先輩が顔真っ赤にしてるわよぉ?」
「はう!? すみません、私、勝手に舞い上がってしまって……」
「いえ……空李ちゃんが姉を慕ってくれているのがよく分かりました」
先輩は紅潮した顔を俯かせてプルプルと震えている。ついでに先生と同じくらい大きなおっぱいもプルプル震えている気がした。
美墨先生……優しくて教え上手な上に巨乳の美女と来たか……。
来世では美墨先生の教え子になりたいなぁ……。
昼間は先生の授業を聞いて、放課後は生徒指導室でヒミツの授業……。
男子高校生なら誰もが一度は夢見るシュチュエーションだ。
「そういえば、空李ちゃんを中学生から面倒見てるってことは教師歴長いんですよね? おいくつですか?」
「涼子さん、ダメ!」
何の気なしな涼子の質問を空李さんが迫真の面持ちで遮った。
「美墨先生の前で年齢の話は禁句なの! 察してあげて!」
「あ、うん。なんかごめん……。先輩もごめんなさい」
「いえ、私に被害はないので」
思いがけず地雷を踏んでしまった涼子。
空李さんを中一から指導しているということは少なくとも教師歴は六年。新卒で教職に就いたのなら微妙なお年頃なはずだ。
俺の推測だが先生はきっと独身。
忙しくてきっと自分の恋など二の次なのだろう。
日本の先生は大変だ。
*
その後は気を取り直して美墨先輩の国語のレクチャーが始まった。
まずは現代文の問題を解いてみて、空李さんの解き方を見てみることにした。
解き終わり、答案を講師三人で確認してみる。
三人とも無言で頷き、どうしたものかと思案する。
論評も小説も正解は半分くらい。
問題なのは不正解な解答の内容だ。
全然違う選択肢を選んだり、見当違いな記述をしたりしてしまっている。こうなると正解もまぐれなんじゃと訝しくなった。
「空李さん、この小説問題の松本の心情に関する問いですが、どうしてこの選択肢を選んだのでしょう?」
俺が確認しているのは成果した問いである。
「えっと……そんな気がしたの」
対して空李さんは目を泳がせながら答えた。
「では小池は?」
「小池は女の人だから分かったの!」
空李さんは得意げに胸を張る。
「じゃあゴンザレスの心情が分からなかったのは?」
「うーん、ゴンザレスには全然共感できなかったなー」
なるほど。やはり空李さんは現代文を論理ではなくセンスで解いている。空李さんらしいな。
でもそれではいけない。なんとなくで解いてはギャンブルをやってるのと同じだ。
「感覚ではなく実力で導けるようになりましょう」
「そんなこと言われても作者の心情とか、登場人物の気持ちとかエスパーじゃないから分かんないよ〜」
空李さんは目を回しそうなくらいワタワタしてしまう。
センスで問題を解いてきた彼女にとっては無理難題に聞こえたのだろう。
そんな彼女に担当講師の美墨先輩が優しくアドバイスした。
「現代文の解答のヒントは必ず問題文の中にあります。問題文は初見の論評や小説が普通なので、出題者は必ずヒントを用意してくれるものなんです。今日はその探し方から教えていきましょう」
そうして先輩の授業がスタートした。
今解いた問題の解説、解き方のレクチャーと続き、別な問題を解いてみる。
すると……
「あ……分かった気がする」
空李さんは選択肢を迷いなくマークする。記述式問題はすらすらとペンを走らせた。
気になる得点であるが……
「三十点満点中、二十七点! 空李ちゃん、すごいです!」
「わぁ、やったあ! 詩乃さん、ありがとう!」
「いえ、とんでもありません。空李ちゃんの実力ですよ!」
手を取り、喜びを分かち合う空李さんと先輩。
「空李ちゃんすごいわねぇ。こんなにすぐ結果出しちゃうなんて」
涼子が感心のため息を漏らした。
確かに驚きだ。今解いたのは問題集収録の比較的優しい問題だ。とはいえ早々に成長を見せるとは思わなんだ。
「えへへ、詩乃さんが教え上手だからすぐにできちゃった! やっぱり美墨先生の妹さんだね! 教え上手なところもそっくりなんだよ!」
「姉は関係ないと思いますが……」
美墨先輩は褒められてるのにあまり嬉しくなさそうだ。胸に苦玉を詰まらせたような顔を一瞬だけ見せた。
俺はどうにもその表情に引っかかりを覚えた。とはいえずけずけ聞ける間柄でもないので見て見ぬふりをするしかない。
でもやっぱり気になる。
『今の美墨詩乃の心情を述べよ』
そんな国語の問題を解くには直接彼女の心を紐解くほかないだろう。
あるいはこの先の物語にヒントが隠されているのだろうか?
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