第17話 娘

談笑し終えたとき、最後にアレックス家の娘がやってきた。


確か同い年だったはずだ。


「ナハト様。ナハト様はお強いと聞いたのですが本当でございましょうか。」

「ん?まぁ、それなりには。」


「!!っでしたら後で私と手合わせしてくれませんか?」

「…構わないが。アレックス公爵殿はいいのか?」


「構わないさ。」

「ありがとうございます。一度手合わせをしておきたかったのです。」


パッと顔がほころんだ。


「・・・・・・」


いや、いきなり何を言い出すのだこいつは……。

頭がおかしいのではないだろうか。


笑顔で言うようなことではないだろ。

しょうがないのでアレックス公爵父娘とイシェルを連れて訓練所に行く。


「ここなら全力を出されても大丈夫です。」


「ありがとうございます。では……。」


父から細剣を受け取ると女性ならではの柔らかい筋肉をいかした超加速でこちらに迫った。


旋風せんぷう


急いで後方に離脱しながら片方の足へ風をぶつけ体感を壊そうとする。

それを魔力によって相殺しながら娘はそのまま追ってくる。


レイピアによる刺突を小手で弾きながらそこら辺にあった片手剣を拾い上げる。


「大剣ではないのですか?」

「小回りがきかん。相性が悪い。」


「それもそうですね。」


その笑顔で言うようなことではないだろ、絶対狙ってる。


剣戟の応酬が続く。


珠毒棘万しゅどくりんまん


彼女の背後から茨の棘のようなものが周りを埋め尽くすように伸びる。


刃鳴狼穿じんめいろうが


慌てて技を返すが、壊したそばから再生されるので意味がない。


「済まない、耐えてくれ。」

「何を?」


空中へ離脱したナハトは先程買った大剣に持ち替えた。


氷焔凶狼覇フェンリル


巣で見せたものよりは手加減している。

全力でイシェルが結界を張ってくれたのでパーティーのみんなが気にすることはないだろう。


そして、彼女もまた生きていた。

満身創痍ではあるが体は再生されている。


「ありがとうございました。」

「気にするな。」


予想以上に強かった。

技もちゃんとした能力を持っている。

そういった多少の驚きはあったが、無事にパーティーは幕間を迎えた。


片付けが終わったのは12時頃。

シャワーを浴びてすぐ横になる。



しかし、この世界には風呂がないな。今度作らせるか……。

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