第14話 軍部
冒険者協会に戻り、こちらもS級昇格手続きを踏む。
あの魔物はS級の中でも上位であるためS−ではなくSらしい。
これはあっちのパーティーも同じように上がるようだ。
昇格のあとギルドマスターの部屋に案内された。
「領主様。此の度は巣を滅ぼし街を危機から救ってくれたことを感謝いたします。」
「当然の事をしたまでだ。それと、よくあんな強いA級が協会内に待機していたな。」
「当番制ですからね。しかし、S級に進化しているとは我々も把握できていませんでしたな。」
「この街にS級は?」
「今昇格する人たちを除けば2パーティーですな。」
「なるほど。これからも大きな依頼などがあったら言ってくれ、力になる。」
「ありがとうございます。」
ギルマスと別れ、屋敷に帰っていく。
S級と呼ばれている人物の強さを実感した今、自領の戦力の確認をしておきたくなった。
クリフォト領に限らず、フロー王国では徴兵制により成人男性の中で農民は18〜25歳の間に3年間、町民は2年間軍事任務を行うことが義務付けられている。
また、それとは別に有事の際にも農民の35歳以下の男性全員が徴兵されることになっている。
だが、ここはクリフォト領である。
魔物のレベルが他領よりも強く、より強い人間が必要だ。
そのため訓練のレベルは相当高く、厳しい。
しかし、農作業などが大変になる春や秋は緊急事態以外で徴兵せずに夏と冬だけ徴兵される仕組みになっているため農民にとってはとても良いだろう。
その代わり、任期はどちらも4年であるが…。
免除する仕組みもあり、資格を得たものは最終的に俺の許可を得て免除されるようになっているはずだ。
一回のレベルが高く、日々の農作業でもだいぶ鍛えられるので他国と比べても一方上の戦力を有しているだろう。
それは指揮官も同様だ。
指揮官は主に富裕層で教育ができているものがほとんどだが、中には叩き上げで平民から大佐級にまで上がった人間もいる。
軍師と呼ばれる人物を一人紹介しよう。
ヘルロ・パーキウス
今期待の若手だ。
将棋やチェスに似たゲームで大の大人相手に互角以上に張り合うことで有名になった。
俺もたまに見に行くが見ていて面白い。
奇抜な一手で相手を翻弄したかと思えば、堅実な手で守り勝つこともある。
引き際も弁えており柔軟な思考を持っているのだろう。
これからの活躍に期待だ。
此度の戦争でより励みとなればいいだろう。
次は精鋭部隊を紹介しよう。
兵役期間中にその力を見出されたものはスカウトを受ける。
この過程を経ると軍人となることができるのだ。
その中でも優秀な人間や特殊な能力を持った人間を集めたのが精鋭部隊だ。
主に100人ほどの隊が何個かある形にはなっているが、5人ほどで構成される特殊部隊もいる。
主な役割は遊撃だ。
本軍が攻めている間に単独で別の砦を落としたり、側面から攻撃することができる。
それとは別に魔衛支援隊という部隊がある。
名の通り魔法で後方から援護をするための部隊だ。
精鋭部隊との違いは機動力にある。
そこまで体力がなかったり、臆病な性格のものでも後方にいて魔法を撃つだけでいいので編成が楽である。
同じような役割で弓兵や弩兵、大型攻城兵器も後方に配属されている。
あと特徴的なのは工作兵だろうか。
敵の城に潜入をして内側から爆破を仕掛けたり、罠を張って敵の伏兵を潰す役割を持っている。
軍の中で俺が直接名前を知る人物は少ない、強いて言うならば先程出た5人で形成する特殊部隊だな。
部隊名を【戯れる
工作兵一人、レンジャー一人、魔法使い一人に、戦士二人という組み合わせで構成される【戯れる
破壊、誘導、囮、攻城、ゲリラ。すべてを高水準でこなす化け物集団だ。
最近では、その弟子が新しく組織されるという噂もあったので確認しておこう。
ちなみにクリフォト直属の暗殺部隊は軍の管理の中には含まれていない。
あくまでクリフォト家が直接管理するという体形になっているのだ。
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