502話 宇垣自動車カナダとアメリカに整備網を構築。

銀行は好景気な時には必要が無いのに

お金を無理やり貸そうとしてきて、不景気な時にはお金を貸さずに追い出そうとするというのは1930年代の好景気のアメリカのすべての銀行でもそうだった。


不景気になった後の銀行の貸し渋りによって中小の企業の立ち直りが遅くなり、事業計画は進まなくなった。


そして大企業は銀行には何も期待しなくなっていった。

フォードは自社の車のローンに特化したマイカーローン会社を作るほどだったし。


この1930年代といえば色々な航空関連メーカーにとっては黎明期である。

セイバーは苦境に陥っている各航空機メーカーにお金を貸して45%の株を保有する大株主になっていった。

いや、フォードやゼネラルモータースも助けて資本比率を増やしていった。

フォードはヘンリーフォードさんが大株主は嫌がったので両方とも5パーセント以下だが。



そういえばUSスティールでも似た事が起きていたが、数年は不況が続くと思ったのか、フォードやゼネラルモータースでは40後半から50歳以上の大ベテラン工員を次々と切り捨ててクビにしていっていた。


定年のはやいこの時代だけに、確かに定年間近かもしれないが、その人間の年齢のところだけを見て大ベテランをクビにしていく姿勢には恐ろしさを感じてしまう。

その中にはヘンリーフォードと一緒にエンジンをチューニングしてレースでの優勝に貢献したベテラン整備エンジニアも混ざっている、、、


あのレースでの優勝のおかげでフォード自動車に投資する人間が集まり、フォード自動車が生まれたというのに。

フォード自動車にとって恩人なのに。


そして、大ベテランの彼らは初期のフォード自動車にとってはダイヤモンドのように貴重な優秀な人材だった、、、


何らかのイベントや発表会でトラブルが起きないようにフォードの自動車を整備して最終チェックするのは彼らのような大ベテランの役割だった。


各地のディーラーの整備士を指導して整備の仕方を教えたのも彼らだし、

流れ作業による車の組み立て作業を

実現させたのも彼らのようなベテランの活躍が大きかった。


工場から高品質な車が生み出されているのは彼らの働きが大きいと言っても過言ではない。


実は、組み立てるのが難しいパーツの組み立てやチェックを行なっていたのもベテランの彼らである。


大ベテランの彼らだから短い時間でパーツの組み立てのノルマをこなした後に難しいパーツの組み合わせの再チェックを行ったりして、新型のフォードAモデルの組み立てラインの円滑化にも貢献が大きかった。

給料の倍以上の働きをしていたとも言えるベテランのクビ切りを人事の若造の権限でバッサバッサとやってしまってる、、、


彼らの作るT型フォードには値段以上の価値があり、スペック以上にエンジンの調子も良かったのに、フォードは大丈夫なのだろうか?


彼ら大ベテラン工員が育てたベテラン達が居る内は目立った不具合は起きないだろうが、、、


彼ら、大ベテラン工員達に救いの手を差し出したのが宇垣自動車だった。


アメリカは広い。


宇垣自動車は売れているので整備網を作らなければいけなくなったのだが、

各州や大都市には作れているが、中規模な街ともなると整備拠点はまだまだだった。

だが、フォードやGMの大ベテラン工員である彼らを雇えれば心強い。


宇垣自動車は彼らの力を借りて一気に全米に整備網を作り上げていった。


彼らのおかげで宇垣グループはこちらの全米に素早く拠点を構築する事ができたのである。


日本なら整備の神様なんて言われるだろう、凄腕のベテラン整備士を大勢雇えて各州の各郡、すべての都市や街に配備できたのだから快挙と言っていい。

しかも若手の整備士を彼らが育てて育成してくれるので宇垣は凄いと言われるようになるのである。


だが、史実の歴史で全米3位の自動車メーカーになるクライスラーにとっては悪夢になるのだった。


史実の歴史の未来のクライスラーは、ステランティス・ノースアメリカ社のブランドの1つとなっているのだが、、、

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