501話 アメリカの累積債務2000億ドル
さて、この超不況の原因は過剰なアメリカ人の債務の多さにもあると言われています。
もう、世界大恐慌の入り口はくぐっており、逆戻りはできなくなってると言ってもいいでしょう。
イタリアのように影響が少ない国もありますし、日本のように好景気な国もありますがイギリスやフランスでも不況になり失業者が増え始めています。
アメリカ人の失業者500万人、イギリスやフランスの失業者も100万〜200万人になっています。
ドイツはそれより多いです。
大インフレで痛めつけられていますから。
政府間などの債務は一切含んでいない、アメリカ合衆国の個人の間の債務の総額は1929年の時点で2000億ドルに達していました。
これは農家の債務、個人が銀行から借りている債務(株債務)家や車や家具、家電などの月賦の残高がそれほどまでの数字になっているという事です。
更に農業州で猛威を振るっていた銀行の倒産ですが、都市部の銀行の倒産と合わさって、より大きなマイナスになってアメリカを更なるデフレ大不況に落とそうとしています。
(専門家の見解です。)
セイバーは思ったのですが、いくら好景気だからって、この時点のアメリカで与信審査を厳しくせずにホイホイとお金を貸して家を売るのは間違っているのではと思っていました。
それだけの車や家がある事を支える基盤が整っていないのに売るだけ売ってしまったのはリーマンショックの失敗に似ている所があります。
貧しい労働者や若者達は車や家を買った後で維持するのに苦労していました。
更に安めの値段とはいえ6000ドルはする郊外の家の維持にも労働者は苦労していました。
『なんで月賦で色々と買ってしまったんだ、、、贅沢品なんか買わなければ良かった、、、』と思っているアメリカ人労働者は多い様子でした。
車や家電などの月賦の支払いが終わっても家のローンの支払いが重くのしかかってきます。
車のローンですが、30%〜40%の頭金を支払ってローンを組むというのに3年ローンで買う人が多かったとも言われています。
ええ。車を維持するのが経済的に大変な人が買っているからこそそんなに長いローンを組むのです。
金利も高くなるぶん負債総額も多くなります。
フォードのタイプTを買うのも大変なのにシボレーのスペリアを買うなんて贅沢をした人も居るかもしれません。
更に郊外から職場に通うには高いガソリンを買わなければなりませんし。
『お金の支払いに追われるギリギリの生活を自分達はなぜしているのか、、、』
『アパートに住んで、歩きか自転車で工場に行って、貯金通帳に溜まっていくお金を眺めていた、楽しかった頃に戻りたい。』
と思っているアメリカ人労働者も大勢いました。
『寒い。』『お腹が空いて死にそうだ。』『苦しい。』と思っている
ホームレスの失業者500万人に比べたらマシなのですが。
自動車製造工場の幹部様に逆らったら
その製造ラインの部門の責任者であっても『クビだ』と言われて工場から追い出されて失業者になってしまうのが普通になりつつあるのが今のアメリカでした。
ヘンリーフォードさんも一緒になって
油に塗れながら、創意工夫を考えて生産効率を高くしようとしていた、幹部も一緒に働く素晴らしい時代は終わってしまいました。
「「「俺たちは工場労働奴隷じゃない」」」と彼らは叫びたくなるけど幹部様には言えない時代に突入しようとしているのでした。
余談ですが、のちに日本のトヨタがアメリカに進出して工場を作った時、身体の大きなアメリカの労働者達は怯えていたそうです。
日本人の幹部に逆らったらすぐにクビにされてしまうのではないかと、、、
車の生産ラインを止める事はクビになるのがアメリカの車製造工場の現場でした。それが常識でした。
アメリカの自動車メーカーの工場なら製造労働者の提案など聞いてはもらえません。
スーツを着ている幹部の皆様と下々の労働者の間には白人と黒人奴隷くらいの階級の差があるのですから。(と、労働者が言いたくなるほどの階級の差がありました。)
トヨタなら改善を提案すれば褒めてもらえ、評価してもらえ、真面目に働いていればクビにされたりしないとわかってアメリカ人労働者の士気は凄く高くなったと言われています。
こうだから、アメリカの工場で製造された日本車は故障が少なく、信頼性が高く高品質だと言われるのですね。
そして今も品質が維持されています。
バイクのハーレーも故障し易い時代がありました。
そうなるのは相応の理由があるのです。
ジョージ・グレンさんのような凄い技術者でも幹部にクビと言われたら解雇されてしまうのが、1930年のUSスティールなのです。
労働者風情が貴族様に意見するな、
生意気だとか言われてしまうのです。
ほんと階級社会というのは恐ろしいですねえ。
USスティールなんか労働者全員が安月給のパートタイマーにされちゃうんですから。
アメリカを代表する企業ですら、こうなのです。
労働者が経済的に困る氷河期のような時代がやってくるのです。
郊外の住宅地ですが、元々の町があるとこなら商店もありますが、場所によっては家だけの買い物難民を生み出す地域も多くありました。
ちなみに作者のおじさんのとこもそうです。
家や車を売って捨ててホームレスになった人間には不便な生活に嫌気がさした人間もいたのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます