496話 ジョージ・グレン、理想の戦艦と出会う。
日本の戦艦と空母の格安メンテを受け持っている宇垣造船。宇垣としてはメンテをしつつ耐久性のチェックや船体のチェックをしてデーター収集していました。
宇垣造船でメンテをされると不具合の報告が無くなり、艦内はものすごく綺麗になって帰ってくるので海軍でも大評判でした。
そしてそういうメンテの時なら軍事機密の塊のような日本の戦艦も、ジョージ達にすべてを見せてあげる事ができます。
ジョージは『金剛、榛名、比叡、霧島』の金剛級戦艦。
『扶桑、山城』の扶桑級戦艦。
『伊勢、日向』の伊勢級戦艦。
『長門、陸奥』の長門級戦艦。
『赤城、加賀』の赤城級空母と加賀級空母を見てまわりました。
彼のような造船の専門家に隠す事はできないでしょう。
これらの戦艦は『毒を食らわば皿まで』精神で宇垣が新規に建造した、
『金剛モドキ、扶桑モドキ、伊勢モドキ、長門モドキ、赤城モドキ、加賀モドキ』です。
建造されて、それほど月日は経っていない新品の船です。
ジョージ達は空いた口が塞がらないといった有り様です。
まぁ、前の戦艦の時からは中身が違い過ぎています。
外見は似てても中身は別物です。
蒸気機関は4基しか搭載されていませんし、タービンも4基しか搭載されていません。これらもそこそこの馬力はありますが、馬力のほとんどは魔導反応炉によって出されています。
アメリカの原子力空母なみの馬力が出ています。
大幅に空いている艦内スペースは乗員用の施設になって居心地を良くしています。
へやも広々していますし、上甲板装甲も舷側装甲もずっしりと分厚くなっています。
アメリカの戦艦で、もっとも重装甲だとされているペンシルベニア級や16インチ砲を搭載しているコロラド級よりもずっと分厚い装甲が張り巡らされている様子にジョージを驚きを隠せませんでした。
そしてもう1つ驚きなのが、新規建造されているにも関わらず、舷側装甲は斜めに傾けられておらず舷側そのものが
舷側装甲になっており、上甲板装甲と頑丈に接合されている構造だという事です。
単純なだけでなくかなり強固な作りになっています。
『これだよ!これ! 戦艦はこうした方が装甲も強固にできるし、何よりも合理的だ!!』とジョージは感動すらしていました。
装甲の配置や厚さはまさにジョージがやりたかった戦艦そのものです。
上甲板装甲もこれほど分厚ければ、1000ポンド(454kg)の爆弾にも楽々に耐える事ができるでしょう。
フーヴァー大統領が海軍軍縮条約の改装の制限を大幅に緩和したので、もう少し隠していれば条約違反ではなくなります。
まぁ、バラすつもりはありませんけど、バレて今、開戦になっても面白そうです。
航空機は未発達だし、アメリカは悲惨な状態になってるし、こちらが圧倒的に有利ですから。
ジョージはこれらの戦艦を見た事で、
心の中で思っていた事を言語化できました。
『現在の戦艦は日本の戦艦のような例外的な戦艦を除けば、上甲板装甲が薄過ぎているし、舷側装甲との接合箇所の構造も脆弱。
艦内の20ヶ所ほどの構造部分を、より強固にして接合部分を強固にすると共に、弾薬庫の装甲部分とも強固に接合する事で落下してくる爆弾や砲弾に対しての装甲強度を上げる事が必要なのに、今の戦艦は装甲の強度が全然足りていない。』というのがジョージの感じていた戦艦の装甲の違和感でした。
500kg爆弾に対する防御を考えていた
装甲空母の大鳳の上甲板装甲の構造や
支持箇所あたりの構造をより強固にするような感じに近いでしょう。
ジョージは自分の考えをすぐにイラストにしてくれ、装甲を溶接して見本を作り上げ、説明してくれたので、これらの戦艦が実戦に出るとしたら、これらの構造が採用される事になるでしょう。
これで日本の戦艦の上甲板装甲は、より強固になるでしょうね。
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