492話 銀行破綻連鎖する。
あのリーマンショックの3倍以上の規模とも言われる世界大恐慌。
すでに書きましたが各地域での連鎖的な銀行の倒産により、セントルイス地区、アトランタ地区、リッチモンド地区、ナッシュビル地区の銀行が連鎖倒産した影響は南部全域だけではなく全米に悪影響がありました。
(扇情的には報道していませんが宇垣系マスコミはこと細かに報道していますのでアメリカの新聞は大量の銀行や企業の倒産記事で埋め尽くされています。)
大手企業が倒産して取引先の企業が倒産する事はありますが、銀行や証券会社も大規模に連鎖倒産するんだとアメリカ人は気がついてしまいました。
(不安に思った人間が預金を引き出しての資金不足による連鎖倒産も多かったのですが、、、
いや、トドメになったのは資金不足ですが、財務状況が悪かった事もプラスしてのダブルパンチでしよう。)
ニューヨークとフィラデルフィアで全米に名前を知られ、メガバンクなみの預金を保有している大銀行の合衆国銀行とバンカーズトラストが倒産して、
そのショックが収まらない内に、
4ヶ月の短期間にシカゴ、ミネアポリス、クリーブランド、カンザスシティの銀行が大規模に連鎖して倒産するんです。
シカゴでは不動産ブームの時に銀行が増えましたが、その三分の一にあたる
200行の銀行が倒産します。
この時期の全米の銀行の倒産の75%が
これらの地区に集中します。
知名度の高い大銀行が倒産しシカゴのような大都市の銀行がバタバタと倒産しても合衆国政府は銀行を救おうとしないのかと国民は失望します。
いえ、負債総額が多過ぎて大統領が用意した5億ドルでは全然足りないのです。
大統領が実務に秀でたフーヴァー大統領だからこそ、合衆国銀行やバンカーズトラスト、コールドウェル商会を救おうとしたら大変な負債が出てくると
わかっていたのでしょう。
セイバー達は逆に呆れも混じっています。
倒産した銀行にあった預金の総額ですが、1ヶ月に倒産した銀行の預金総額が12行で数千万ドルとか、47行で1億ドルとか途方もない金額だったからです。
郊外の家一軒が6000ドル、車が500ドル、労働者の年収が2000ドルの時代なのにとんでもない金額が失われていきます。
そして金本位制で高い金利のイギリスにアメリカから1億ドルを超える預金が押し寄せている、この時期に、、、
『イギリスが金本位制から離脱します。』
ええ、昨日までは『ポンドは金と連動』しており、『金貨と交換する事も可能な金の裏付けもある通貨』でしたが、ポンドは金の裏付けの無い通貨になってしまいました。
つい最近までハイパーインフレだった
ドイツではその時のマルクは紙切れ同然でして、金貨や銀貨がお金となっていました。
ゴーレム達は紙切れのマルクをコレクションしていましたが、、、ただ同然の安い値段で買えますし。
イギリスポンドが金と連動しなくなった事で激震が走りました。
「「「「こんな世界的不況の時にやるなよ!ブリカス!!」」」」
と世界中のゴーレムが叫びましたよ。
いや、世界中の人かも。
いや、これからも世界に輸出したい日本としては円を高くし過ぎにはしたくなかったんです。
豊富に産出している石油のおかげで
価値が安定している日本の円の価値が
暴騰し過ぎては困ります。
ただでさえドイツマルクが安いというのに。
でも、欧州は間近でドイツマルクのハイパーインフレを見ていましたからね。広大な地域がハイパーインフレで苦しんだのです。
まぁ、パリコミューンの蜂起やフランスとドイツの戦争の時でパリまでドイツが迫った戦争の時もパリ市内は食糧不足でインフレになり、フランスのフラン紙幣では食料が買えず、金貨なら農家が食糧を売ってくれる時代でしたのでフランス人もよく知ってますが。
世界通貨だったイギリスポンドの不安定など、誰も望んでいないと思うのですがねえ。
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