483話 アメリカのマスコミは、、、

アメリカの新聞の誌面は毎日、悲惨な状況を報道して大統領や知事達、議員達を批判していました。


このネタが新聞がもっとも売れるネタでした。


ラジオは新聞に比べたら控えめに伝えているので、新聞の購読者は減少せずに微増すらしています。


特に購読者が知りたがるのは企業の経営状況や倒産のありのままの情報です。


頻発している銀行の取り付け騒ぎの情報も、ありのままに報道しています。

(地方の新聞などは特に。)


特に宇垣資本の地方新聞は地方の状況だけでなくアメリカ全土の経済状況を1日は遅れますが翌日に報道するレスポンスの良さで他の地方紙を圧倒しており部数と地方でのシェアを伸ばしています。

大きいニュースがある時は号外を無料で夕方に届けたりするサービスもしています。


アメリカだけに、地方を独占できれば

美味しい思いも色々とできます。


そして宇垣系アメリカ地方紙には『スーパーマン』の連載も始まりました。


『アメリカンスーパーヒーロー』の誕生です。

史実では1938年の誕生ですから、

1930年の誕生はかなり早いですね。

『キャプテン・アメリカ』や『スーパーガール』も順次登場予定です。


これらの新聞の正確でリアルな報道が銀行の取り付け騒ぎを加速させ、よりアメリカの経済をよりどん底に落とすのは皮肉です。

でも、正確に報道すると、アメリカの銀行って取り付け騒ぎが凄いんだもん。


都市部での株の売り注文が落ち着いた頃に地方で報道されたニュースの内容を見て地方の投資家の株の売りが殺到してニューヨークの証券取り引き市場は暴落を繰り返していました。


しかもセイバー達が売り逃げて株の買い圧力が下がっている所での売り注文の殺到です。


そりゃあ暴落もするでしょう。


それに扇情的な報道もありますし。


『フォード自動車10万人をクビ切り、

工場内は暴落前とは別世界。

暴落する株の買い支えで大損か?』

とか、

『ゼネラル・モータースも10万人をクビ切り。デュラント氏、株の買い支えで巨万の富を失う。』

なんて書いているのはおとなしい方な有り様でした。

特に、20日働けば100ドル稼げるフォードの工場労働者は家を待とうとしたり、マイカーを持っているだけに、いいネタとして弄られています。


こんな記事を見れば、そりゃあ株も売りたくなるでしょう。


マスコミは大手の保険会社や大手の金融機関や大手の証券会社も買い支えに失敗して巨額の損失を隠していると報道します。


そして中小とはいえ周りで企業が倒産して、銀行も倒産しているのを知っていますから、他の新聞社の『○○銀行の負債総額は数千万ドル?』『粉飾決算が横行、企業モラルは地に落ちた。』なんて記事も信じてしまいます。

宇垣系の新聞はかなり真実に近いネタも報道していますし。


実際に史実の大恐慌時に倒産しているアメリカの銀行や金融機関の負債総額ですが、普通の時代よりもかなり巨額です。


中小の銀行ですら『何故?』と言いたくなる金額なのですから、赤字を隠しに隠してどうしようもなくなって倒産しているのでしょう。

それは倒産している他の企業も同じです。粉飾決算を続けてどうしようもなくなっての倒産は悲惨ですねえ。



なんせ史実のゼネラルモータースすら、株の暴落時の買い支えでデュラント氏が大損して1920年に追い出されています。

それ以降はアルフレッド・スローンの元で経営されるのですが、、、


この照和世界では何故かデュラントさんが社長のままで1930年まで在任していて、1928〜29年の株の大暴落の買い支えでデュラントさんが大損しているわけですが。


何度も大暴落が起きた事は、その度にアメリカ企業を痛めつけていました。



こうして正確で客観的な報道をしようと心掛けている宇垣系のアメリカの新聞社ですが、それだけに購読者からは信頼されていました。


そして、『デトロイトの○○新聞社の何月何日の報道によるとフォード自動車が10万人を解雇したと報道がありました。』と他社の記事を紹介したりもしているのですが、信頼できる記事が多いと購読者からは評判が高くなりました。

でも、逆に言えばアメリカの失業者の多さや失業率の高さも正確に報道しているわけで、より深いデフレの底なし沼にアメリカを落とすきっかけになってしまったかもしれません。


でも、その州の銀行の70%〜80%の銀行が集団で倒産しているなんて真実を知ったら、そりゃあ恐怖を感じますよね。




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