481話 我が道を行く日本
1930年になると、アメリカで失業者が250万人を超えたと報道されても、アメリカの株が暴落する小規模な暴落が起きても日本ではあまり反応が起きなくなっていきました。
考えてみれば日本で世界大戦終結不況や金融不安が日本で起きてもアメリカは好景気だったし。
その逆でアメリカが不況で日本が好景気であっても不思議じゃないよなと日本人が思うようになったからです。
アメリカで失業者が増えて250万人になったかもしれないが、日本の失業率は低いし、まぁ太平洋の向こう側の遠くの国だからと思われるようになっていきました。
絹も綿も宇垣が買い取っているせいか
全然農家からの買い取り価格は下がらないし、アメリカと違って農作物価格も安定しているし。
日本はまったくアメリカの大不況の影響を受けていませんでした。
そして日本ではコンクリート製のマンションの建設ブームが起きていました。
東京の場合、西側の中心の新宿、渋谷、池袋より西側の小田急、京王、井之頭線の沿線です。
史実でも吉祥寺が発展したのは関東大震災後です。
それにしても、宇垣が作っているくせにと言われそうですが、アメリカや欧州で売られている宇垣製品のワイシャツやシャツ類の着心地が凄く良く進化していました。
いや、まだ準世界管理者なのだが、ランクが上がってレベルが上がったからだろうか?
ほとんど世界管理者に近い存在だからだろうか?
防汚&劣化防止&保存魔法の効き目が更にアップしたからだろうか?
なんか令和の今治タオルと同レベルの高品質タオルやシルクシャツが作れています。
特にチューンはしていないのに、宇垣マーク1のエンジンやミゼットやバイク類も馬力やトルクが上がっていると報告されています。
今の宇垣製品の顧客満足度は高く、
買った人間は全員がリピーターになっています。
以前のシャツなどの着心地も綿繊維とは思えない絹のようなハイレベルさだったのが、更にランクアップして未来人の宇垣昌弘が驚いているほど着心地です。
実は作者は平成時代での最高の着心地を目指して作ったトレーナーというものを持っています。
トレーナーとしては原価が高くなり過ぎてしまうためシャネルなどのブランドメーカーすら使わない、それらのブランドメーカーのトレーナーより1ランク上のトレーナーの着心地は天にも昇る心地良さでした。
『えっ? これって最高級のシルク?』と思ったほどの品です。
そんな品物を思わせる着心地の良い衣服が1930年に出たのだから、高い値段でも上流階級の人達に愛用されるのが良くわかります。
採算度外視の最高級シルクより上の着心地であり、洗濯しても着心地の良さが1年は持続するのだから。
さすがは品質保持魔法です。
上流階級御用達の他の製品の3倍の値段でも飛ぶように売れています。
まぁ、ダンジョン綿やダンジョンシルクやダンジョンスパイダーシルクも混ぜているオーパーツ製品なのだから、
それでも安いほどですが。
で、宇垣製品は上流階級向けに特化している為、中流階級向け、それ以下の
衣服に関しては史実のように日本の綿製品は席巻しないと思っていたのだが、こちらも中流向けの高品質製品で
高い値段なのに良く売れている。
史実でもカンタベリーなどの綿産業界が大ダメージを受けていたのだが、
こちらでも起きているのだ。
その秘密の1つは生地にある。
伸びてほしい関節の可動部分の生地は
柔軟で伸びるのだ。
そして伸びなくてもいい場所は伸びない。
スパイダーシルクと錬金工場がなければ、こんなのは作れないだろう。
更に色落ちもしないのだから最高な衣服だ。
この素晴らしい品質の良さがブランド力になって、中流階級向けの製品も
大ヒットしてしまった。
上流階級の人達に世界一素晴らしい物だと言われるようになる事が、これほどプラスになるとは思いもしなかった。
そして誰が見ても素晴らしい物を日本が出した事が「メイド・イン・ジャパン」ブランドにとって凄くプラスになる。
そういえば、1930年代近辺のアメリカでは中国ブームだったそうだが、チャイナブームが起きる気配がまったく無い。
近代になってから、色々な発明や発見もしていて、戦艦すら作れ、空母の建造の早さもイギリスと争い、ロシアに勝った日本と中国では格が違うと言われるようになっている。
やや早く大暴落が起きているせいか
アメリカの失業者の人数が史実よりも50万ほど多めになっています。車の製造台数は最盛期より70%も少なく製造されており、家電製品なども生産が縮小されています。
フォードやGMが大規模な首切りをしてフォードは9万人を解雇して工場の社員を3万8000人体制にしましたし、ゼネラルモータースも70%の日雇い工員を雇うのをやめています。
そうなると工場で働いている日払い工員が夢から覚めてしまうんですね。
家を買おうとか、車を持とうとか、何かあればすぐにクビを切られてしまうような弱い立場の俺たちが何を夢見ているのかと。
石炭を掘っている労働者と自分達は何も変わらないと。
デトロイトにある各工場をまわって
職を探しても何も勤め先が無い、、、
失業者に対する炊き出しとか、何も行われていない、、、
つい最近まで好景気だったのに、もう
路上生活者が増えている。
あんなに活気があったデトロイトですらこうなら、他はもっと悲惨なんじゃないかと彼等は思っていましたが、
それはその通りでした。
中流を目指していた人達、労働者の過半数を占める彼らが財布の紐を閉めるようになりました。
狭い家に住んでいても、ちょっとした贅沢として蓄音器くらい欲しいと思っていた人も、明日の食事のパンの事ばかり考えています。
史実よりもアメリカの景気の冷え込みは厳しいようでした。
アメリカの州政府は高速道路の建設や、色々な公共工事を行って失業者を雇っています。
それなのに街には失業者が溢れています。
まるで関東大震災の被災者に見えます。
ただでさえ大不況で売れ行きが悪いのに、宇垣ブランドに押されてエルメスなどの高級ブランドメーカーはかなり業績が悪化しています。
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