476話 その頃のアメリカ。失業者200万人超える。

あの世界大戦からなんのかんのあっても好景気で繁栄し続けていたアメリカ合衆国。

株価が下がる事はあっても、すぐに上昇し始めましたし、アメリカ人達はこの繁栄は永遠に続くなんて思っていました。


フーヴァー大統領は『景気は循環する。だから次の好景気になるまでの(ほんの少しの)我慢だ。』と言い続けていましたし、

エコノミストや学者の中にも、『他の国は世界戦争が終わって、すぐに株の暴落とか不況がやって来ていたがアメリカは無縁だった。

他の国も不況からは回復しているし、

神に選ばれた国であるアメリカも、

この不況は長くは続かない。』

なんて事を言ってました。(テレビは生まれたばかりなので)アメリカ国民は主に新聞やラジオに騙されて好景気を期待して待っていました。


そう、今のアメリカで1番儲けていた

セイバー達が(いつ頃第二の大波がやってくるのか、、、マジで怖い)と怯えているのに、、、


今日も株にたいした動きはないので、

セイバー達は焼きたてのフランスパンにバターを塗って焼いたベーコン、レタス、スクランブルエッグ、チーズなどを挟んでランチを楽しんでいました。


ディーリングルームとは思えない寛ぎっぷりですけど、予知能力がピピッと来ない時は休息も必要です。

まぁ、いつ売り買いのタイミングが来るのかわからないので、この手の軽食を大量に作って冷蔵庫に入れたりしています。

なお、ピザはアメリカもレベルが高いので持って帰る事もあります。


お腹も満たされたし、セイバーはレポートを読んでいました。


『おい、このレポートは上に上げるぞ!』セイバーは錬金工場でレポートをコピーすると全員に配りました。


そこには生々しい内容が書かれてありました。

1つは全米の失業者数が200万人を突破したのではというレポートでした。

いや、史実では、このあたりでは200万人の失業者は出ていないはず。

少ないとはいえ中国に派兵だってしているのに200万人とは恐ろしい数字です。株の暴落が起きてまだ半年もたっていないのに。


もう1つは田舎の銀行が、なぜ農家にこんなにお金を融資したのか?


この町の農家を全部破産させるつもりなのかと疑うほど、大金を貸してトラクターや農作業機械を農家に買わせていました。


農家の発展の事を考えつつ、無理のない融資を計画した場合とは全然違う、明らかな過剰融資です。


最近は中西部のどこの農家も豊作貧乏になっており、『このままじゃ利子も支払うのが難しい。破産してしまう!』と、多くの農家が悲鳴をあげていました。

農作業機械メーカーは栄えて農家が破産して滅びるなんて本末転倒です。


『これって農作業メーカーが銀行を作って、多くの農家に農作業機械を買わせたのじゃあ、、、もしくはメーカーが銀行マンにバックリベートを渡して口説かせていたのかも。』


これらの農家は中西部の田舎にあり、

借金の担保は土地と家です。


お金を払えなくなれば土地と家と農作業機械のすべてを失って無一文。

しかも貸した側の責任のある銀行は倒産している銀行も多く、怒りをぶつける先がありません。

貸すだけ貸しての計画的な倒産と、

その債券を手に入れて取り立てる善意の第三者の銀行に見えなくもありません。


あまりにも手際が良すぎるのが計画的に見えてくるとレポートに書かれています。

(つまりどこかの銀行の手先の悪い連中が田舎に銀行を作って荒らすだけ荒らして倒産して逃げているように見えます。銀行というと良いイメージがありますが、銀行と名乗っているだけの悪党の高利貸しにも見えます。

金利を返済するだけで精一杯で元本は減らずにそのままの状態というのは、借金漬けにして奴隷にするようなもの。あまりにも悪どい考えです。)


(あっ、あの北海道の開拓奴隷村とタコ部屋ですが、計画的に中枢の開拓会社に破産されて逃げられ、善意の第三者と称する『仲間』に債券が渡って暗躍されたら、その処理はもっと大変だったでしょう。)


(しかも、騙し易いカモリストに名前が載っているのか、第二の投資話をしにくる怪しい連中がいるとか、、、)


調べて見ると新しく作られた投資系の会社は競争が激しい中に割って入る為に相当に強引なセールスをする所もあるとか、、、セイバー達は屈強なガードマン付きの会社の上に自宅があるので(と言いつつ転移魔法で日本の自宅に転移して寝たりしている。)

サギまがいの連中に付き纏われる事は無かったのですが、そういえばと思い当たるふしがあります。



新しい成功者の面々も屈強なガードマンを家に常駐させて警備させているとか。

他社から金持ちの顧客を奪う為の行為が口説きではなく、ハニトラ付きの口説きになっていたり、付き纏いになっている悪質な会社があるようです。

何やら背後にはマフィアの影があるとか、、、

過当競争状態なのでグレーゾーンの会社の連中も悪質さが増しています。


そういえば、日本のバブル期の時も銀行や証券会社は高い利息なのに、どんな手を使ってでも借りさせろとか、

破産させてでも取り戻せとか、悪辣な事をやってましたっけ。


株で最初の何回かは儲けさせて、のめり込ませて、全財産を株に投資させようとする悪質な会社もあるようです。



娘を身売りさせてお金がある百姓のお父さんやお爺さんを博打や女に狂わせて金を巻き上げようとするヤクザと手口がそっくりですよ。

(しかも、売られた娘の身請け先に借金を申し込みに行かせて更に金を奪おうとする悪質なヤクザの手口に。)


中西部の僻地の町の農家ですら狙われるんだから、お察しです。


アメリカは全体がマネーゲームに狂っていました。

(そしてグレーな会社やブラックな会社が増殖していました。)


マネーゲームに興味があって、自分から株を買い出すのならいいのですが、

マスコミを使って煽り立てて、大勢の人間に株を買わせようと情報すら操作して土地や株を買わせようとしています。

フロリダの土地バブルなんか、作られた土地バブルであり、地盤が軟弱で

家がワニのいる沼に落ちかねない土地すら売り買いされていたとか。


そういえば、宇垣と取り引きのある農場の人達はガンベルトに銃を入れ、目の届く場所にショットガンを置いたりして自衛していましたが、株屋や銀行屋の売り込みがうるさくてたまらないそうです。


白人のKKKのような人種差別団体との戦争に備えているのではなく、詐欺師のような連中を追い払う為とは驚きましたが、、、


そういう詐欺師かどうかわからない

有象無象が大勢いるのが今のアメリカなのでした。

契約を取り、株を買わせれば給料がノルマに応じて出ますが、契約が取れないと、すぐにクビになってしまうそうです。

『家族でも親戚でも友人でも、誰でもいいから契約を取れ!』と言われ、

家族、親戚、友人に契約してもらって、契約が取れなくなると2週間も雇って貰えずにクビ、、、

過酷なセールスをやらせる、こういう企業って、すでにあったんですね。

逆に書類を偽造して会社を騙す連中も居そうですが。


なるほど。多くのお金が失われて、

復活に時間がかかったわけだ。


こういうあくどい連中は税金なんか無視して欧州の高い金利の国に金を預けて国を跨いで逃げそうだし。


まぁ、税金を節税しつつ日本に利益をごっそりと運んで、日本で税金を支払っているのはセイバー達も一緒ですが。

会社の本拠地は租税回避地として有名なデラウェア州にありますしね。


まぁ、アメリカの上場企業の50%、

フォーチュン500企業の64%、

100万ものアメリカ企業の本拠地もしくは設立準拠地を置いているのが、租税回避地のデラウェア州です。



なんか史実よりも50万人くらい、失業者が多いような気がするのですが。

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