456話 決意!『北海道へ戻るぞ。』
騙されて北海道の開拓村で農奴をやらされていた人達ですが、宇垣財閥に同情され、高級マンションに住み、賠償金で宇垣ファンドに投資して働かずに身体を休めて暮らしていく事ができていました。
冷暖房完備の200平米の広い高級マンションです。
ですが心の傷も身体の傷も癒されてはいませんでした。
ろくな食事も食べられずに栄養失調になり、身体を酷使したので爪はボロボロ、皮膚もボロボロです。
頭皮や背中もシラミに喰われた跡がありますしね。
指などを見れば過酷な労働で身体を酷使させた過去があるのが一目でわかります。
あの苦しかった時代を思い出して夢に見て寝汗でずぶ濡れになって目が覚める事もまだあります。
後悔があるとすれば、小作争議なんてせずに一揆を起こして見張り役の移民会社の社員も殺せばよかったし、移民会社に押しかけて、中にいる社員全員を皆殺しにしてやればよかったのにと思ってしまいます。
報道して助けてくれなかったマスコミも北海道庁の役人共も皆殺しにしてやりたいと怒りが湧き上がってきます。
我々被害者から話を聞いてくれ、相談役になってくれている精神科医のお医者様や弁護士さんは、怒りがおさまらない人達で私設刑務所を見学しないか?と提案してきました。
移民会社の連中や我々を騙した連中は
我々が農奴だった時と同じような環境で暮らし、同じ食事を食べ、過酷な労働をしているとの事でした。
冬に凍死したり、病気で死ぬ人間も多く、すでにかなりの人間が冬を越せずに凍死したそうです。
まぁ、西日本で我々を騙して送り込んでいた連中には北海道の冬は厳しかったでしょうね。
あの開拓村と同じような食事を食べているところを見て、いかにも寒そうな
木の寝床を見ると、いい気味だと思ってしまいます。
知っている移民会社の連中が、やつれて痩せ細っている姿を見て、我々もなんだかスッと怒りの感情が抜けて行くのがわかりました。
奴らは死ぬまで刑務所からは出られません。
病気になっても医者には見てもらえません。
連中のような重罪犯の囚人は一般の囚人とは扱いが違います。
特に私服を肥やしていた政治家や移民会社の幹部は苦しい思いをしているでしょう。
良い暮らしからの牢獄行きですから、、、
真っ青な顔をした死にそうな老人を見ましたが、そいつこそが開拓奴隷村を考えついた元ヤクザであり、右翼の大物だそうです。
奴の持っていたヤクザ組織を大規模にして北海道を影から支配するにはお金が必要でした。でも北海道で1番のヤクザ組織を作り、樺太経由のソ連との利権を手に入れられれば麻薬や他の物を売り捌けて巨額な利益を手に入れられるでしょう。ムッソリーニの真似をして黒シャツ隊員を動員できると自慢していた彼奴のように。
なので開拓村や末端のタコ部屋労働者からお金を絞れるだけ絞り取ろうとして北海道庁から下げ渡された土地の権利を売り払って、小規模地主の代わりに管理するとの名目で暗躍していました。
もちろん、コイツがすべての黒幕ではありません。
政治家がもっとお金をよこせと言うので絞れる所から絞った結果、ああなって、どんどん酷くなって行った側面もあったとか。
また、他の移民会社が手口の真似をして、待遇が酷くなった事もあったとか。
末端の人の苦しみが感じられない愚劣な人間や政治家など、こんなものかもしれません。
北海道は中央の目が行き届きませんからね。
有力政治家ともなれば殿様のようなものと思っていたのかも。
ともかく、被害者の人達は加害者達が天罰を受けているのを見て、心にけりを付ける事ができたようです。
政治家も凍えて苦しんでいますしね。
タコ部屋の犠牲者達も、開拓村の犠牲者達も納得できたようでした。
もちろん表向きは病気になればそれなりの治療が受けられる事になってはいます。
寒さで凍死している人間が多いのだから、お察しですが。
騙された被害者の失われた命は戻ってはきません。
宇垣昌弘達は加害者にかけるお金を増やすより、助かった被害者にかけるお金を増やすべきだと思っているだけです。
そういえば被害者の遺骨ですが粉々にされて世界樹の根本に埋められました。
いや、海に散骨の方が良かったかな?
痛ましいものです。
すぐにとりかかって助けていたら、何十人も救えたかもしれないのに、、、
この教訓を糧にして、サギなどの犯罪にも厳罰で臨もうと思います。
まずはネズミ講とか、出てきたらすぐに叩かなきゃですね。
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