451話 切り分けられる中国(1929照和)
そういえば日清戦争後に眠れる獅子ではなく、美味そうな太った豚だと判明した清国は、ずらっと並ぶ列強各国に切り分けられて食べられてしまうという風刺画が外国の新聞に載っていたそうですが、中国沿岸の各地域の街が各国に分割されて食べられそうになってます。
フランスは仏印インドシナ半島に面しているあたりを占領する為にベトナム人部隊で攻撃し始めましたし、連隊規模の部隊が占領した欽州から南寧に向けての方向に動いています。(北部ベトナム地域のトンキン湾近辺ですね。)
アメリカ軍は上海から長江沿いに南京までの陸地の占領地を増やそうとしていますし、広州方面へも部隊を動かし始めました。
イギリスも寧波を押さえて飛行場を建設し始めたり、各地に砦を建設し始めています。実に手堅い。
インドは南京の市街地の租界の建設に力を入れています。
青島近辺の租界に駐留するイタリア、フランス軍の兵力も連隊規模に増えつつ
軍事施設を建設しています。
ここにも飛行場の拡大計画があります。
アメリカ、イギリス、フランス、イタリアなどの国々では新聞が派手に書き立てていて政権支持率が上がっています。
これらの国々では戦艦の砲撃シーンと
吹き飛ばされる中国の市街地がニュースとして映画館で流されて大人気になっています。
(予告の映像であり、民衆の期待を煽っています。戦艦の砲撃の場面は各国のマスコミが持っていたもの。
吹き飛ぶ中国の街はイギリスやアメリカが持っていた映像のコピーです。)
これらの列強は中国で派手に麻薬を売り捌いて大儲けしており、お金は稼いでいるので、海岸沿いの占領し易い地域を占領したら内陸に麻薬を売って更に儲けを増やそうと企んでいます。
まったく軍事費を使わずに麻薬を売りまくって大儲けしている日本が一番賢く儲けていますが。
南京で数万人の暴徒に襲われて門を閉める事ができずに連隊規模の4500人のアメリカ兵士が殺されて南京城内や市街地で虐殺が起きた教訓がまったく生かされていません。
つい最近は毒矢で夜襲されて数千人の犠牲者が出たというのに、、、
あっ、あの敗北は隠蔽されてアメリカ本国では報道はされていないんだっけ。
日々の犠牲者の中に混じらせて、
誤魔化すつもりのようです。
あの時のアメリカ軍の兵士の死体は恨まれているので、あっという間に運ばれて行き各地で晒し物にされていました。中国共産党や軍閥が宣伝に使っています。
まぁ、毒矢攻撃で1番派手に米兵の死体を晒して各地で派手に宣伝したのは李書文の義勇軍でしたが。
『第二の岳飛、第二の李書文を目指す義士よ! 我に続け!!』
と各地にアメリカ兵の死体を晒しつつ檄文を書いて宣伝しています。
あの義和団もそうでしたが、西洋の宣教師に土地や財産を奪われて苦しめられてきた民衆にとっては宣教師や西洋人の兵士を殺して取り除いてくれる
義兵達は英雄として思われています。
集まった民衆にアメリカの貨幣を派手にばら撒き、拍手喝采を浴びる李氏義勇軍の兵士達。
米兵から奪った小銃や軍装品やアメリカ国旗を誇らしげにかざして、彼等は去って行きました。
アメリカの貨幣の方が中国では価値があります。
西洋兵を殺して持ち物を奪おうと中国人の男達は機会を伺い始めます。
各地にいる軍閥や山賊、匪賊も名を上げようとし始めます。
まぁ、中国軍の正規軍は軍閥や山賊とやっている事は変わりがありません。
近代の太平天国の乱の鎮圧の1864年の天京攻防戦の時でも清(北洋軍閥)の曽国藩が南京を攻めた時に20〜30万人を虐殺しています。
まぁ、太平天国の乱の犠牲者の総数は
2000万人とも言われていますから、
相当なものです。
1864年の『天京攻防戦』の虐殺の人数は曽国藩の幕僚の一人の趙烈文が『能静居士日記』に書いていて、記録が残っているのでwikiにも載ってますね。
百田先生の『禁断の中国史』の方が
控えめの人数を書いています。
こうして中国の中規模の港のある街も列強に支配されて多くの利権が奪われています。
そして各地で白人兵が恨まれて殺されるようになり始めます。
排外運動なんて、あまり知らなかった港町でも『白人を殺せ!』とスローガンが小さな声で言われるようになっていきます。
そして毒矢で撃たれて苦しんで死ぬ戦友を見た兵士は中国人を憎むようになり憎しみの連鎖が広がっていきます。
手製で小型のボウガンでも毒矢なら
殺傷率を高くできます。
このような武器も使われだしました。
李書文の義勇軍は『李』と書かれた旗を掲げています。
清国は満州族の王朝だし、明王朝は遠い過去の王朝だし、中華民国はいまだに統一していない政権だし、中華民国も中国共産党も各地の軍閥も民衆を苦しめているし、この時代の中国人にとって不幸な事に、掲げる国旗すら誇らしく思える物が1つも存在していません。
ほんと不幸な国ですね。
あの国で善政が行われた時代って清国初期の乾隆帝の時代が最後でしょうか?
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