450話 多国籍艦隊集結。(1929照和)
『これはまた、凄い艦隊だな。』
ここは香港。
イギリスとアメリカの戦艦を合わせて
10隻。(戦艦9隻と巡洋戦艦1隻)
イタリアが『コンテ・デ・カブール』型の戦艦が3隻。
フランスが『ブルターニュ』型の戦艦を3隻派遣してくるとは思っても見なかった。
イタリアはムッソリーニが最も人気があった時代なだけに国威高揚の絶好のチャンスだと思ったのだろう。
(ちなみに現時点ではイタリアはアメリカの株価暴落の悪影響をあまり受けていないし景気にも影響が出ていない。史実もそうだったりする。)
フランスもイタリアやイギリスと競っているのだろう。
各国とも弾薬運搬船や補給船を伴っている。映像を撮影して映画館で発表するつもりなのか、撮影班が色々と撮影している。
日本も金剛級4隻が勢揃いしている。
ここに居ない巡洋艦は虐殺のあった南京近くに集結している。
日本も古鷹と四万十と玉川が南京郊外に砲撃をする映像を日本国内で発表するつもりだ。
南京城内部は国際租界になり、南京城外の市街地はインド租界にするのだから『中国人は近寄るな。』と砲撃をして中国人街を破壊して教える。
と言う事らしい。
南京の市街地は東京23区以上の面積で広大なので、まだまだ中国人が住んでいる市街が多い。
それらへの艦砲射撃が行われる予定だ。
あの襲われた時は対応が後手後手にまわってしまい、ろくに反撃ができなかった。
ので、南京のインド租界近くの中国人街を破壊して少しでも意趣返ししたいと言う事なのだろう。
ちょっともったいない気もするが、
いちいち掃討戦をして中国人を駆除してもネズミのように、また住み着くから建物自体が邪魔なのだ。
市街地の半分を破壊してもらいたいらしい。
米英も欧州各国も中国人なんかにしてやられてプライドが傷ついたのだろう。
本当は北京あたりを盛大に破壊してやりたいくらいに白人達の憎悪は大きい。
平和に暮らしたければ、相応の金額を
支払え。と言われた中国沿岸の都市群は支払って恭順の意思を示した。
戦艦が多数いる大艦隊を見せつけられたら逆らう気は起きないだろう。
戦略兵器とも言える戦艦が集結しているせいか、妙にアメリカ人や欧州人が交戦的になっている。
映像撮影班や取材する記者達は砲撃している光景を目撃して祖国に一報を入れたいと思っていて、砲撃の開始を待ち侘びていた。
白人連中の本音を言えば白人1人の命は中国人1万人よりも重い。
あのスペインインフルエンザの世界的大流行も中国から流行したのが世界を苦しめたと報道するマスコミも出始めている。
大勢の命が失われた世界的なパンデミックなだけに中国人に罪を擦り付けたいのだろう、、、
実際にパンデミックを起こしたのはアメリカやイギリスの大規模な訓練基地
であり、カンザスの訓練基地から人員の移動で各地の訓練基地がインフルエンザの蔓延地域になったのが事実だが、アメリカやイギリス陸軍としては
絶対に認めたくないのだろう。
少しでも中国側の返答が遅いとイタリアの『コンテ・デ・カブール』
の32cm砲やフランスの『ブルターニュ』の34cm砲が街の郊外に威嚇砲撃され見物している記者やカメラマンは録画しながら拍手喝采している。
日本も、あの時の南京での恨みは忘れていない。
森可成やあの時の南京城内を知っている兵士へのインタビューの依頼が殺到しており、森可成は『近くに蒋介石の部下の軍隊が居たのに誰一人として助けようとはして来なかった。
それどころか軍服を着た人間が門を開けて暴徒達を中に入れようとした。』
と繰り返して証言した。
そして『暴徒は子どもや老人や女性を盾にして近寄って来たが、子どもも老人も女性も手榴弾を投げたり銃を撃ってきた。』と証言した。
美男子な森可成が『大使館や領事館を
中国が護るのは当然の義務であり、国際条約違反だ。
中国は国際法や国際条約を守るべきだ。』
と言う絵柄はどこの国のマスコミも欲しがった。
自分達は正義であり、中国人は悪だという絵柄が欲しかったのだろう。
イギリスの「ベンボウ」「マールバラ」「エンペラー・オブ・インディア」「タイガー」、アメリカの「ユタ」「フロリダ」にとっては、これが最後の軍事作戦だ。
ロンドン海軍軍縮条約にてスクラップとしての売却が決定した。
イギリスの「アイアン・デューク」アメリカの「ワイオミング」と日本の「比叡」は改装などの費用がかかる事は無しで練習戦艦になるから保有され続ける事になったが、もちろんイギリスの「アイアン・デューク」「レナウン」アメリカの「ワイオミング」も参加している。
(日本としては比叡よりも操艦が難しい欠陥戦艦の扶桑の方を練習戦艦にしたかったところだが欠陥戦艦だとバレたくなかったので黙っている。
宇垣の改装のおかげで操艦がやり易くなったし。)
これだけ多くの戦艦が参加しているのも国家の威信を示す力の象徴は戦艦だと海軍が国民にアピールする為だ。
各国の海軍は海軍軍縮条約にうんざりしていた。
どの国の戦艦も艦齢が古くなりつつある。
1年に2隻くらいは古い戦艦を退役させて、代艦を建造を建造してもいいだろうというのが各国の海軍関係者の本音だ。
古い戦艦から順番に解体して代理の戦艦を建造させてくれと各国の海軍は思っていた。
金剛だって15年が経過しようとしている。
アメリカのフロリダ級なんか1911年の就役だ。
さすがに20年に近くなると戦艦もあちこちがガタついてくる。
この砲撃でアピールして、最低でも近代化改装予算を勝ち取りたいというのが各国の海軍の願いだった。
だが、イギリス首相のラムゼイ・マクドナルドやアメリカのフーヴァー大統領、日本の濱口雄幸総理も膨張する海軍予算の削減を望んでいたのは事実だし軍艦の維持費をもう少し減らしたいと望んでいた。
(実は日本は航空戦力の増強を望んでいる人員を航空部門にまわしているし、練習船とされていた元は戦艦の富士などの旧式艦艇を退役させてるし、
史実以上に艦艇維持予算を削減させて予算を減量している。
沿岸警備隊(コーストガード)を設立して旧式駆逐艦を改装して警備艇として各地を警備させている。
海上の安全を守り、治安を維持して環境を保護して、密漁を取り締まるのも
沿岸警備隊の仕事だ。
だが、航空関連予算が各国ともに増えている為、軍事予算の総額は増えている。)
(航空関連予算が増えたせいで海軍が
苦しめられて居るとも言えるのだ。)
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