440話 新大統領フーヴァー。

第30代大統領のクーリッジ大統領と大統領執務室で会った新大統領のフーヴァーは堅く握手を交わした。


まぁ、フーヴァーは第28代大統領ウッドロウ・ウィルソンの元で食糧庁長官、第29代大統領ウォレン・ハーディングと第30代大統領カルヴァン・クーリッジの元で商務長官をしており、閣内にいてよく知っている親しい仲だから話も弾みそうなのだが2人の顔色は暗い。


大規模な株の下落に対して対処しようとしていたクーリッジ大統領だが、

何をしても暴落の流れは変える事はできずに破綻しそうな銀行を救うので精一杯だった。


大統領選挙期間中もクーリッジ大統領は商務長官のフーヴァーや同じ政党の大統領候補のアル・スミスに対して情報を知らせて大統領になるかもしれない彼らに対して恐慌対策を考えてくれと願いつつ、未曾有の危機からアメリカを救おうと努力していたのだが、

株価は暴落して下がり続け、底が見えていない。


大統領候補の時のフーヴァーは『どの家の鍋にも鶏1羽を、どの家のガレージにも車2台を』という貧困を撲滅するスローガンを掲げていて大人気だったが、株価の暴落からアメリカは不況になろうとしていた。


 いやアメリカ人は認めたがらなかったが、もはや株価は『大暴落』しており、不況ではなく『大不況』になるのではと囁かれ始めていた。


クーリッジとフーヴァーの政策は似ており、クーリッジはフーヴァーが大統領で本当に良かったと思っていたのだが中々上手くいかない。


フーヴァーは『不況はしばらくすれば

景気が良くなる』と言い続け、

金本位制を維持し、金利を高いままで維持して、緊縮財政をし続けようとしている。


更に、ただでさえ高いアメリカの関税を更に高くするスムート・ホーリーの提案した高関税法を行おうとした。


今するのはタイミングが最悪な政策である。

金利は低くするべきだし。

大不況になろうとしているのに財政出動しなくていいのだろうか?


積極財政派からするとフーヴァーのせいで恐慌が大恐慌に悪化しようとしているように見えてならない。


まぁ、膨らみ続けたバブルが破裂したのだから、少なくとも1924年の水準に下がらないと株価の下落は止まらないのだが。



そして関税が高くても良い物は売れるようです。


ハイクラスの人々は宇垣マーク1リムジンに魅了されていたし、当の大統領の着ている高級シルクのワイシャツやネクタイもメイドインジャパンの製品でした。大統領の背広の生地も超高級シルクのメイドインジャパンです。


更に、夜に眠る時のシルクの寝巻きもメイドインジャパンだったり、、、


アメリカのディーラーからはマーク1の注文が殺到しているので3倍に増やしても足りないと言われます。


失業者は増えていますが富裕層は損をしながらも買いたい物を買うことを我慢していないという事なのでしょうか。


ロックフェラー家の資産だって株の下落の影響で持ち株の目減りはしているが、びくともしていないし、、、


いや、ネルソン・ロックフェラーは密かにやけ酒を飲んでいました。


彼のような意思の強い、強固な信仰心を持つ男ですらやけになりたくなるほどに株は下落していました。



フーヴァーの政策ですけど、こういう時は低金利にして積極財政をする方がいいと思うんですけどね。


日本なんか、『すべての造船ドックに船を』『すべての県で公共事業を』政策をしています。

地方でもアスファルトで舗装された道路が増えています。


宇垣がすべての造船所に船を発注して

大型のカーフェリーを作らせています。

6万トン超えの大型船です。

そして、それが作れるように宇垣銀行が低金利で融資してドックの拡張をしてもらっています。


まぁ、造船ドックで作られたカーフェリーは昭和世界で自動車運搬船になる事が決定していますし、とりあえず20隻は欲しいと言われています。


自動車を生産したいと言っている各社には宇垣がお金を投資するからミゼットを作ってほしいと言い、各社に年間生産台数2500台の自動車工場を建設して貰っています。

ダイハツ、トヨタ、日産、スズキには頑張ってもらいましょう。

スズキはバイクも作ってもらうつもりです。


日本の一般国民もアメリカ株の大暴落は知ってはいるのですが、宇垣自動車が『作れば作っただけ車が売れているので年間生産台数を1万台増やす為の工場を東京、横浜、静岡、名古屋、大阪に作ります。』と言っているので、

「アメリカの株の暴落は日本には関係無いんだな。」と思ってしまうのです。


それに造船の街は造船所次第で景気が良くなりますからね。


実は誰も知らないのですが、暴落開始が史実より早く、戦争の為に武器弾薬の製造が急ピッチで行われていたので、大統領交代した時のアメリカの景気は史実よりマシでした。


中国各地及びフィリピンに散らばっているアメリカの白人師団は大統領交代時に3個師団ほどでした。

フィリピン軍師団などの有色人種達を盾にしつつ彼らは各地で中国人を掃討(駆除)しています。

現地雇用の朝鮮兵を人足にして、こいつらも盾にして米軍は戦闘を拡大させています。

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