432話 満州油田見つかる。
史実では大慶油田と名付けられる事になる油田が、期待できる規模の油田かもしれないと判明するとスタンダード石油社は歓声に包まれました。
試掘作業はされていたものの、出なければわからないのが油田の世界です。
大量に原油が沸いてくれて、幾ら出ても少なくなる気配が何も無いような油田が最良の油田でしょう。
これは温泉に例えるとわかりやすいですね。
例えば玉川温泉のように1分に9000ℓも湧き出る温泉が出るような、
源泉の噴出量が多い温泉が最上でしょう。
それと、油田から出た原油に含まれる水の分量も重要な要素です。
史実の2020年代における大慶油田の原油には多くの水分が含まれる様になっており、原油の質が悪くなっていて水分をなんとかしなきゃですし、
採取した副産物のゴミ処理の採算が合わなくて赤字だと言われています。
大慶は新しく見つかった鉱区から採掘される原油のおかげで油田の操業ができているとも言われています。
でも、それでも延命できているに過ぎないのですが。
原油が取れるにしても品質は多種多様だ。
今はガソリンや軽油や灯油が求められているから、あまり手間暇をかけずにそれらが採取できる原油が最上である。
例えば、日本の静岡の相良油田などは
ガソリンに近い原油なので、そのままガソリンとして使える油が取れる珍しい油田だし。
(史実の2000年代の大慶油田は、それまで採掘できていた場所は、もう終わりが近いので大規模なリストラが始まっています。)
石油を掘削するリグが更にいくつも建造され始めます。
残念ながら、ハルビンとチチハルの間にある油田は満州の中央部にあり、海まではかなり遠い為、鉄道でタンク車を運ぶ事になりそうです。
その頃、日本では宇垣昌弘が報告を受けていた。
「満州の油田ですが、ごっそりと奪った後に地中から湧き出してきた分量が
溜まっていたらしく、リグで採取する分量が少なければ、そこそこの分量を採取し続ける事もできるかもしれません。」
アメリカでも採取できなくなったリグを放って置いたら、地中に原油が溜まったのか、それなりの分量を産出するようになる事はアメリカでも起きている。採算ベースになるかは疑問だが。そういう小規模油田なら世界には結構あるのだ。
日本にも1日にドラム缶で1.5本くらいしか出て来ない湧き出る原油が存在している。
豊富に原油が取れていたリグが多かったからテキサスではオイルラッシュが起きていたのだ。
『どれくらいの採取なら大丈夫なのかな?』
「リグを充分に分散させていれば年間にリグ1ヶ所あたり数千トンくらいなら大丈夫かもしれません。
『えっ? たしか、大慶油田がもっとも取れた時で年間に5600万トンくらいだから、遥かに少ないな。』
「そんなに採取するから枯渇するんですよ。」
日本は推定埋蔵量を公表していない。
だが、プロパンガスと天然ガスに関して、宇垣は日本の年間使用量を軽くクリアして一手に賄っていた。
それに原油を輸入していない。
自国で充分に賄えるからだ。
現時点での日本の海軍の艦艇だが、
いまだに石炭を使用しているのは古い補助艦だけである。
他はほとんどが重油で動いている。
噂だが、アメリカ海軍は逆に石炭の比率が高くなっているらしい。
普段はほとんど石炭で動いているらしい。
べつにスパイするまでもなく、戦艦に大量に石炭が補給されているのだから、補給風景を見ているだけで燃料事情は察しがつく。
しかも石炭は嵩張るから、頻繁に補給が必要だし。
しかも、一度に2000トンを超える量の石炭を補給している。
確か、史実では石炭の分量を減らして、石油を増やしていたはずだ。
戦艦クラスで満載できる石炭の量は4500トンくらいだが、普段は1400トンくらいで運用していたと言われてる。
なるべくなら積みたくないのが艦長の本音だろう。石炭は輸送する時も細心の注意が必要な厄介な燃料だ。
充分に湿らせて置かないと自然発火の恐れがある。
満州には石炭も豊富に取れるからか、
アメリカは石炭も大量に西海岸に運び出しているらしい。
それにしてもだが、運ぶにもエネルギーが必要だし、やはり、人口が爆発的に増加しないようにしなくてはいけないのではと思ってしまう。
この油田だが、満州油田と名前が付けられる事になる。
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