424話 一網打尽。
その男は旅館の呼び込みをしていた。
「安い宿に泊まれるよ〜残り僅かだよ〜」
「ここら辺じゃ最安だよ〜」
だが、呼び込みは副業に過ぎない。
騙せそうで金の無い客が宿に泊まった時に睡眠薬を酒に入れて前後不覚の状態にして、高額の宿泊費を請求し、
口入れ屋に売り飛ばすのだ。
1人をハメれば15円の報酬になる。
初任給が19〜20円のこの時代だとかなりの高収入だ。
もちろん宿もグルだ。
気が弱そうで頭も良くなさそうな男を狙っている為、厄介な事になる事は少ない、、、
呼び込みの男はいきなり2人の男に腕を掴まれて驚いた。
『我々は特別高等警察の者だ。現行犯逮捕する。』
その頃、人を売り飛ばす仲間だった宿屋の人間達も一斉に逮捕されていた。
いや、ほとんど同時刻に全国で一斉に人を騙して売り飛ばしていた悪人達が逮捕され拘束されていた。
逮捕された連中は魔王の支配魔法で支配されて、覚えているすべて、関わっている人間すべてを自白した。
人身売買に関わっていた人間が全員逮捕されていく。
隠している財産も全部が没収される。
こいつら犯罪者の財産は罪なき大勢の人々を騙して売り飛ばして手に入れた被害者のお金だ。
不動産や家財などの資産は売却され、
騙した被害者への損害賠償金に充当される事になる。
だが、被害者の中には死亡したものも大勢居るから痛ましい限りだ。
奴隷のように重労働させられて死んだ命は帰って来ない。
これは未来の話だが、タコ部屋の奴隷労働によって掘られた、あるトンネルから戦後の工事の時に50体もの人骨が出てきて驚かれている。
リンチされ人柱にされた伝説は本当だったのだ。
このような人を騙す連中を許す訳にはいかない。
こういう奴らを放っておくと天文学的な人数の被害者を生み出すのである。
そういえば、向こう側の昭和世界では、寸借詐欺のような軽いサギですらステータスを見るとばっちりと出てくるから逮捕される案件になるくらいだし。
現行犯でないと逮捕できないスリも
ステータスで確認可能だし。
ヤクザ系の企業に便宜をはかっていた
政治家も逮捕されて全部を自白した。
根こそぎに全部を取り除く事ができたのだった。
しかし、、、確かに北海道の自然は過酷だろう。開拓する人が必要な事や労働力が必要な事もわかる。
だが、開拓初期の囚人労働時代ならともかく、あまりにも働く人への環境を悪くしていたのが許せない。
労働力が必要なのに短期間ですり潰すような愚かな事をしている。
建設人足や沖仲仕のような力仕事をしているような人間でも長生き出来なさそうな過酷な環境にしていたのは何故なのか。
今なら30%の小作料でも取り過ぎなのに65%〜70%も小作料を強奪し粗末な小屋に閉じ込めて奴隷のように労働させたり、
タコ部屋でも重労働させて、一応は1日あたり1円が支給されている賃金を色々な物を高く買わせて搾取したり、、、
ろくに防寒着も与えずに重労働をさせている。
あまりにも現場の労働環境が悪質過ぎるのだ。
末端の労働者の命を削って命を奪うような労働は間違っている。
労働はそれなりに厳しくても、それに見合った賃金が稼げるのなら志願者もいる。
たとえば軍艦島がそうだ。
炭鉱でも高給なら人手に困る事はない。
タコ部屋でも管理する側の応募なら居たんだし。
なお、これらの被害者は生活再建の為の資金が手に入ったので、それぞれに第二の人生を生きる事になる。
宇垣ファンドに投資をして生活に必要なお金は入ってくるし、宇垣昌弘からは高級マンションがプレゼントされて、5年間は無料で住む事ができ、その後も格安の家賃で住む事ができるようになる。
まぁ、奴隷開拓村は多くが無人になってしまったが、人目を気にせずにゴーレム達が魔法で開拓できるようになった為、大規模な機械化開拓村として、やがては有名になっていきます。
ヤクザではないけど、ヤクザに協力している連中は本当に厄介です。
今回、かなり大勢を取り除く事が出来ましたが、目を光らせて監視して行かねばなりません。
このタコ部屋労働をさせられていた被害者達ですが北海道の教師は子ども達に対して『ああいう人になってはいけない。』なんて教育をしていたとか。
騙されて人身売買された被害者がいたのに、まるで囚人かの様な言われ様です。
タコ部屋ですが、北海道外から連れて来られた被害者の土工夫は『下飯台』と呼ばれ扱いは最低辺でした。
その上の管理する人間は『中飯台』と呼ばれて地元の北海道の農民や漁師、熟練工や志願してやって来た熟練工がやっていました。
そして『上飯台』と呼ばれるのが親方(管理人)、世話役、帳場、棒頭という管理者側の人間です。
警官も見回りにやっては来るのですが話は聞いてもらえないので、わざと警官のいる前で人を殺して逮捕されてまで逃げようとする事が横行していたのですから酷いものです。
主に現場の責任者や奴隷労働を考えついた連中のカルマ値はかなり低くなっていたので死んだら地獄行き決定でしょう。
『タコ部屋の奴隷どもに金は必要無いだろう。全部取り上げろ。』
と言い現場の最高責任者の親方に命令して渡された日当で何かを買わせて全部を取り上げて儲けようと画策していた連中や、現場で必要以上に過酷な労働をさせて命を奪っていた連中は、
監獄内で死ぬ事になるでしょう。
史実の未来でも某有名サギ組織の人間が刑務所から出てから更に大きなサギ組織を作ってサギをして日本を困らせています。
コイツら、加害者側の人間はタコ部屋
組と開拓奴隷組にキッチリと分けられて、タコ部屋加害者はタコ部屋と同じ環境に住まわされ、タコ部屋労働者と同じ物を食べ、同じように重たい荷物を運ぶ作業をやらされて暴力を振るわれます。
夜になると死んだ人間達が夢の中に出て来て、『死んだら地獄に落ちて殺された被害者に殴られて、何万年も苦しみ続けるんだ。』と言われる悪夢を見て、怯えるようになります。
これは開拓奴隷村の側も同じで、
同じ目にあわされて苦しみます。
服も被害者が着ていた服を着ます。
コイツらは新しく建設された刑務所内部で自分達のやってきた事の酷さを味わいながら、所内で獄死する事になるでしょう。
因果応報です。
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