421話 北海道の闇③(1928照和)

向こうの昭和世界でも日本住血吸虫の病気の事を忘れていて、対策が遅れてものすごく後悔したが、まさかこちらの照和世界でも後悔する事が起きるとは思ってもいなかった。


しかもアメリカへの移民だとか、ブラジル、ペルーへの移民だとか、そっちの移民の生活状況を助けたりなどをやり始めていて、日本国内の北海道の奴隷のような酷い小作奴隷問題を知らなかったのだから猛烈に反省しなくてはならない。


この北海道の奴隷小作問題だが、交通の便も悪い開拓の最前線と言っていい

僻地で行われていた。


しかも、この事実は北海道のイメージダウンになるので未来の昭和後半、平成、令和でも知る人は少ない。


未来のインターネット全盛の時代でも

あまり広まっていないのだから、宇垣昌弘が知らないのも無理はない。


満州やその他の外国移民の大変さを知っている宇垣昌弘ですら北海道の移民の大変さを見逃していたのである。


宇垣昌弘も囚人を使って北海道の開拓が始まった事は知っていた。


YouTubeを見るとゴールデンカムイの聖地巡礼みたいなYouTube番組ばかりで、開拓の厳しさを話す番組は全然表示されない。

だが、『囚人・開拓・奴隷』と検索すれば囚人やその他の人々の過酷な開拓話が出てきたから知る事ができただろう。


知っていたら東北の三本木原の開拓の時に一緒に開拓の手伝いをやり始めていただろうし、東北で自作農を始めれるチャンスがあったんだから移住も薦めたのに、、、

マスターの昌弘の肝入り事業なだけに

東北や台湾やその他のダム事業にゴーレム達は人員を集中させていたのだ。


北海道の開拓移民が苦労したらしいとは知っていたのだから北海道の開拓地の状況も調べさせてチェックするべきだったのだ。


だが、昌弘が知っていたのは北海道の寒さやヒグマや狼に苦労したという苦労話であり、騙されて北海道にやって来た小作農民達が65%〜70%も収穫を奪われて、移民管理会社に監視されて奴隷のように労働をさせられているとは全然知らなかったのだ。


待遇がいい場所では、初任給が19円の時代に初任給より高い20円から35円もの月給を貰って農作業をしている小作の人達も居るというのに。

35円というと平成後半の貨幣価値だと月給で35万円相当の現金収入になるという。

ベテランの教員や銀行マンなみの高額月収である。

しかも住む場所も待遇が良く、月給外の支給品も多い高待遇だ。

戦前の、照和の始めのこの年代でも高待遇のところはいくつもあるのである。(農業だけでなく、他の利益率の高い品物も作って利益を上げているからこそ、こんな事ができているのだ。)


宇垣が土地を持っている宇垣村も待遇はかなり良い。



宇垣昌弘はすぐに動いた。

すぐに昌弘が動かせるのは『天の鳥船』艦隊だったので7隻の天の鳥船2の1隻に武装したゴーレム兵を400名を乗せて北海道へ向かわせる。

これには検察官、弁護士、特高の刑事のゴーレムも同乗している。


敵の移民会社が口を封じる為に小作民達を虐殺しかねないと思っているのだ。

ヒグマ対策も万全である。

強力なライフルも持って来ているし、

テイマーも居る。

テイマーが使役している北極クマなら

ヒグマも簡単に倒せるだろう。


すでに北海道にある開拓村ならリストアップされている。


だが、北海道の真の闇はまだ深い。

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