419話 北海道の闇(1928照和)

『マスターにご報告したい事があります。』

宇垣昌弘の側近と言っていい竹中半兵衛、黒田官兵衛が揃ってやって来ました。

しかも、陛下や宮様達に対する報告は昌弘に聞いてからと思って居るようで、他に誰も居ないかチェックしています。


これはただ事ではありません。


「実は北海道の開拓移住者の中に極めて酷い扱いを受けている村があるのです。それがまるで【開拓奴隷】のようでして、、、」


『開拓奴隷?』


「はい。住む場所は人が住むような場所ではなく、牛馬用のほったて小屋に

奴隷のような待遇の人々が入れられて、風呂もろくに入れず、子ども達もろくな教育も受けられず、小作奴隷として使役されていて、、、我々も自分の目を疑いました。」


『牛馬と同じ小屋で奴隷のような扱いって、花の慶次に出てきた忍者の捨丸兄弟みたいな扱いだな、、、安土桃山時代だぞ、あの話は。』


「税金の支払いも小作人が支払わされている様子でして、小作の収入の7割を地主に奪われております。

江戸時代の倍の金額の年貢を奪われているのですから悲惨な有り様です。

しかも税金を支払っていれば選挙権などの利益も得られるはずなのに、それら利益は地主に全部を奪われています。」


『ちょっと待て、関西の方では大地主と契約を結んだ契約農家が初任給よりずっと多い月給を貰って富農のような良い暮らしをしている契約農家もあるって聞いたぞ。

七公三民? 江戸時代の薩摩藩かよ!

それは酷いな。』


『それに、元大名と元家臣のような結びつきの所であるけど、聞いた話じゃ宇垣のしている農村以上に契約している農家が高待遇で豊かなとこがあるって、、、』


『小作料は1割から2割の間で、税金などは地主が支払っていて、衣服なども支給されて、、、良い地主さんだと知れ渡っているから、契約農家の成り手がいくらでも居るって優良な農家もある、この時代なのに、、、照和の始めに開拓奴隷とはな。』


「それで、騙されて開拓奴隷にさせられている彼らを助けたいのですが、

なんやかんやと理由をつけて借金を背負わされているらしい上に北海道の役人の上の方とも癒着している様子でして、助けるのは容易な事ではなさそうでして。」


『はぁ〜、クソっ、向こうの昭和世界は豊かにできたからブラジルなどの酷い扱いの移民も阻止できたし、アメリカで酷い扱いの移民も帰国させる事ができたし、大勢を助けられたというのに、、、

よりにもよって【日本で】開拓奴隷とは!!』


「このやり口ってなんか似ていると思いませんか?ヤクザのやり口に。

相手を騙して何かで借金を背負わせて奴隷のように労働させて、ずっと金を搾り取り続けるやり口がタチの悪いヤクザにそっくりです。」


『博打に連れて行って、最初は勝たせて博打に狂わせて、大負けさせて借金を背負わせたりしてるよな。

娘を売って現金を手に入れた父親がヤクザに狙われて博打で借金を背負わされて、、、結局、妻に愛想を尽かされて離婚するか逃げられて、父親は芸者をしている娘のとこに行って娘の雇い主から借金して娘に借金を背負わせている例があるとか。

まぁ、そういう事はできないように法律を作り、雇い主も脅迫して、『そういうクソな父親は殴って追い返せ』

と念押ししているのだが。


それにしても北海道か、、、

開拓奴隷村とでも言うべきかな。

クソっ、許せん。

農奴のような酷い扱いをされている

人達を一刻も早く助けなければ。

こんな事をしている連中を皆殺しにしたくなったぜ。



作者注、この北海道の開拓奴隷村は

本当にあった村です。

しかも、極貧の暮らしで子どもはろくな学校に行けず、働きに出れる場所もろくな場所が近くに無い為、貧しい暮らしから抜け出すのは困難という、、、

ちょっと知って絶句しちゃいました。しかも収入の70%は地主の取り分で借金の返済とか何とか理由を付けて

小作収入を奪っていくのです。


富農のように良い暮らしをしている小作人というのも史実にあった話です。

高待遇な小作と開拓奴隷にされている

小作の待遇の差に絶句です。

しかも寒さの厳しい北海道での酷い待遇。大正デモクラシーはこの奴隷村にはやって来ていませんね。

照和の話とは思えません。


この話が投稿後に最新の近況ノートに画像をアップします。

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