406話 助けれて良かった。モンゴル(誤解)

カルヴァン・クーリッジ米大統領は声明を出した。

『ソ連はモンゴルに対して内政干渉を行うな。そして宗教の自由を認めよ。』と。


そして、モンゴル人の美少女がアメリカ議会で涙ながらに訴えた。

『私の祖国のモンゴルは長い間、中華民国やソ連に苦しめられてきました。

モンゴルに自由が生まれて、大勢のモンゴル人が安心して暮らせる国になるにはアメリカの庇護が必要です。

どうかアメリカ皆さん、モンゴルを助けてください。

まったく自由の無い悪の国、ソビエト連邦を倒してください。』


さすがはゴーレム達である。

実にアメリカ人が喜びそうなシチュエーションである。

ソ連が悪ならアメリカは善だし。


アメリカの庇護のおかげで真っ暗で自由の無い場所に光がさして自由な世界になるってのは実にアメリカ人のプライドをくすぐるだろう。


そして宇垣の影響下にあるアメリカの新聞は『悪の帝国ソ連を倒せるのはアメリカ合衆国だけだ!』と新聞も威勢よく書き立てる。

ソビエト連邦といっても所詮はロシアだ。

日露戦争の時に、あの日本にすら、あの有り様だったロシアなんかアメリカの敵ではないとかアメリカ人は思っている。



だが、現時点ではソ連は圧力をかけているだけなのだ。

ソ連の圧力が強くなるのは、史実では1934年。

モンゴル人民共和国とソ連との間に相互軍事援助協定が結ばれて以後である。

ゲンデン首相はずっと拒絶し続けた。

だが、1936年にソ連派のチョイバルサンが首相になり、ゲンデン首相はソ連に送られて死刑にされてしまう。

そしてその後の1937年に800のラマ教の修道院が破壊され、1万7000人の僧侶が処刑されてしまう。

そして大規模なソ連軍がモンゴルに進駐すると、政府、軍の高官、財界の首脳ら5万7000人が逮捕され2万人が処刑されてしまう。


さて、史実ではそうなったのだが、

この世界ではどうなるのだろうか?


ちなみに昌弘はソ連の事だから、すぐにでも僧侶の虐殺や修道院の破壊が起き、モンゴル国民の虐殺も起きるかもしれないから、『助かって良かった。』と内心思っている。

『1928年はギリギリセーフだな。』とか思っているのだった。


まぁ、セーフなのは確かだ。

大勢の遊牧民を助ける事ができたのだから。

ラマ僧達も助ける事ができたのだから。


『あれ?モンゴルのエリアサーチに敵の反応があまり無い?』

モンゴルにはあまり敵(ソ連兵)の反応が無いのだった。

おかしい。

一応は人民共和国なのに、、、

ラマ僧も普通に生きてるし。


上海や武漢なんかは米英に敵意を持っている人間や共産党員で真っ赤なのに。

チャイナの敵意の上がり方は凄いな。


ソ連といっても赤軍大粛清が始まる前は牧歌的なようだった。


『米軍の連中と取り引きして酒を買えないかな?』

『いいっすね。煙草も買いましょうよ。』なんて話をソ連兵がしている。


どこにスパイ(共産党)の手先が居るかわからない基地内と違って、信頼できる友人しかいなくて2人っきりだとソ連兵もお喋りだ。


海の上で日本の漁船に取り引きを持ちかけてくるソ連の哨戒艇もいる。


ちなみに、アメリカが満州に進出してからソ連の日本に対する対応が明らかに変化したという。

樺太の国境付近なども明らかに警戒体制が緩んでいて以前とは大違いらしい。

ソ連の哨戒艇もウラジオストクにかなり移動してウラジオ沖を警戒しているという。

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