405話 緊張が高まる米ソ。(1928照和)
『エリアサーチ』
エリア(周辺地域)をサーチ(探査)する魔法を使うと兵士などの存在がどこに何人くらい居るのかが察知できるエリアサーチ魔法は便利である。
前の昭和世界では共産党が勢力を伸ばさないようにロシアで共産党狩りをしていた宇垣のゴーレム達だが、満州の国境線沿いをアメリカ陸軍や海兵隊がパトロールし始めるとソ連も対抗してパトロールを強化し始めている事に気がついた。
明らかにソ連は戦力を増強している。
エリアサーチ魔法で見るとはっきりと増えているとわかる。
そして、アメリカがソ連を敵視して地図を見始めると、アラスカのプリンスオブウェールズ岬の先やベーリング海峡も気になって見えてくる。
アメリカの陸軍長官は『ソ連がベーリング海峡周辺やカムチャッカ半島周辺にどれほどの戦力を配置しているのか調べろ。』と命令した。
そして密かにアラスカに戦力を増強する動きはソ連にも伝わり両国の緊張は高くなるのだった。
ソ連の戦力配置だが、ベーリング海峡を超えてきた場合を想定して、トーチカや陣地を工作している。
そして満州となるとモンゴル人民共和国とも国境を接している。
1921年に中華民国から独立したモンゴル人民共和国だが、当時はソ連に続く世界で2番目の社会主義国であったが、
中華民国はソ連の傀儡国家だとして独立を認めていなかった。
(日本もモンゴルの独立を認めてはいない)
1924〜1928年の間のモンゴル人民共和国のダンバドルジ政権は開明的な政策をやり始めたがソ連から圧力を掛けられて悩んでいた。
宗教弾圧しろとか、遊牧民を強制農民化しろと命令されて、ソ連から強要されていた。
宇垣のゴーレム達は『チベット仏教僧や富裕な遊牧民だけでなく遊牧民はソ連に殺される。』と警告してまわって
多くの遊牧民を満州に脱出させアメリカを頼らせた。
清国から独立する為にロシアを利用し、中華民国から独立する為にソ連を利用したのだ。
宗教を弾圧しろと迫るソ連から独立するにはアメリカを頼るのが一番である。
それにソ連に苦しめられているモンゴルの住民から頼られて助けるというのはアメリカの正義を喧伝するのにも都合がいい。
それにモンゴルと中華国内のモンゴル人居住地は広大であり資源も期待できる。
アメリカはモンゴルを視野に入れ始める。現在のダンバドルジ政権は社会主義的な性格ではないから期待できる。
中華民国とソ連に囲まれていたモンゴル人民共和国だが、アメリカと接する事ができたおかげで酷い運命が変化する。
宗教弾圧や国民弾圧に反対したモンゴル国民に満州という逃げる場所ができたのは大きい。
それにソ連や中華民国を嫌っている
剽悍なモンゴルの遊牧民を味方にできたのは大いにアメリカを助けるのだった。
宇垣のゴーレム騎馬兵はスキルを利用した超遠距離狙撃や使い魔の騎馬の機動性を活かしてパトロールをしているソ連兵士を大いに苦しめて大勢の遊牧民を助けるのだった。
それにしてもソ連は汚い。
ここはモンゴル国内なのに我が物顔で
入って来て遊牧民を攻撃するとは、、、
優秀な騎兵であるモンゴルの遊牧民を
削って弱体化させようと思っているのだろうか?
略奪の為かもしれないな。
皆殺しにすれば証拠は無いとか思っていそうだ。
中国人に偽装した宇垣のゴーレム達は
ソ連、モンゴル、満州の国境付近で
行動してそれぞれを攻撃し始めるのだった。
アメリカやソ連に撃退されたと見せかけて残す中国兵の死体ならいくらでもあるから偽装工作は簡単である。
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