400話 南京戦争1928(照和)

その日の南京は晴天でした。

南京城周辺には大勢の中国人が暮らしており、その人数は十万人を超えていました。


ですが、宇垣のゴーレムが居たら絶句していたでしょう。

南京城の周辺の街に住む人間は中にいる米英軍に敵意を持っており、

エリアサーチをしたら真っ赤になっていたでしょう。

しかもかなりの数です。


その時南京を守っていたのは米英合わせて連隊規模の5000人ほどでした。

南京周辺をパトロールしたりもしていますから全員が守っていたわけではありません。


これほど大勢の米英軍がいるのだから安心だと、日本領事館は30人ほどの領事警察官や武官がいただけでした。


ゴーレム兵なら常在戦場だと思っていて、コルトM1911拳銃は常に所持していますし、軍刀も帯刀していたでしょう。

ですが、彼らは普通の日本人でした。

日本は駆逐艦も2隻ほどしか近くに停泊していませんでした。


前の教訓が全く生かされていません。

とはいえ、重巡の妙高は完成したばかり、大型の重巡は四万十と玉川を含めて5隻しかありません。

さすがに戦艦を遡らせて向かわせるのは難しいです。


宇垣昌弘は南京は守り難いから領事館を閉鎖した方がいいと広言していましたが、南京城は堅固な城ですし英米軍がいるのだから安心と外務省は言っていました。

いや、排外戦争をしている中国人は戦争中だと思っています。

何でもするのが中国流です。

それに外からの物資を運び入れる為に城門は開いていました。



それは突然でした。

「「「殺せ!!!」」」という叫び声がするといきなり大勢の中国人が暴徒になって

城門に突撃して雪崩れ込んできました。


まるでマラソンのスタートシーンのようでもあります。南京城周辺に居た大勢の中国人が城門から中に入ってきます。


米英側は城門を閉めようとするのですが、暴徒によって制圧されて閉める事ができません。


外壁の上にいた兵士達は右往左往しています。

南京城内には中国人が溢れようとしています。


押し寄せる暴徒の大群を見て何をしたらいいのか兵士達は混乱しています。


宇垣昌弘なら『すぐにありったけの砲弾を城門の外側に撃つべきだ。』と思って米英海軍に連絡したでしょう。


そうして散発的にライフルが撃たれる程度の間に数千人を超える暴徒が入ろうとしています。

貧しい中国人にしてみれば一攫千金のチャンスなだけに老人も子どもも入って来ています。

もし、転んだりしたら踏まれて死んでしまうのに、、、

『日米英を殺せ!』なんてスローガンも聞こえてきます。


城内は見るも無惨な光景でした。

銃を撃つ兵士もいたのですが興奮した暴徒に嬲り殺しにされています。


各国の領事館にいた人達が殺されています。

遺体は酷く傷つけられています。


内側からは攻撃をされて米英の兵士も

城壁の上に追い詰められています。


戦後にアメリカやイギリスが調べましたが、内部で暴れた暴徒は4〜5万人近くとも言われています。

日本領事館は全滅。

各国の領事館も壊滅しました。


いや、内部の生存者は極僅かでした。

武器が奪われて城壁の上まで攻め込まれて、城壁から落とされて米英の大勢の兵士が死亡しています。

欧州人とアメリカ人、フィリピン人とインド人の労働者が1万人以上も犠牲になりました。

50人近い日本人も、、、


城内のありとあらゆる物が奪われました。


この南京大虐殺は世界に衝撃を与えました。

この暴徒は『上海の米国人は皆殺しだ!』『香港の英国人は皆殺しだ!』と叫んでいました。


米英の支配する南京のまわりに住んでいる漢奸を殺せ!と叫び、暴徒は城の外の市街地にも火を付けて逃げました。

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