399話 皇居の宇垣邸にて。(1928)

照和日本の皇居の宇垣邸には裏庭があり、裏庭には大きなログハウスがあり、その向こう側は森になってます。


最近は精霊猫効果なのか精霊猫が許した、たぬき達やキジ達も庭にある水場に水を飲みに来たりして平和に寛いでいます。

雨宿りの時はログハウスの床下空間にて雨宿りしている模様だし。


たぬき好きな宇垣昌弘もホッコリしながらたぬき達を眺めているのですが、

上皇陛下もたぬきが気に入った御様子で、散歩のついでにたぬきを御見学されるのが日課になっていました。


宇垣昌弘は甘々で胡桃の実の中身をあげたり、ドングリや木の実をあげたりしています。

そして密かに皇居の森の面積を増やして、木の実が成る樹木を増やしています。

そういえば、皇居の森はイノシシがいる森ですっけ?

野生動物は大喜びでしょう。


そういえば、軒下には雀の巣になりそうな太い竹がずらっとつるして固定して置いてありまして、雀の巣になってますし、家妖精のシルキーが宇垣昌弘好みのログハウスに改造を続けている様子です。


こうして宇垣昌弘がのんびりしている間も危険な銀行をどう再編するかで内務省は大議論の真っ最中なのですが、、、

日本中が好景気な今が絶好の再編チャンスなのです、、、


宇垣昌弘も『そういえば、大臣が銀行が破綻したと言い間違えて連鎖的に起きたのが昭和金融恐慌だっけ。』と歴史知識を思い出していました。

この金融恐慌が引き金になって満州事変が起きて、昭和の始めが荒れ模様になるのです。


こちらの世界の石原莞爾に嫌味の1つも言ってやりたくなりますねえ。

いや、言いませんけど。


宇垣昌弘が不安なのは、照和15年頃の陸海軍の幹部って日露戦争に参加して、犠牲は多かったけれど成功体験を味わった人達だという事です。


でも疲弊して疲れはて、軍艦の整備も

大変な状態だったバルチック艦隊と

アメリカイギリス艦隊は大違いだという事です。


今上天皇陛下は欧州を御訪問されているから肌でわかっておられますが、

インド洋から紅海、スエズ運河を通ると意外とイギリスは近いですし。



下手に戦争を起こしたら国が滅びると思った経験がある幕末の人間と、

肌で亡国の恐ろしさを感じた事の無い今の陸海軍幹部は何かが違っていると感じざるを得ません。

彼らはそんなに日本が大きいとでも思っているのでしょうか?

陸軍の人的リソースも、海軍の人的、軍艦的リソースも多いとは言えません。史実の日本は軽はずみに戦争をし過ぎでした。

これには史実のシベリア出兵や史実の満州事変、史実の日中戦争を含みます。


向こうの世界での宇垣昌弘の行動を見ればわかりますが、数千万人のゴーレムを陸戦に投入できるのに、陸戦は可能な限り避けて、人的リソースを失わずに国力を増大させようとしています。


石原莞爾に色々言ってしまう宇垣昌弘ですが、その石原莞爾は積極的に宇垣の油田や石油精製施設を見学し、宇垣の自動車製造工場も見学し、勉強に励んでいます。

陸軍の軍人でもっとも学習しているのは石原莞爾と彼の同志達でしょう。


もっとも、熱心に航空戦力を増やそうと言っているので『空軍の石原』とか言われているようです。

海軍の航空派とも仲が良いとか、、、



陸海軍の軍人達は言えずにいますが、この世界の日露戦争後の日露の関係は意外なほど良好になっていました。準同盟国と言っていいくらいです。

それは朝鮮に派兵している兵力の少なさにも現れています。


それは満州に進出しようと思っている

アメリカという共通の敵がいたからでもあります。


なので、『あれ?進出しようとしているアメリカを引き合いに出して上手く外交交渉していたら日露は戦争しなくても良かったのでは?』と日本の軍幹部や外交官は思った人間が多かったのも事実です。

いや、日本は強敵だとロシア側が思い知ったからこその路線変更でもあるのですが。


そして、アメリカやイギリスが日本と戦争をして日本の強さを思い知って、日本は国際的な地位を確立できるのかもしれません。


今の日本には大規模な工場がまだまだ足りません。

宇垣系の企業抜きには総力戦なんて不可能でしょう。


いや、宇垣昌弘だって初手でどれほどアメリカを叩くかなんて考えています。


今、中国と戦争をしている米英軍がどれほど厭戦状態を起こしてくれるかが鍵と言っていいでしょう。

現時点では少ないですが、それでもアメリカ兵士は死んでいます。

戦争に必要な予算の金額も相当なものになりつつあります。


上海全域を占領できたら、南京全域(南京城と市街地)を占領し、北京全域を占領しようとアメリカ陸軍は計画している様子です。


うわっ、人的リソースの事なんか考えもせずにイケイケになってる。

人の余ってるキューバやメキシコ系の

連隊を作って占領地を広げようと計画している将軍も居るようです。


史実の中華民国はアメリカから巨額の14億ドルの借款を得てアメリカから武器を輸入して戦い続けれましたが、

この世界の中華民国にはソ連も助けてませんから、

あれ?アメリカとイギリス連合軍が大規模な都市を占領してしまえば実質的に征服できるかもしれません。

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