393話 南京城租界(1927照和)

南京城内は全体が作り替えられようとしていた。

領事館の周辺の中国人の家は取り壊されて、塀も高くなりひとまわり領事館の敷地が広くなろうとしている。


衛兵の詰所も門の内側に作られて、

防弾ガラスが取り付けられ、トーチカのような作りになっている。


更に各国の領事は治安の悪い中国の街には婦人を連れて来ないようになりつつあった。

香港や上海は例外だが。


中国では領事館も安心できないとの認識が広まりつつあった。


それはそうだろう。

南京虐殺の現場を生き残った日本が南京では、中国軍の軍服を着ている人間が無理やり領事館に押し入って入ろうとして来て、暴徒を引き入れて中の人間を虐殺しようとした。と証言したのだから。


各国の領事館は顔を知っている中国軍の幹部にのみ入るのを許可するようになった。


各国はチャイナは常に紛争している国だと認識するようになっていた。


そして長江には巡洋艦の姿がいつも存在するようになりつつあった。

駆逐艦では乗員は100名少々であり、陸戦隊を組織するにしてもそれほど大勢は出す事ができない。

それに比べて巡洋艦なら、3230トンと小型の天龍型でも323名。

5000トン級なら450名前後、古鷹級なら600名超えだからだ。

これなら相応の人数の陸戦隊の援軍を出せる。


だが、日本のように領事館を閉鎖したいと思っている国も多かった。


日本も特別な許可が無ければ、中国への渡航は許可されないようになっている。


あの『南京事件』の虐殺の後も蒋介石は中国共産党の幹部を捕まえては処刑しているし、中国共産党は中国共産党で、テロや暴動やデモやストライキを起こしているし、中国国内の治安は悪化する一方だった。


日本は治安の悪い朝鮮や中華民国、そしてシャムにある領事館には領事館警察官を配置していたが、これを機に人型ゴーレムの配属が進む事になる。

上海や香港は治安が良いから30名ほどの体制だが、南京は籠城に備えて60名体制で守りを堅める事になった。

北京も60名体制である。だがこれでは少な過ぎる為、いつでも増員できるように臨戦態勢になっていた。

(三交代制。)


宇垣昌弘は『こんなに中国って荒れてたのか。』と絶句していた。

報告書では、上海や香港ですら治安が悪化しており、外国人の死傷者が増えていた。


中国の軍隊は自国民への略奪や強姦や殺人を平然とする為、動けば動くほど国内が荒れる。


蒋介石も軍隊を動かして占領地を広げている。

蒋介石は容共政策を放棄し武漢に進行した。


1926年に蒋介石の国民革命軍の北伐軍が武漢を占領したが、国民党左派が共産党のメンバーと連携し、広州国民政府が広州から武漢に遷都して武漢国民政府が誕生した経緯がある。


武漢にて勢力を伸ばす共産党を鎮圧しようと蒋介石は考えたのだ。


こうして各地で共産主義者狩りが行われるようになる。


もっとも、共産党員の連中がどれほど共産主義を知っているのかは疑問だ。

『日米英帝国主義打倒』と叫べば略奪し放題とか思っているだけの貧しい貧民だらけだし。



史実の中国共産党の軍隊を見た西洋人は驚きました。というのも、女、子ども、老人など、家族ごと引き連れていて、ほとんど全員が戦闘もするからです。

南京でも米英日軍が撃ち難いように子供や老人を盾にして近づいて手榴弾を投げて来てますしね。


南京の外の貧民街に住んでいる民衆も

武器を隠し持った共産党軍かもしれません。


農民とすれ違ったらいきなり銃を撃たれて手榴弾を投げられた。

なんて日本が戦っていた時にはよくあった事でした。


米英軍はこういう便衣兵(ゲリラ兵)を相手に戦う事になります。




現時点での作者近況。

南京事件関連の話は力を入れて何度も推敲して書いたり消したりしていたので、一山超えたと思っています。

推敲に力を入れ過ぎていて、新しい話が書けなくなっていました。

その分を書き直しに力を入れていたので書いてはいましたが。

おおよそ1ヶ月分くらいの書き溜めはありますのでご安心を。

毎日投稿は続けるつもりです。

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