388話 蒋介石の南京虐殺事件のその後(1927照和)
日英米仏伊五カ国の公使が、
『南京事件の関係指揮官及び兵士への厳罰による処分。
蔣介石の文書による謝罪、
外国人の生命財産に対する保障、
人的物的被害の賠償』
を共同して要求したところ、外交部長・陳友仁は責任の一部が不平等条約の存在にあると言い出し紛糾しました。
日本の特命全権大使として参加した宇垣昌弘は、『中華民国沿岸の都市のすべてを戦艦の艦砲射撃によって破壊するべきだ。日本ならすぐにすべての戦艦を派遣できる。』と中華民国政府を恫喝しました。
『それにイギリス支配下の香港やアメリカ支配下の上海、満州のアメリカの飛行場から空軍機が飛び立てば中華民国の内陸部のすべての都市を焼き払う事ができますよね?』とアメリカ大使とイギリス大使に問いかけると外交部長の陳は真っ青になって震えだしました。
『中国国民党は信用できないので、
我々が香港に貴公らを呼びつけている
という事実を愚かな連中は理解できないようですな。』とイギリス特使もさすがな皮肉です。
『ああ。各国の領事館が襲撃され領事の命が奪われ領事館内の人々の命が失われて略奪された罪は極めて重い。』
とアメリカ特使も怒っています。
『暴徒が襲ったと言っていますが怪しいものだ。いきなり押し入る事に成功すれば各国の機密情報や外交の暗号書を盗めると思って蒋介石が命令したのかもしれませんね。』と宇垣昌弘は蒋介石の謀略説を出してきます。
『南京を占領したのであれば治安を維持して各国の領事館を守るのが国民党政府軍なのだから当然でしょう。
軍人も暴徒も領事館に襲いかかってくるばかりで、各国の領事館を守ろうとする軍人や軍警は1人もいなかったと
生き残れた我が軍の部隊から聞いています。
つまり蒋介石もしくは現場の指揮官は襲撃と虐殺を黙認しているとしか思えません。
漢口での事件があったのに領事館を守ろうとしない、この対応は理解できません。』と蒋介石と現場の指揮官には大きな責任があると説き、
『中華民国は信用できないし、香港はイギリスに統治されたままの方が繁栄できるでしょう。
香港はイギリスに割譲されるべきでは?
上海は全域がアメリカに割譲されれば日本としても安心してビジネスができそうですね。
そして天津や青島や北京はどうやって分割しましょうか。』と問いかけ昌弘はニヤリと意味ありげに笑う。
陳は真っ青になって、土下座して謝り始めた。
ここに来ている列強諸国が力を合わせれば、それくらい簡単にできると陳にはわかったのだ。
謝罪し続ける陳を無視して中国分割を話し始める列強国の特使達。
『南京城からすべての中国人を追い出しましょう。それで城全体を租界にすればいい。そうすれば安心だ。』
『北京周辺からも中国人は追い出して、租界を大幅に広げて。』
フランスやイタリアの特使達もノリノリである。
『国際法を無視する国にはペナルティを与えるべきでしょうね。
領事館、大使館は各国の領土であり権利と安全は保証されなければならない。』と宇垣昌弘は言いました。
『「領土の割譲だけはお許しを」と言うのなら賠償金で誠意を見せろ。』
『これからの戦艦の艦砲射撃の軍事行動にかかった費用の全部も中華民国に請求させて貰う。』とも言われ陳は慌てて逃げ出した。
『それでは、明日からの話し合いは
領土の割譲と賠償金の相談からしましょう。香港と上海の割譲と賠償金は決定ですね。』
と言って宇垣昌弘はにっこりと笑った。
今日の会合の結果を聞いて各国政府は
慌てふためきました。
どうやって蒋介石に謝罪させるかの会合だったはずがとんでもない事が話し合われたのですから、、、
だが、香港を租借しているイギリスにとっては聞くべき所がある提案ですし、上海を実質的に支配中で、国際租界の面積をもっと増やすつもりのアメリカにとっても良い提案です。
宇垣昌弘は『上海の国際租界とフランス租界からも多くの中国人を追い出せば治安は良くなりますよ。』と提案している。
確かに治安を良くするのにはそれが一番である。
各国の特使は美味い酒を酌み交わした、、、
日本は治安の悪い中華民国からの全面撤退を行ったが大正解だった。
史実では山東省周辺でも日本の投資金額は1億5000万円に達していた。
(全部が日本から持ち出された資産ではない。こちらで増えた金額を再投資していって増えたお金がこれほどにまで増えていた。)
史実の山東省における日本人居留民は16940人。
青島だけでも13640人も住んでいた。
宇垣昌弘は、
『蒋介石の軍隊の中には軍隊的規律はまったく存在していない。
このような虐殺や略奪は今後も起きるでしょうね。』と言った。
イギリス公使も『それが中国ですからな。そうなるでしょう。』と全面的に同意する。
そして各国は日本が国際協調路線で行動して行くという外交サインを受け取った。
今回の南京事件の賠償が上手くいったのは日本のリードがあったからである。
それに欧州各国やアメリカの避難民を救い、日本領事館に各国の避難民を匿って籠城して守り続けるなんて、中々できる事ではない。
欧州やアメリカではあらためて、義和団の乱の時に籠城した人達を守った日本の軍人、柴五郎の事や、救出した日本軍の精強さや軍規を守って整然と行動した事を思い出すのだった。
義和団の乱の事件の当時、紫禁城の東南の東交民巷というエリアにあった公使館区域には外国人925人、中国人クリスチャン3000人がいたものの各国の公使館の護衛兵と義勇兵は481名しかいなかった。
それを指揮して2ヶ月も守ったのは柴五郎砲兵中佐であった。
そしてクリスチャン達の働きも大きかった。
だが、単純に善悪を決められるものでもない。
人数が膨れ上がる前の義和団達が激怒したのは横暴なキリスト教の宣教師やキリスト教徒というだけで優遇される連中への怒りがきっかけだからだ。
南京で宣教師が殺されて拷問されているのも、宣教師が憎まれているからだ。
教会を建設するから土地を寄越せと言われて土地を奪われたり、あいてがキリスト教徒というだけで裁判で不利な判決が出て争われている土地の権利を奪われたりした人達が横暴なキリスト教徒に怒ったのが義和団の始まりである。
まぁ、争っている土地の権利が客観的に見てどちらが正しいのかは微妙なのだが。
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