380話 日本人とアメリカ人(1927照和)

宇垣昌弘と皇族の皆様方との雑談は続きます。


『あと、これは言って起きたいのですが、日本の軍人の中で、「アメリカ人は軟弱だ。」とか言う人がいますが、それは間違ってます。』


『戦争ともなればアメリカは多くの大学生が自ら進んで志願して将校になる国です。

日本とアメリカが共に1億人の人口だとして、戦争になった時に軍隊に志願する大学生の人数が同数だとして、

アメリカ人大学生の志願者は日本の10倍以上でしょう。

実際に他の戦争でもそうなっています。

そして、親は息子の決断を誇りに思うと言って送り出します。

自分達大学生は国を支えて守るべきだとアメリカの大学生は思っています。

それが当然だと思っています。

高卒の若者や高校生の若者も愛国心は高いですよ。

年齢を18歳だと偽って高校生が志願する国がアメリカです。

下手したら日本よりも尚武な国ですよ

アメリカは。

イギリスだって、時期国王の王太子の息子の王子2人が家庭教師と一緒に中学に入学する年齢で海軍に入隊して小型艦で士官候補生ですよ?

凄い国ですよ、イギリスは。しかも、その中学生から海軍で生きた人がジョージ5世陛下ですからねえ。』


『日本では自分から志願する大学生はずっと少ないでしょう。』


『それにアメリカ人は子どもの時から銃に慣れて親しんでいます。』


『陸海軍の兵学校などでは卒業する時に武道などを身につけるようにしていますが、一般兵においては、遥かにアメリカの方が銃に慣れています。

私は日本の一般兵も士官も銃の射撃時間を増やすべきだと思います。』


『そして、日露戦争よりも過酷な戦争になった世界大戦に大勢のアメリカ兵は参戦して教訓を学んでいます。

毒ガスで何万人もの人間が死ぬ戦場ですよ?

それに空からの銃撃や爆撃もあった。

億単位の砲弾が必要になる戦場です。

この教訓をアメリカは忘れてはいません。』


『そして、戦争が長引けば膨大なお金が軍事費に消耗されます。

日露戦争の時は1年であの金額でした。それが数年になれば2倍や3倍になってもおかしくありません。

今年の国家予算の40年分の借金を抱える事になりかねません。

それを肝に命じておくべきだと思います。

ちなみにイギリスがアメリカに借りた債権の金額は46億ドルと言われています。

近代での戦争はそれほどの大金を使う戦争になっています。

私がソ連とアメリカを離間させる為に満州鉄道と満州をアメリカに譲ったのもそれが必要だからです。

アメリカとソ連を仇敵な間柄にする必要がありました。

そういう前提条件でなければ戦争には勝てません。』


宮様達は無言だった。

あまりにも重苦しい内容だからだ。

だが、向こうの日本を知っている宮様達だからこそわかる事がある。

それは宇垣昌弘がここまで言うほど、

次に戦争が始まった場合、悲惨な戦争になるかもしれないということだ。

億発単位の砲弾が必要になる戦争という事だ。』


『まぁ、宇垣財閥は全力で日本を護ります。ご安心なさってください。』と言って昌弘は笑って見せた。


『宇垣がガンガン稼いで戦争の軍事費も稼ぎますから。』


それにしても、宮様達は思慮深く、頭脳明晰である。


(戦争に勝つには戦略と戦術の決定を宮様達に任せた方が良いかもしれないな。)と宇垣昌弘は思うのだった。


もちろん、1番戦い易いのは昌弘が独裁的な権力を振るう事だが。


それに、この日本は向こう側の国力が豊かな大国の日本と繋がっている。

国力は3倍、人的資源もゴーレムが居るから無尽蔵だ。

宇垣昌弘は日本にとって邪魔な国を取り除こうと思っている。


ソ連とナチスとアメリカは取り除かないと安心できない。

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