378話 スタンダード系オイル会社の危機

今は1926年の年末。

ジョン・ロックフェラーはかなり大きくしたアメリカの地図と、アメリカの産油地域の州の大きな地図を見て考えこんでいた。

大きな地図に刺されているのは色分けされたピンだ。

それぞれのピンは石油を採掘するリグを表している。

全然採掘できなくなったリグは黒。

採掘できているリグは赤に色分けされているが、黒いピンの数が多い。

ピンには採掘量に応じて10〜100と数字が書かれているので採掘量は一目瞭然だ。


こうして見るとテキサスなどの多くの地域の原油が枯渇しそうな事が一目瞭然だ。

枯渇した、あまり取れなくなった場所から、ほんの少し離れた所から原油が取れていたりもするのだから不思議なものだ。


このあたりは採取できているから油槽が違うのかと思って近くを掘ってみると、いくら掘っても何も出ないとかが普通にある、、、



精油所の稼働率は最盛時の半分ほどに落ちている。

数千万台もの車が存在する今のアメリカには絶対にガソリンが必要だ。


採掘量は減ってはいるものの、豊富に取れている石炭の液化も研究せねばならないなとジョンは思う。


最近のガソリンの高騰に新聞は怒りの声を上げている。


禁酒法への不満の声も大きい。

そりゃあ、『酒くらい飲ませろ』と庶民は言いたくなるだろう。


ジョンはタバコも吸わないし、酒も飲まないが、気持ちはわからないでもない。

ヤケ酒を飲みたくなるほど現在の状況は深刻だ。


法律で禁止するほどじゃないと言いたい気持ちはよくわかる。


クーリッジ大統領は禁酒法の改正を行おうとしているが反対も多く審議が進まない、、、


それでも金にものを言わせて原油を輸入しているから、クーリッジ大統領の支持率はそれほど落ちてはいないが。



超巨大ゴーレムは広がりつつ、様々なやり方でアメリカ国内や周辺国の油田の採掘を妨害しています。

試掘の100mあたりの掘削コストは地味ですが数十%上がっています。


石炭も地下水脈による漏水が増えています。

それに共産主義者のストライキが増えているので稼働率が下がっています。


アメリカのエネルギー危機はかなり深刻です。

今のところは隠蔽できていますが。


むしろアメリカは産油国であった為にガソリンなどの値段を下げ過ぎていました。

産油国といっても足りなくなりつつあるのだから、普通の国くらいに値段を上げるべきかもしれません。


そして自家用車で長距離ドライブは贅沢だと自覚するべきかもしれません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る