377話 アメリカで活躍するゴーレム達。(1926照和)

1900年代始めのテキサスは活気に満ちていた。

井戸を掘る要領で穴を掘れば原油が湧き出してきた為、本格的に採掘する為のリグが作られて、原油はどんどん運ばれて行き、石油精製施設はフル稼働で動き続けた。


テキサスのオイルラッシュの始まりだ。

テキサスだけで3万を超えるリグが建設され、原油を採掘し続けていた。

テキサスに隣接するオクラホマ州でも

原油は採掘されておりミリオンダラー(石油採掘長者)を生み出していた。


だが、ジョン・ロックフェラーですら知らない事実がある。


もうすぐ1927年になろうとしているアメリカだが、最近のスタンダードオイル社に原油を高値で売却して大金持ちになっている新しい億万長者達は宇垣昌弘に忠誠を誓っている人型ゴーレム達なのだ。

最近、採掘量が減っている原油だが、原油が取れなくなったので新しく石油を採掘しようとして失敗して没落する億万長者がいる一方で、彼らニューサクセサー(新しい成功者)達が新しく建てて採掘している採掘リグだけは好調だ。

当たり前だ。超巨大ゴーレムはそこだけ採掘できるようにしているのだから。


現在のアメリカの原油の50%以上が彼ら、ニューサクセサーが掘り出してスタンダードオイルの関連会社に売却している原油だ。

そのおかげでアメリカは石油価格が高くなるだけで済んでいる。


場所によって出る出ないが分かれているのでスタンダード系の石油会社も新しく採掘をし続けているのだが中々当たってくれない、、、


彼等、ニューサクセサーは株でも大成功して巨万の富を持ちつつあった。

ジャック・アーチャーの率いるジャック・カンパニーも彼ら、ニューサクセサーを顧客に持ち、最近好調な証券会社だ。


彼らはアメリカの各州でビジネスを展開して各州に影響力を持ち始めていた。



そして、彼ら白人系ゴーレムではない

黒人系ゴーレム達は黒人の若者達に訴えかけていた。


『我々は生まれながらの戦士だ。』


『オスライオンだって我々に追いかけられれば逃げて行く。』


『スポーツでは我々が圧倒的な力を世界に見せつける時代がやって来る。』


『護身の為に銃を待て!』


『クー・クラックス・クラン(KKK)の連中は我々を恐れている。』と演説して若者達を引きつけていた。


もちろん黒人系のギャング組織では腕っぷしも重要視されるが黒人系ゴーレム達は格闘技でも圧倒的に強く、牽制のジャブとストレートで喧嘩に自信がある連中をやっつけて、組織内でのカーストを上げて行った。

そして洗脳魔法で仲間を支配して、他のギャングを下部組織にしてKKKの連中に反撃を開始した。


アメリカの黒人系のギャング団で上に行くにはKKKの連中を攻撃してどれだけ殺せたかで地位が決まるようになっていく。

特にKKKの連中に襲撃された時にどれだけ反撃できて、相手を殺せたかが彼らの中での英雄のランク付けに反映されるようになる。

英雄と呼ばれるようになると黒人達の中で尊敬されて家族も一目置かれるようになり、モテるようになる。


KKKの連中は驚いていた。

黒人達に襲い掛かれば黒人達は怯える事が多く、いくらでもリンチができたのに、最近は反撃されるようになったからだ。


KKKの連中は『今日も黒人をリンチしてぶっ殺してやると覚悟を決めて興奮状態で集団でやってくる。

襲われる側は普通に暮らしていたら、

いきなり大勢の銃をもった狂った連中に襲われるのだから怯えて当然である。

白人だっていきなり銃を持った他民族の集団に襲われたらどれほど抵抗できる事やら。


だが、黒人をリンチしようとやって来るKKKの連中はエリアサーチ魔法をすると敵性存在としてはっきりと察知できる。

超巨大ゴーレムも助けてくれるので、

黒人のゴーレム達の側は仲間達に知らせて準備を整えて待ち伏せる事ができるようになっていった。


黒人側が愛用したのは半自動装填型オートマチックショットガンのブローニング・オート5(威力の強い10番ゲージモデル)を改造して8連射できるように改造したショットガンだった。


ゴーレム達の狙いは正確でありKKKの連中は大勢の死傷者を出すようになる。

そして敗走した連中をゴーレムの黒人達は追いかけて蹂躙し、止めをさしていった。


死者の顔を隠していた覆面を外すと

白人で警察官をしている人間も大勢出て来て、黒人達はやっぱりなと納得した。

この時代では黒人の弁護士は少なく、

ろくに捜査される事は無かった。

司法の場でも黒人は一方的に裁かれるばかりで冤罪も多かった。


彼等は『白人の警官にはKKKに参加して黒人をなぶり殺しにしている犯罪者が大勢いて信用できない。』と

ビルの外壁にペンキで書き、張り紙に書いて貼り付けた。


そしてKKKに参加している白人警官の名前を書いて『有色人種を差別して虐殺する者』リストを公表するようになる。


KKKに参加している白人達はこれらの告発を恐れるようになった。

『○○州の○○で行われたKKKの集会に参加した人間は○○、○○、、、』

とKKKの集会参加者リストが印刷されて張り紙に書かれるようになったからだ。

これらの記録は残り続ける事になる。

宇垣系の出版社が色々な言語に翻訳してアメリカの酷い人種差別の実情を本にして出版したからだ。


この黒人を殺した加害者のリストの記録は残さなければならないと決意するのだった。


そしてアメリカ先住民からも、声が出始める。


メキシコでは、『メキシコと比べて不自然なまでにアメリカ国内での先住民の人口が少ないのは、3000万人ものアメリカ先住民が大虐殺されたからだ。』

との噂が流れるようになる。

この時のアメリカ国内の先住民の人口は50万人以下。

もっとも減った時で40万人以下。

信憑性がないわけではない。

日本の江戸時代の人口だって3000万人近かった。

1000万人単位で虐殺していそうなのは

確かだ。

彼らは、『このままならアメリカ人に虐殺されて、先住民の我々は滅びてしまう。』

『我々の窮状を取材して助けてほしい。』と欧州の新聞社に訴えた。


持ち込まれた天然痘などの病気が原因でアメリカ先住民の人口は激減したと書かれていますが、それぞれの部族で離れて暮らしている先住民が激減するとは無理があります。

実際はわざと広めて先住民の数を減らしたのです。

東海岸側ではアメリカ先住民の奴隷狩りも盛んでしたし。

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