376話 カルヴァン・クーリッジ大統領②

上海、南京、北京での租界に対する中国人達の攻撃は続いていた。

遠距離からの狙撃や攻撃で租界の中の建物は傷だらけになり租界から避難する人達が多くなっていた。


まるで戦場だと、租界を見た人達は口々に言った。


租界があまりにも銃撃されるので、警備している兵士は1発撃たれたら何十発

も撃ち返すようになっていた。

撃った犯人のまわりの普通の中国人の死者なんか気にしていない。

重機関銃を何十発も撃ったり、大砲を浴びせたり反撃も過激になっていった。


そして巻き添えで死んだ人間の家族や友人が租界の外国人に対して敵意を持つようになっていく、、、



そして、義和団の乱のような事件が起きて租界の中の人は虐殺されるのではと囁かれる様になっていた。


7.62mmクラスの小銃でも45度に傾けて発射すれば5000m近く飛ばせる事ができる。

もちろん運動エネルギーは消耗して威力は無いので嫌がらせにしかならないが、それでも降ってくる銃弾の攻撃は嫌な物だ。

鉄兜に命中しても威力は少ないが、それでも生身なら大怪我をしかねない。

かなり遠距離からの嫌がらせのような攻撃には反撃も難しく対応に苦慮していた。

もちろん、こんな攻撃が租界内部に落ちるかはわからないが当たる事もあるのならそれでいいのだ。


香港周辺でも嫌がらせのような攻撃が頻発していた。


攻撃してくる連中が持っている小銃は

ソ連製の小銃やドイツ製の小銃が多く、ドイツ製は民国軍の横流しだろうし、ソ連製の小銃はソ連が中国共産党を通じて渡していると噂されていた。


租界の連中がろくに反撃してこずに、

一方的に攻撃できるとなると中国人は

調子に乗って遠距離からの狙撃のような攻撃をガンガンしてくる。


イギリス軍は激怒して長江を遡行して

軍艦の大砲で反撃を開始した。

欧州の租界の人間はイギリスに感謝した。


このような租界に対する攻撃は今までも繰り返されてきたが、10倍にして反撃する事で沈静化してきたのが、これまでだったからだ。


だが、今の中国人は違った。

強風の吹いている日に風上に可燃物を持ち込んで放火して、租界を延焼させようとした。

上海でも放火は相次ぎ、租界も大きな被害を受けたが、多くの中国人も亡くなった。

『南京大火災、上海大火災』に多くの人は恐怖した。


『イギリス人は出て行け!』

『アメリカ人は出て行け!』

と中国人から歓声が上がる。


租界の近くに住んでいる、奴等と取引している売国奴の連中も死んでいい気味だと思っている人々は多い。


史実の1945年でも日本人と仲良くしていた中国人は虐殺されている。

いや、歴史上、幾度となく繰り返されてきた出来事だ。


イギリスやアメリカを味方につけて、

売国奴(漢奸)の連中がこちらを虐殺しかねないのだから、敵は殺せる時に殺すというのが中国人にはあたりまえなのだ。


クーリッジ大統領は日本がいち早く大勢の日本人を避難させて中国から撤退していたと聞き、『日本はこの荒れようを予感していたのか!』と驚いていた。


各新聞社は『リメンバー上海!』『リメンバー南京!』と被害者のアメリカ人の仇撃ちを求め始めている。

スペインとの戦争の時に発行部数を大幅に増やしたアメリカの新聞社にとって戦争は大きなビジネスチャンスなのだ。

第一次世界大戦でも発行部数を更に伸ばせたし、新たなチャンス到来だ。と派手に書き立てる。



アメリカ国民も欧州のような文明国との戦争は嫌だと思っている。


だが、チャイナは所詮はフィリピンみたいなものだと思ってる。


フィリピンと同じで10歳以上の男は皆殺しにすれば討伐は簡単だろうと多くのアメリカ国民は思っていた。

フィリピン人だってインディアンだってそうしてきたのだ。

殺すだけ殺せばおとなしくなる。


『人口の多いチャイナとの戦争を不安に思っているのは私だけなのか?』

とクーリッジ大統領は孤独さを感じていた。


その時アメリカ陸軍はフィリピン人をどんどん徴兵してチャイナに送り込めば一石二鳥だと思っていた。


朝鮮でも兵士を募集し始める計画が始まろうとしていた。

日本が許可したのだ。


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